2002年作品。北野武監督が初めてラブ・ストーリーに挑戦したということで話題になった映画だ。文楽にインスパイアされたエクステリアを纏い、日本の四季を背景に現代を生きる3組の男女の激しい愛の姿を描き出そうとしている。
いわゆる“思い付きの次元に留まっている映画”である。でも考えてみれば北野武の映画は、ほとんどが“思い付き”であるのも事実だ。ただし、本作は“思い付き”をふくらませて一本の作品に結実させるだけの工夫と粘りに欠けていたと、つまりはそういうことだ。
そもそも文楽などの古典芸能と実写をパラレルで描こうという発想自体はそう珍しいものではない。過去にも、木下惠介や鈴木清順、田中登らが果敢にチャレンジし、確かな実績を挙げている。北野監督にもそのへんの気負いがあったのは確実で、菅野美穂や西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子といったそれまでと異なる俳優起用からもそれは現れている。
でも結果としては作者の古典芸能への理解が表層的であったことを示すだけになってしまった。いわば素材に負けてしまったのであり、面白くもない悲恋話のいくつかが居心地悪そうに並べるだけで、せいぜい絵葉書的な美しい画面の中で展開される山本耀司のファッションショーでお茶を濁すしかなかったのだろう。意欲があるが作品としては失敗。もっと題材を吟味するか、企画自体を見直すことが必要だったのではないだろうか。
いわゆる“思い付きの次元に留まっている映画”である。でも考えてみれば北野武の映画は、ほとんどが“思い付き”であるのも事実だ。ただし、本作は“思い付き”をふくらませて一本の作品に結実させるだけの工夫と粘りに欠けていたと、つまりはそういうことだ。
そもそも文楽などの古典芸能と実写をパラレルで描こうという発想自体はそう珍しいものではない。過去にも、木下惠介や鈴木清順、田中登らが果敢にチャレンジし、確かな実績を挙げている。北野監督にもそのへんの気負いがあったのは確実で、菅野美穂や西島秀俊、三橋達也、松原智恵子、深田恭子といったそれまでと異なる俳優起用からもそれは現れている。
でも結果としては作者の古典芸能への理解が表層的であったことを示すだけになってしまった。いわば素材に負けてしまったのであり、面白くもない悲恋話のいくつかが居心地悪そうに並べるだけで、せいぜい絵葉書的な美しい画面の中で展開される山本耀司のファッションショーでお茶を濁すしかなかったのだろう。意欲があるが作品としては失敗。もっと題材を吟味するか、企画自体を見直すことが必要だったのではないだろうか。
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