goo blog サービス終了のお知らせ 

元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

金曜ロードショーの“復活”を評価する。

2021-06-06 06:14:50 | 映画周辺のネタ
 今年(2021年)4月より、日本テレビ系列で金曜日午後9時より放映されていたスペシャル番組枠の「金曜ロードSHOW!」が、映画専門番組の「金曜ロードショー」に改変になった。もっとも、この新タイトルは2012年まで同局のこの時間帯に放映されていたものと一緒であり、いわば“原点回帰”と言える。また、現在では地上波のゴールデンアワーで定期放送されている唯一の映画番組になる。

 ネット配信のサブスクリプションサービスが全盛になった今、あえてオールドスタイルな形式でのオンエアに踏み切った理由として、局側では“過去の名作群の掘り起こしや、大勢の人が同じ時間に同じ作品を見ているというリアルタイムな体験を提供すること”と述べているが、これは実に正しい。サブスクリプションサービスではチェックする対象範囲が限られてしまい、未知のジャンルに触れることが少なくなる。対して、バラエティに富んだ作品を地上波で放映すれば、それだけ視聴者の知見が増える。



 思い起こせば、この地上波における映画番組というのは、私も随分とお世話になったものだ。金曜ロードショーの前身だった水曜ロードショーをはじめ、日曜洋画劇場、月曜ロードショー、ゴールデン洋画劇場と、民放だけで週4本もの2時間の枠が設定されていた。また、それぞれ個性豊かな解説者を配して作品紹介をおこなっていたのも、視聴者にとって有難かった。

 一般的には日曜洋画劇場の淀川長治が有名だったが、個人的には月曜ロードショー(TBS系)の荻昌弘が印象的だった。おそらくは、作品選定に彼の意向が反映されていたはずで、今ならば絶対にゴールデンタイムに流せないようなマニア向けの映画が堂々と放映されていたものだ。この番組で、私は子供の頃に生意気にもフェデリコ・フェリーニやジャン=リュック・ゴダール、フランソワ・トリュフォー、ルイス・ブニュエルといった監督の名を知った。

 そして、面白い映画が放映されると、翌日に学校でそれが話題になるのも楽しかった。何しろ、ビデオはあまり普及していなかった時分だ。この体験の共有化というのが地上波における映画放映の醍醐味である。時に作品のカラーに合わない吹き替えが施されたり、放送時間の関係でカットされる場合も多々あったが、それでも映画がテレビ画面で見られるというのは堪えられなかった。

 ともあれ、金曜ロードショーの“復活”は素直に喜びたいし、スタッフも頑張ってほしい。お笑い芸人をひな壇に並ばせてのバラエティやグルメ番組は、そろそろ視聴者は飽きが来ている。そんなのよりも映画を一本流してくれた方がよっぽど良い。願わくば、他局も追随してもらいたいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

当てもなく選んでしまった2020年映画ベストテン。

2020-12-28 06:28:30 | 映画周辺のネタ
 すでに惰性になった感はあるが、年末恒例の2020年の個人的な映画ベストテンを発表したいと思う(^^;)。

日本映画の部

第一位 なぜ君は総理大臣になれないのか
第二位 本気のしるし
第三位 風の電話
第四位 はりぼて
第五位 his
第六位 37セカンズ
第七位 彼女は夢で踊る
第八位 プリズン・サークル
第九位 のぼる小寺さん
第十位 三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実



外国映画の部

第一位 パラサイト 半地下の家族
第二位 21世紀の資本
第三位 行き止まりの世界に生まれて
第四位 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー
第五位 黒い司法 0%からの奇跡
第六位 オフィシャル・シークレット
第七位 レイニーデイ・イン・ニューヨーク
第八位 赤い闇 スターリンの冷たい大地で
第九位 シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!
第十位 カセットテープ・ダイアリーズ



 2020年に世間を騒がせ、おそらく今後もしばらくは続くと思われるコロナ禍が、映画界をも直撃した。緊急事態宣言時にはすべての映画館はクローズ。ようやく制限が解除されても、上映する映画が無い。特にハリウッド製の話題作は軒並み公開延期だ。それでもマイナー系を中心に各劇場はラインナップを揃え、こちらも何とかベストテンを選べたのは安心した。

