元・副会長のCinema Days

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「電源ケーブル&アクセサリー大試聴会 in 福岡」リポート(その1)。

2012-03-08 06:28:48 | プア・オーディオへの招待
 去る3月3日に福岡市博多区某所にて、オーディオ評論家の福田雅光の主催による「電源ケーブル&アクセサリー大試聴会 in 福岡」が開かれたのでリポートしたい。

 福田が進行役を務める同じ趣旨の試聴会は毎年開催される九州ハイエンドフェアの中でプログラムの一つとして織り込まれていたが、今回は単発のイベントである。しかも、ほぼ一日かけて電源周りのアクセサリーだけを徹底的に聴いていこうというコアな企画であり、それだけに中身も濃い。



 紹介されたのは市販の電源ケーブルと電源システム(ノイズキャンセラー等)、そして電源ボックス(タップ)の3種類で、それぞれ1時間半程度の講習と実演が行われた。なお、試聴に使われたシステムはスピーカーがJBLのProject K2 S9900(ペア370万円というハイエンド機だ)、コントロールアンプがLUXMAN、パワーアンプとCDプレーヤーがACCUPHASE製である。

 まず試聴したのが電源ケーブル。使われたケーブルは9本でいずれも新しいモデルだ。24,200円のKOJO-TECHNOLOGYのKS-3から、189,000円のORBのKURENAIまで広い価格帯を網羅している。9本すべてのインプレッションを書くのは面倒なので(笑)、印象に残ったものだけを挙げると、まず安価なところではACOUSTIC REVIVEのPOWER STANDARDに指を折りたい。音色・解像度ともに良い意味での中庸をキープし、繋ぐ機器を選ばない。付属ケーブルからの最初のステップアップには最適だ。

 FURUTECHのABSOLUTE POWER IIAETのHIN AC EVDもフラット指向で使いやすい。KRIPTONのPC-HR1000は中域重視の生々しい音で、ヴォーカルの実体感を求めるファンには好まれよう。



 ORBのKURENAIは暖色系のきめ細やかさと広いレンジ感で群を抜いていたが、高価格であるためユーザーは限られると思う。なお本モデルには紅色の漆塗りプラグが採用されており、金沢の漆塗り職人に特注させた製品だということだが、果たしてそこまでやる必要があるのかは疑問である(爆)。

 今まで私には“5万円以下の民生用電源ケーブルにはロクなものがない”という持論があったが、今回は4万円以下でも十分に使える製品が出てきたことが分かり、この分野のイノベーションは近年進んでいることが印象付けられた。

 ただし、すべての製品にロジウムメッキや冷却クライオ処理などの特殊工程が施されており、線材自体の持ち味をそのまま活かすような製造コンセプトが見当たらない点は気になる。つまりオーディオファンが喜ぶように音を“作って”いるのだ。業務用線材を“素”のままでアセンブルするため音を“作る”余地もないネット通販品と比較すると、本当の意味での“汎用性”という点では疑問が残るのも確かである。

(この項つづく)
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