元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ミュータント・タートルズ」

2015-08-14 06:53:35 | 映画の感想(ま行)
 (原題:TEENAGE MUTANT NINJA TURTLES )90年作品。ここで紹介するのは2014年に製作されたものではなく、90年代に作られたシリーズ物の第一作である。監督はミュージックビデオ界出身のスティーヴ・バロン。

 アメリカでは大ヒットした作品ということだが、ハッキリ言ってまったく面白くない。一番の敗因は主人公4人(匹?)がカメであるという特徴を強調するエピソードが全然ないからである。ただクンフーが強いだけのクリーチャーであれば、カメである必要などない。ワニでもトカゲでもよかったはずである。それをカメにした理由というのがわからない。どうせなら、わが国のガメラみたいに、引っ込めた手足からジェットを噴射して空を飛ぶ、ぐらいの芸を見せてほしい。



 キャラクター・デザインもそれほど魅力的ではなく、何よりも4人がどれも同じような外見で、マスクの色以外に見分ける方法がないというのはつらい。かのジム・ヘンソンも、この程度の仕事が遺作になってしまったというのは、さぞかし不本意だっただろう。

 そして、悪役もオチャラケ映画そのもの。“フットー団”とかいうニューヨークの窃盗団が登場するのだが、それが全員ヘンな覆面をしているし、親玉は韓国からやって来たクンフーの達人ということだが、外見は日本人としか言いようがない。おまけに日本語のセリフは連発するし、まったくいいかげんにしてくれと言いたくなる。それがまあ、オチャラケを突き抜けた高度(?)な笑いにまで達していればよかったのだが、そこまで作者のこころざしは高くない。要するに、ちょっと目先の変わったものを出せばウケるだろうという、いいかげんな姿勢がまる見えである。

 ストーリー、演出、どれをとっても子供だましの幼稚な映画、という域をまったく脱していない。冒頭、いきなりゴールデン・ハーベストのタイトルが出た時点で“あ、こりゃダメだ”と感じる。これは実は香港資本の映画だったのだ。となれば舞台を香港に移し、スタッフ・キャストもすべて香港映画人で固めてしまった方が断然いいのは明白。

 まるっきりの香港映画ならば、どんなに荒唐無稽な設定も、失笑するしかない泥臭いギャグも、いいかげんなSFXも、すべてがプラスの方向にはたらいたはずである(はたらかなかったかもしれないが)。それを無理してニューヨークを舞台にしたハリウッド製SF大作にしてしまったから完全にボロが出てしまう。まあ、それによってハーベスト側は初のアメリカ映画進出を成功させ、大儲けしたのだから世話がない。このシリーズはパート3まで作られるが、2作目以降は観ていない。
コメント
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