 日本映画ではドキュメンタリー部門の健闘が光っていたが、それだけ“現実”の重みがヘタなフィクションを凌駕したということだろう。特に政治の無力性が国民の生活を圧迫している昨今、実録物はこれからも大きな存在感を持って作られると思う。

 外国映画では何といっても「パラサイト 半地下の家族」のオスカー獲得が話題になった。ただし、これを観て“韓国社会は格差が大きくて大変だなァ”という感想を安易に持ってしまうのは禁物だ。社会格差は日本の方が大きいのである。この実態を我が事のように捉えるか、あるいは他人事にしてしまえるのか、その“断絶”が世の中を覆っているように感じる。

 なお、以下の通り各賞も選んでみた。まずは邦画の部。

監督:大島新(なぜ君は総理大臣になれないのか)
脚本:深田晃司、三谷伸太朗(本気のしるし)
主演男優:三浦春馬(天外者)
主演女優:土村芳(本気のしるし)
助演男優:遠山雄(いつくしみふかき)
助演女優:浅田美代子(朝が来る)
音楽:橋本一子(ばるぼら)
撮影:向後光徳(水上のフライト)
新人:宮沢氷魚(his)、モトーラ世理奈(風の電話)、小野莉奈(テロルンとルンルン)、池田エライザ監督(夏、至るころ)

 次は洋画の部。

監督:ジャスティン・ペンバートン(21世紀の資本)
脚本:ポン・ジュノ、ハン・ジヌォン(パラサイト 半地下の家族)
主演男優:マ・ドンソク(悪人伝)
主演女優:マーゴット・ロビー(ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY)
助演男優:フランコ・ネロ(コリーニ事件)
助演女優:ナタリー・ドーマー(博士と狂人)
音楽:ロマン・トルイエ(シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!)
撮影:ホン・ギョンピョ(パラサイト 半地下の家族)
新人:パク・ジフ(はちどり)、リナ・クードリ(パピチャ 未来へのランウェイ)、オリヴィア・ワイルド監督(ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー)

 ついでに、ワーストテンも選んでみた(笑)。

邦画ワースト

1.Fukushima 50
 体制に阿って事実をねじ曲げるという、映画人として最も恥ずべき構図が展開している。ワーストワンは決定的だ。
2.ミッドナイトスワン
 悪ふざけとしか思えない、不快な場面の連続。
3.君が世界のはじまり
4.宇宙でいちばんあかるい屋根
5.スパイの妻
 ヴェネツィアでの監督賞受賞は“功労賞”だとは承知しているが、それにしても作品の質が低い。
6.おらおらでひとりいぐも
7.私をくいとめて
8.ロマンスドール
9.記憶の技法
10.ソワレ

洋画ワースト

1.テネット
 アイデア倒れ。映画的興趣は見当たらない。
2.燃ゆる女の肖像
 それらしい雰囲気だけ。中身は無い。
3.1917 命をかけた伝令
 技巧優先で、ドラマが不在。
4.男と女 人生最良の日々
5.ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語
6.悪の偶像
7.ペイン・アンド・グローリー
8.ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ
9.ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋
10.リチャード・ジュエル

 ローカルな話題としては、キノシネマ天神のオープンを挙げたい。館名に“天神”と付いてはいるが、ロケーションは天神とは離れている。それでもミニシアターが出来たことは実に大きい。しかも3スクリーンも備えている。これからどういう作品を提供してくれるのか、実に楽しみである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

韓国映画のオスカー獲得と日本映画の現状。

2020-02-14 06:24:36 | 映画周辺のネタ
 去る2月10日(日本時間)に発表された第92回米アカデミー賞で、韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が4冠を達成した。私は国際長編映画賞と脚本賞は獲得すると思っていたが、まさか作品賞にまで輝くとは予想外だった。それも外国語映画では初の栄誉。オスカーの歴史を変えたとも言える快挙だ。対して日本映画は(得意のアニメーションをはじめ)ノミネートもされていなかった。

