元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

映画は着こなしの参考になるか?

2017-07-09 06:26:28 | 映画周辺のネタ
 デパート等では夏物バーゲンが行われる時期になってきた。毎度冷やかしのつもりで覗いてみるが、気が付くと数点のアイテムを買ってしまい、我ながら意志の弱さには呆れてしまう(苦笑)。

 さて、池波正太郎の著書「映画を見ると得をする」の中に“映画を数多く観ていると、自然と服装のセンスなんかが垢抜けてくる”という一節がある。しかし私は自信を持って“こりゃウソだ”と断言する。映画ばっかり観ていると(特に若い頃)、カネをすべて映画につぎ込んでしまうため、服装には気を遣わない。“そりゃオマエだけだろ”との意見はごもっとも(^_^;)。でも、各地の映画祭に集まってくる連中の服装を見ていると(あ、これ男性に限っての話ね)けっこう図星だったりする。

 私だって映画を観まくっていた(今もだけど)二十歳前後のころは服装なんて無頓着(当時の写真見るとほとんど浮浪者だ)。その後、人並に衣装に金を使うようになったが、それは洒落者の同僚や従兄弟の影響からで、決して映画をよく観ていたからではない。映画の中のファッションが気になり出したのはそれからで、要するに映画を観て服装が垢抜けるかどうかは元々ファッションに興味があるかないかの問題なのだ(私は興味があっても垢抜けないが)。

個人的には、黒澤明の「乱」だのコッポラの「ドラキュラ」だのサリー・ポッターの「オルランド」だの、市川崑の「細雪」やピーター・グリーナウェイとかペドロ・アルモドヴァルの諸作などの“衣装デザイン賞いただきっ”みたいな立派なファッションより、自分が参考にできるような映画の中での着こなしに目が行ってしまう

 「炎のランナー」のブリティッシュ・トラッド。映画を観たあと本気で白のフランネルのズボンとホワイト・バックスを買いたいと思った(金がなくて断念)。コロニアル調でキメたダニエル・シュミット監督の「ヘカテ」。エレガンスの極致みたいな「華麗なるギャツビー」(74年版)。「の・ようなもの」は登場人物が全員アイビー。主人公(伊藤克信)が秋吉久美子扮するソープ嬢に“これ、Kentだぜ”と自慢するところは笑った。

 ウディ・アレンが出演作の中でよくやるツイード・ジャケットにチノパンを何気なく合わせる方法。「ドゥ・ザ・ライト・シング」のヒップホップな着こなし(同じスパイク・リー作品でも「マルコムX」の衣装は立派過ぎて真似できない)。映画を観た帰り道で同じブランドのセーター買ってしまったのは「ザ・プレイヤー」(衣装担当アレキサンダー・ジュリアン)。あと、あげればキリがない。

 どうせ私のような冴えないオッサンが、映画の登場人物みたいにカッコ良く着こなすなんて無理。それでも少しは参考にして街の美観を損ねないような服装はしたいと思う今日このごろである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする