元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「JM」

2009-07-16 06:29:05 | 映画の感想(英数)
 (原題:JM Johnny Mnemonic)95年作品。未来世界を舞台に、脳にシリコン・チップを埋め込んで極秘データを配達するエージェント、ジョニーの活躍を描いたSF活劇編だ。まず考えるのは、はたして人間の頭脳にはどれだけの記憶容量があるのか・・・・ということだ。

 キアヌ・リーブス扮する主人公はデータを頭の中にインストールして持ち運ぶ“記憶屋”だ。彼の容量は160ギガバイトだという。そこに320ギガバイトほどのデータを無理矢理入れ込ませたおかげで生命の危険にさらされるわけだが、容量はその程度なのだろうか。人間の脳のほとんどは普段使われず眠っており、それは“NIGHT HEAD”と呼ばれる・・・というのは別の映画のキャッチフレーズだったが(^_^;)、かなりの容量があるのは確かだろう。

 以前観た「ナビゲーター」という映画で、“NIGHT HEAD”に全宇宙の星間航行図をインストールしてまだ余裕がある、というくだりがあり、たかが一企業の企画書(?)を入れただけでパンク寸前になるというこの映画の設定はちょっと・・・・、という気にもなってくる(笑)。まあ、映画では脳に埋め込んだシリコン・チップの中に記憶させる設定なのだけど、それならわざわざ主人公の子供時代の記憶を消す必要もないとは思うのだけどね。

 さて、これは米アート界の巨匠と言われるロバート・ロンゴが初めて監督した劇場用作品である。観た感想だが、どうでもいい映画である。凝りまくったデザインは「ブレードランナー」のレベルを一歩も出ていないし、第一ああいう造形はもう飽きた(どこがアート界の巨匠なのかさっぱりわからん)。昔の記憶がない主人公の苦悩や、娘を亡くした日本人ヤクザ(ビートたけし)の絶望などをギリギリまで出してほしかったが、素人に近い監督では無理というものだ。アクションの段取りも目新しさはない。

 唯一面白かったのが、主人公がインターネットにアクセスする際に使うヴァーチャル・リアリティ仕立てのシステムだ。パワーグローブとCGの動きが絶妙のシンクロで、近未来にはこういうアーキテクチャーが出てくるかもしれないという気になってくる。キャスト面では地下組織のボスを演じるアイス・Tが「トレスパス」に続いての儲け役。ラップ界には結構アクション映画向けの面構えが多いと思った。
コメント
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