 そしてカズ・ヒロ(旧名:辻一弘)がメーキャップ・ヘアスタイリング賞を受賞したことも話題になった。彼は2018年に同賞を得ているが、それから国籍を日本からアメリカに移しており、米国人としては初のオスカー獲得になる。授賞式後の会見で日本について問われると“文化が嫌になってしまった。日本で夢をかなえるのが難しい”と辛口のコメントを残している。

 以上2つの事実は、一面では日本映画の退潮を示している。つまり、かつて高水準を誇っていた邦画は、今や韓国映画にも後れを取り、人材も育てられなくなったということだ。カズ・ヒロの言う“文化”とは、もちろん日本の伝統文化のことではなく、映画を取り巻く環境すなわち企業・業界文化のことである。優秀な者がそれに見合った待遇を与えられず、業界内の数々のしがらみや忖度に縛られ、満足するような結果を得られないことを批判しているのだろう。

 日本にも優れた映画人は少なからず存在する。だが、彼らの作る映画はたいてい注目されない。シネコンのスクリーンで目立っているのは、アイドルやテレビタレントを起用した愚にも付かない“壁ドン映画”や、年寄り向けの腑抜けたドラマ、そして粗製濫造気味のアニメばかりだ。ちなみに、2020年3月に発表される第43回日本アカデミー賞では、「翔んで埼玉」みたいなお手軽ムービーが最多ノミネートだという。まさに暗澹たる状況だ。

 韓国映画は国家が支援しているから有利だという話があるが、それだけではここまで隆盛にはならない(むしろ、国の援助が足枷になる場合だってあるだろう)。積極的な映画製作をバックアップしているのは、映画業界の“攻め”の姿勢と、それに応える観客の意識の高さではないかと思う。彼の国では“面白いものを作れば客を呼べる”という、至極当たり前の構図が成立していると想像する。ならば面白い映画を作るにはどうすれば良いか・・・・そこから“逆算”して製作の段取りを整える姿勢が韓国映画界にはあるのだろう。

 もちろん、何をもって“面白い”かは議論が分かれるところだ。観客の好みは千差万別。“面白さ”の定義は明確ではない。しかし、多様的な“面白さ”を狙ってフレキシブルに人材や資本を投入することは可能だ。韓国ではそれが出来ていると思う(まあ、内実はよく知らないので断言はしないが ^^;)

 対して日本では、どう考えても観客が喜びそうもないシャシンが罷り通っている・・・・と思ったら、それらは一部の“固定客”を掴んで採算が取れているのだという。だが、限られた層ばかりにベクトルが向いていると、いずれは縮小均衡に陥って消滅してしまう。反対に、多様性を備えた意欲的な企画が次々と通れば、多くの観客は興味を持ってくれる。

 日本映画が低空飛行を続ける原因はいろいろある。ブロック・ブッキング制の放置やテレビ局等の不用意な介入、文化庁が行なう助成金の運用体制の不備、そして何より長引く経済マクロの低迷で消費者の財布のひもは固くなる一方だ。しかしながら、手を拱いているばかりでは進展しない。とりあえずは映画ファン自身が問題意識を持つことが大事だろう。何より“もっと面白い日本映画を観たい”と心の底から願い続けたいものだ。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大根役者を持て囃す愚(その2)。

2020-02-02 06:38:22 | 映画周辺のネタ
 タイトルに“その2”とあるが、“その1”をアップしたのは2019年の11月である(笑)。およそ2か月以上のインターバルがあり、何やら“証文の出し遅れ”みたいな感があるが、とりあえず御容赦願いたい。

 最近のワイドショーでよく取り上げられている芸能ネタといえば、何といっても俳優の東出昌大の不倫騒ぎである。まあ、浮気云々というのは当人たちの問題であり、外野が道徳論を振りかざしてあれこれ言う筋合いはないのだが、それでも本人のイメージを生かしてCMに起用していた企業からすれば、迷惑千万な話である。そしてもちろん、彼をドラマに出演させていたテレビ局のダメージも大きい。けっこうな額の損害賠償の案件が持ち上がることは必至だろう。

