元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「タイタス」

2012-03-16 22:50:00 | 映画の感想(た行)
 (原題:Titus )99年作品。シェイクスピア作の悲劇「タイタス・アンドロニカス」の映画化。ローマ帝国の武将タイタスに対する皇帝の后女王タモーラの復讐を描く。シェイクスピア演劇の中で最もスプラッタ度の高い作品であり、ケレン味たっぷりに楽しませてくれるかと思っていたが、実際観てみると大したこともない。

 ユニークな衣装や美術、そしてハッタリかませた音楽で押しまくる最初の10分間はさしおいて、物語が進むにつれシラーッとした気分になってきた。そもそもタイタスの悲劇の原因がさっぱり分からない。たぶん彼は軍人としては優れていても、人間としては小人物(単なる憂国オヤジ)だったのだろう。



 しかし演じるアンソニー・ホプキンスはどうにも立派かつ狡猾に見えて、タイタスの中にあるはずの弱さや愚かしさが全然見えない。彼の行動がチグハグに見えるのはそのせいで、おかげでドラマが底の浅いものになってしまった。特にラスト近辺は演出が行き詰まって自爆しており、無惨と言うほかない。

 監督ジュリー・テイモアはブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」の演出で知られるが、映画の方はこのデビュー作をはじめとして、どうもパッとしない。演劇に専念した方が良いと思う。
コメント
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