元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「U2 魂の叫び」

2013-11-24 07:01:57 | 映画の感想(英数)
 (原題:U2 Rattle and Hum )88年作品。アイルランド出身の世界的ロックバンド・U2が87年におこなった全米公演“ヨシュア・トゥリー・ツアー”を追ったドキュメンタリー映画。出来としては中途半端だ。

 メンバーがツアーの合間に見せる素顔を収めたパートが必要以上に長い。もちろん、そこで面白いエピソードが披露されるのならば文句は無いが、これがまあカメラを漫然と回しているだけで、メリハリが感じられないのだ。B・B・キングとの掛け合いや、黒人教会でのゴスペルに参加したりするくだりは盛り上がって然るべきだが、画面に力感が無く退屈な時間が流れるだけである。メンバーへのインタビューにしても、何か興味深い話が聞けるわけでもない。



 監督はフィル・ジョアノーが担当しているが、アメリカ出身でアクション派の彼に合った素材とも思えない。地元アイルランドか、少なくともイギリスの演出家を持ってくるべきではなかったか。

 ただ肝心のライヴ場面だが、これが掛け値無しに凄いと言える。まさに邦題通りの“魂の叫び”が感じられる優れ物。エッジのギターは天を翔け、ボノのヴォーカルはパワフルに響き渡る。全編コンサートのシーンで埋め尽くした方がよっぽど良かった。

 余談だが、今思い返してみれば80年代のロック・シーンはつまらなかった。毒にも薬にもならない“産業ロック”が幅を利かし、U2のような骨太なパフォーマンスを披露してくれるバンドはごくわずか。私も、この頃はロックのレコードやCDはほとんど買わず、クラシックのディスクを集めるのに専念していたことを思い出す(本作のサントラ盤は購入しているが ^^;)。

 なお、私はこの映画を福岡の中洲の映画館で観たのだが、あまりの音の悪さに閉口したことを覚えている。現在ではブルーレイディスクでもリリースされているので、最新のAVシステムで再見してみたい。
コメント
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