 さて、これだけバッシングが大きくなった原因のひとつとして挙げられるのは、東出自身の演技者としての資質だと思う。これがもしも、演技力もカリスマ性も持ち合わせた大物ベテラン俳優が不倫騒ぎを引き起こしても、そんなに叩かれなかったと想像する。それどころか“浮気も男の甲斐性”だとか“不倫も芸の肥やし”だとかいう不謹慎な言説も大っぴらに飛び交っていたかもしれない。

 対して東出は、いわゆる“朝ドラ大根三羽烏”の一人として、その演技の拙さには“定評”がある(笑)。以前の沢尻エリカの一件では“彼女は演技力があった(だから残念)”という声も少しはあったようだが、今回は東出の仕事ぶりを褒める意見はほとんど見られない。身も蓋もない話だが“東出は大根の分際で、マトモな女優である嫁さんを蔑ろにして、若い女に走った”という構図が出来上がってしまったのだろう。こうなっては、弁護する余地はほぼ無い。

 問題は、この“誰もが認める大根”である東出が、コンスタントに仕事を続けていたことだ。ネットの記事によれば彼は、周囲に取り入るのが上手かったという。特に女性スタッフのウケがすこぶる良かったとか。キャスティングの際に彼を激押しする女性プロデューサーもいたらしい。しかしながら、いくら彼の“営業力”が高かったといっても、演技が下手な役者を起用してやる義理など、微塵も無いはずだ。

 大根であることを知りつつも、おそらくは愛想が良いとか何とかいう理由で映画やドラマに大きな役で出演させてしまうという、そんな業界の実相が浮かび上がり、暗澹とした気分になる。たぶん彼より演技力があってルックスもイケてる若手・中堅男優は少なくないと思う。だが、そんな者たちを差し置いてスクリーンやテレビ画面の真ん中に居座るのは、東出みたいな見掛け倒しの野郎なのだ。

 ハリウッドでは、いくら見た目が良く愛嬌があっても、演技力が無ければたいてい採用は覚束ない。ヨーロッパや他のアジア諸国でも同様だろう。大根役者がデカい顔しているのは日本だけかもしれない。

 東出の不倫相手である女優の唐田えりかも、彼に劣らずかなりの大根である。2人が共演した「寝ても覚めても」(2018年)は大根2本が画面に並んだ、本当にウンザリするような映画だった。なぜか第71回カンヌ国際映画祭に出品されていたのだが、まさに国辱ものだと思ったものだ。今回、大根役者が2人まとめて消えそうになっているのは、ある意味良かったと言えるかもしれない(呆)。他の大根も放逐されて欲しいものだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上の空で選んでしまった2019年映画ベストテン。

2019-12-30 06:28:22 | 映画周辺のネタ
 毎度のことだが、ここで2019年の個人的な映画ベストテンを発表したいと思う(^^;)。

日本映画の部

第一位 デイアンドナイト
第二位 メランコリック
第三位 愛がなんだ
第四位 よこがお
第五位 チワワちゃん
第六位 楽園
第七位 アルキメデスの大戦
第八位 さよならくちびる
第九位 最初の晩餐
第十位 半世界



外国映画の部

第一位 2人のローマ教皇
第二位 アベンジャーズ エンドゲーム
第三位 マリッジ・ストーリー
第四位 アイリッシュマン
第五位 存在のない子供たち
第六位 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男
第七位 天才作家の妻 40年目の真実
第八位 アクアマン
第九位 家族を想うとき
第十位 スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム



 邦画に関しては、やっと10本揃ったという感じだ。言い換えれば、このうち一本でも欠ければベストテンは選べなかった。それだけ日本映画は低調であった。何より、現実を直視するような題材を取り上げた作品が少ないのが痛い。周囲を見渡せば、いくらでもアップ・トゥ・デイトで掘り下げる価値のあるネタが転がっているにも関わらず、作り手の多くはそれらを無視して毒にも薬にもならないシャシンを垂れ流している。

