元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「夏至」

2011-05-22 06:58:02 | 映画の感想(か行)
 (原題:A la Vertical de L'ete)2000年作品。トラン・アン・ユン監督の三作目で、ヴェトナムの首都ハノイを舞台に、母親の命日に集まった三姉妹の人間模様を追う。

 この監督は近年「ノルウェイの森」で才気煥発なところを見せたが、それにしたってデビュー作「青いパパイヤの香り」を超えてはいない。処女作イコール最高作で終わってしまった映画作家もけっこういるとは思うが、トラン・アン・ユンもそうなるのだろうか。

 繊細極まりない色調と堅牢な画面構成、ゆったりとしたテンポの演出は快いものの、それらは「青い~」における手法の二次使用。しかも今回はネタが通常のホームドラマなので、展開のバリエーションも限られる。少なくともここには「青い~」のようなストーリーの独自性はない。

 ケレンに走りすぎたこの前作「シクロ」(96年)よりはマシだが、可もなく不可もなしの出来に終わってしまったようだ。それにしてもこの三女、カマトト過ぎるぞ(笑)。
コメント
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