 対して、隣の韓国では切迫した社会派作品を次々と繰りだし、またそれがヒットしているという。彼の国に対してはいろいろと思うところがあるが、こと映画作家の意識の高さについては大差をつけられた感じだ。

 アメリカ映画では何といってもNetflixの台頭が印象的だった。既存の映画会社が手を出しにくい、あるいは興行に乗せるのを躊躇するような企画をあえて引き受け、大きな成果を上げている。劇場公開はどうしても限定的になるが、無理してでもチェックする必要性を強く感じる。今後の展開に注目したい。

 なお、以下の通り各賞も選んでみた。まずは邦画の部。

監督:藤井道人(デイアンドナイト)
脚本:澤井香織、今泉力哉(愛がなんだ)
主演男優:山崎努(長いお別れ)
主演女優:筒井真理子(よこがお)
助演男優:成田凌(愛がなんだ)
助演女優:市川実日子(よこがお)
音楽:ユップ・ベヴィン(楽園)
撮影:相馬大輔(チワワちゃん)
新人:玉城ティナ(惡の華)、田中征爾監督(メランコリック)、常盤司郎監督(最初の晩餐)

 次は洋画の部。

監督:フェルナンド・メイレレス(2人のローマ教皇)
脚本:クリストファー・マルクス、スティーヴン・マクフィーリー(アベンジャーズ エンドゲーム)
主演男優:ジョナサン・プライス(2人のローマ教皇)
主演女優:グレン・クローズ(天才作家の妻 40年目の真実)
助演男優:ジョー・ペシ(アイリッシュマン)
助演女優:ローラ・ダーン(マリッジ・ストーリー)
音楽:タチアナ・リソフスカヤ(永遠の門 ゴッホの見た未来)
撮影:ディック・ポープ(ピータールー マンチェスターの悲劇)
新人:チャーリー・プラマー(荒野にて)、ジュリア・バターズ(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド)

 ついでに、ワーストテンも選んでみた(笑)。

邦画ワースト

1.新聞記者
 もはや日本映画は、かくも低レベルの“社会派”作品しか提示出来ないのかと思い、落胆するばかりだ。
2.天気の子
3.カツベン!
4.蜜蜂と遠雷
 音楽を理解していない者たちが音楽映画を手掛ける不思議。
5.宮本から君へ
6.台風家族
7.ひとよ
8.轢き逃げ 最高の最悪な日
9.居眠り磐音
10.まく子

洋画ワースト

1.主戦場
 イデオロギー先行の題材に目がくらみ、映画の出来自体に言及しない風潮に、危ういものを感じた。
2.女王陛下のお気に入り
 それにしても、2019年度の米アカデミー賞は(前回に続いて)低調だった。
3.ファースト・マン
4.ターミネーター:ニュー・フェイト
5.トイ・ストーリー4
6.ゴールデン・リバー
7.バーニング 劇場版
8.キャプテン・マーベル
9.サスペリア
10.メリー・ポピンズ リターンズ

 ローカルな話題としては、TOHOシネマズ天神本館が2017年に閉館して以来、福岡エリアのスクリーンの絶対数が足りない状況が続いてきた。だが、2020年にはそれが幾分解消できるような話を聞いている。期待したい。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画を観ると人生が変わるか?

2019-12-13 06:53:21 | 映画周辺のネタ
 映画好きの中には“映画を観て人生が変わった”と公言する者が少なくないらしい。でも、果たして映画に観る者の人生を左右するほどの力があるのだろうか。私自身に限って言えば、たぶん幼少期や十代の頃には“愛情”とか“正義”とかいったことに対する基本的概念を映画から学んだ部分があるのかもしれない。しかし、本来そういうものは映画だけが教えてくれるものではなく、実生活での人間関係において自然に培われるべきものであり、映画で描かれることは単に“補完的な教材”といったものでしかないはずだ。

 また、現在映画業界で働く者にとっては特定あるいは複数の映画が今の職業を志望するきっかけになったと思われるので、その意味で“映画が人生を変えた”と断言できるのかもしれない。しかし、もとより業界にコミットしようなどとは思わない私を含めた大多数の人間にとって、映画は“単なる娯楽”であり、人生を変えるほどの影響力を行使する主体ではあり得ないのだ。

 世の中には周囲の人間関係ぐらいではカバーできない膨大な事物があふれている。ならば、それらを理解するのに役立つのが映画だろうか。これも違う。この世界を出来るだけ正しく認識しようとするならば、自ら精進して疑問点と格闘しながら少しずつ“教養”をステップアップさせるしかない。

 映画は受け手が何の努力をしなくても勝手に映像と音響が一方的に流れてゆく。いくら映画鑑賞には劇場に足を運んで金を払わなければ観られないという最低限の自発的行動が必要だといっても、形態において基本的に映画はテレビと変わらないのだ。対象者の受動的なスタンスを前提としたメディアに人を根源的に動かすパワーを期待するのは無理があると思う。

 しかし、映画が新しい知識や分野に興味を持たせてくれるきっかけとなることはある。たとえば歴史物や伝記映画を観れば物語の背景を調べたいと思うだろうし、見知らぬ国の珍しい習慣や伝統を映画で目にすれば内容を詳しくチェックせずにはいられない。映画の題材そのものだけではなく、映画の原作を読むことによって読書のバリエーションが増えることだってある。

 いろいろ書いてきたが、結論としては次の二点にまとめられる。(1)映画が人生を変えるほどの力を発揮することはまずない。(2)しかし、観る者の趣味や嗜好にわずかながら影響を与えるほどのスパイスには成り得る。映画はしょせん“娯楽”でしかないが、捉えようによっては人生をほんのちょっと楽しくするヒントになる(こともある)。ほとんどの者にとって、映画に対するスタンスはこういったものであろう。もちろん“人生を変えてくれる何かがあるはずだ”といった前提で映画を観るのは本末転倒であることは言うまでもない(まあ、そんな人はあんまりいないだろうけど ^^;)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大根役者を持て囃す愚。

2019-11-22 06:57:50 | 映画周辺のネタ
 先般の沢尻エリカ容疑者の逮捕により、彼女が重要な役で出演する2020年放映予定のNHK大河ドラマの取扱いが難しくなっている。以前より疑惑があった沢尻をわざわざキャスティングしたNHKの脇の甘さは問題だが、やっぱり無節操に長年薬物を使い続けた本人の責任は逃れられない。残念ながら、彼女が第一線に復帰することは不可能だろう。まさに“後悔先に立たず”である。

 さて、この件に関する言説で私が最も違和感を覚えたのが“(沢尻は)見た目の良さもさることながら、才能があった”とか“実力派女優だった(だから惜しい)”とかいうマスコミや識者等の物言いである。

 確かに、沢尻のルックスは華やかで見栄えがするが、私が彼女の演技に感心したことは、ただの一度も無い。有り体に言えば、かなりの大根である。もちろん、デビュー時から実力を発揮する天才肌の俳優は限られているし、多くは駆け出しの頃は未熟だ。しかし、努力を重ねて場数を踏めば、誰でも次第に上手くなってくるのだろう。そういう例はいくらでも見ている。また、たとえ現時点で努力が報われていなくても、懸命に頑張っていれば応援したくなる。

 だが、沢尻はデビューしてから15年も経ち、出演作も決して少なくない。にも関わらず、演技面で大きな上達は見られないのだ。これは即ち、彼女にはもともと才能が無いか、または努力を怠っているか、あるいはその両方であると断言せざるを得ない。

 そんな彼女を“才能があった”とか“実力がある”とか言って持ち上げる向きは、いったいどこを見ているのだろう。彼女と同じ世代には蒼井優や満島ひかり、宮崎あおい、貫地谷しほり、安藤サクラなど、実力派がそろっている。彼女たちと比べて、それでも“沢尻は実力がある”と言い切ってしまう神経が分からない。

 思えば、沢尻が井筒和幸監督の「パッチギ!」(2004年)で新人賞を総なめにした時点で、違和感を覚えた。大した演技でもないのに高く評価されたのは、何かの“裏”があるのではと思ったほどだ。ひょっとしたら、若い頃の分不相応な高評価が彼女に道を誤らせたのかもしれない。

 さて、今の邦画界において“明らかな大根”あるいは“大根なのに、それを自覚せず精進を怠っている”と思われる役者が散見されるのには愉快ならざる気分になる。まあ、私も時折たとえば“朝ドラ大根三銃士(または四銃士)”みたいな言い方で茶化したりはするが(笑)、本当はそれじゃダメなのだ。人前に出る以上、それにふさわしいパフォーマンスを見せる(または、見せるように努力する)ことは当然である。そのことをスッ飛ばして表面的なルックスやキャラクターだけで持ち上げる風潮は、日本映画にとってマイナス要因にしかならない。

 ひるがえってハリウッドでは、たとえルックス面では好き嫌いが分かれるとしても(笑)、演技力も存在感も持ち合わせない俳優がスクリーンに陣取っている事例には、お目にかかったことは無い。各人が大勢の前でパフォーマンスを披露することの重要さを自覚している、あるいは自覚しなければ通用しないシステムが出来上がっているのだろう。こういうところを日本映画は見習わなければならない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アニメが多すぎる。

2019-08-02 06:28:13 | 映画周辺のネタ
 夏休みということで、各映画館とも上映作品にはアニメーションが目立つ。しかし、実は“サマーシーズンだからアニメが多くて当然”ということでもない。常時アニメの上映本数は高止まりである。ちなみに、20年前は劇場公開された国産アニメ映画は20数本であったが、去年(2018年)には50本弱に達している。これは、いくらなんでも多すぎると思う。

 アメリカでは劇場上映される長編アニメーションが具体的にどの程度あるのかは知らないが、日本よりはずっと少ないのではないか。

 アニメ好きの観客にとっては日本の状況は“作品がたくさん観られて素晴らしい”とでも思うのかもしれないが、反面それは製作現場の“犠牲”によって成り立っているというのも、また事実である。

 アニメ業界が大方“ブラック”というのは巷間よく取り沙汰されているところだ。先日、理不尽な放火テロによって多くの犠牲者を出し、物的損害も膨大なものになった京都アニメーションは、業界筋では(歩合給ではなく給料制であることもあり)“ホワイト”だと言われていたらしい。だが、それでも一般世間的に言えば従業員は最低賃金ギリギリの待遇しか与えられていなかったという話である。

 どんなに有名な作品を手掛けていても会社はさほど儲からず、社員を非常口も非常階段もスプリンクラーも無いビルで働かせるしかなかったという、何ともやりきれない現実がある。多くの注目作を発表していた京都アニメーションでさえこのような状態であるから、他の業者は推して知るべしだろう。

 もっとも“現場がいくら疲弊していても、多彩な作品が数多く観られるから、それでいい”という意見もあるのかもしれないが、それは欺瞞である。作品は多くても、鑑賞する観客は限られている(ジブリ系や「名探偵コナン」等の一部のヒット作は除く)。一作品あたりの収益率が低いので、数をこなして何とか糊口を凌いでいる状況だろう。そういう自転車操業は、早晩行き詰まると思う。

 業界全体を“儲かる”構造に改革し、そこで働く者達が将来が開けるような状態に持っていってほしいものだ。ハリウッドのように、製作拠点を整理・統合して資本とノウハウを集中させ、本数は限られるとしても質の高いものを提供し、少しでも有能なクリエーターには高給が支払われるような体制が理想である。とにかく、今のままじゃ内閣府が音頭を取っている“クールジャパン構想”も絵に描いた餅だ。

 まあ、一般的な映画ファン(≠アニメ映画限定のファン)としては、観客層の幅が狭いアニメ作品にシネコンのスクリーンを大量占拠されるよりも、国内外の多彩な作品を上映して欲しいというのが本音である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

独断で選んだ2018年映画ベストテン。

2018-12-31 06:39:06 | 映画周辺のネタ
 まことに勝手ながら、ここで2018年の個人的な映画ベストテンを発表したいと思う(^^;)。



日本映画の部

第一位 犬猿
第二位 万引き家族
第三位 カメラを止めるな!
第四位 生きてるだけで、愛。
第五位 志乃ちゃんは自分の名前が言えない
第六位 坂道のアポロン
第七位 私の人生なのに
第八位 日日是好日
第九位 泣き虫しょったんの奇跡
第十位 Mr.Long ミスター・ロン



外国映画の部

第一位 ジュピターズ・ムーン
第二位 ラブレス
第三位 ビューティフル・デイ
第四位 心と体と
第五位 パッドマン 5億人の女性を救った男
第六位 華氏119
第七位 判決、ふたつの希望
第八位 ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
第九位 タクシー運転手 約束は海を越えて
第十位 BPM ビート・パー・ミニッツ

 前回(2017年)は邦画の低落傾向が目立ったが、今回はかなり持ち直している。「万引き家族」のカンヌ国際映画祭での大賞獲得は大いに話題になったが、それより驚かされたのが「カメラを止めるな!」のスマッシュ・ヒットだ。題材はキワ物ながら、映画作りは正攻法。巧みな筋書きとキャストの好演により、見応えのある娯楽編に仕上がっていた。口コミによる反響の大きさなど多分に幸運な面もあったが、低予算でも真面目に取り組めば成果が上がることを実証してみせたのは有意義だと思う。

 ただし、2018年も相変わらず目立つのは、日本映画におけるアニメやラブコメの氾濫だ。もちろんしっかり作られていれば文句は無いのだが、いずれも大人の映画ファンの食指が動くとは思えない出で立ちだ。かと思えば、シニア層を狙ったのは良いが内容が伴っていないシャシンも散見される。こういう脱力するような構図はしばらく続くのだろうか。

 洋画は豊作であったとは思うが、個人的な好みを別にしても、ハリウッド製があまりランクインしていないのは残念。やはりネタ切れなのかもしれない。話題としては「ボヘミアン・ラプソディ」のヒットが挙げられる。観た者が映画そのものよりも、題材と自分との関わりを語りたくなるという、面白いパターンが見られた。

 なお、以下の通り各賞も選んでみた。まずは邦画の部。

監督:吉田恵輔(犬猿)
脚本:上田慎一郎(カメラを止めるな!)
主演男優:松田龍平(泣き虫しょったんの奇跡)
主演女優:趣里(生きてるだけで、愛。)
助演男優:リリー・フランキー(万引き家族)
助演女優:樹木希林(日日是好日)
音楽:Hi’Spec(きみの鳥はうたえる)
撮影:近藤龍人(万引き家族)
新人:中川大志(坂道のアポロン)、南沙良(志乃ちゃんは自分の名前が言えない)

 次は洋画の部。

監督:コーネル・ムンドルッツォ(ジュピターズ・ムーン)
脚本:アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン(ラブレス)
主演男優:ホアキン・フェニックス(ビューティフル・デイ)
主演女優:アレクサンドラ・ボルベーイ(心と体と)
助演男優:ウィレム・デフォー(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法)
助演女優:ソーナム・カプール(パッドマン 5億人の女性を救った男)
音楽:ジェド・カーゼル(ジュピターズ・ムーン)
撮影:ブリュノ・デルボネル(ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男)
新人:ティモシー・シャラメ(君の名前で僕を呼んで)、イザベラ・モナー(ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ)

 ついでに、ワーストテンも選んでみる(笑)。

邦画ワースト

1.寝ても覚めても
2.斬、
 この2本を観て、国際映画祭にはもっとマシな作品を出品して欲しいものだと思った。
3.散り椿
4.検察側の罪人
5.銃
6.素敵なダイナマイトスキャンダル
7.来る
8.教誨師
9.孤狼の血
10.サニー/32

洋画ワースト

1.シェイプ・オブ・ウォーター
2.スリー・ビルボード
3.君の名前で僕を呼んで
4.ファントム・スレッド
 以上4本はオスカー候補作。それにしても、2018年度のアカデミー賞は低調だった。
5.キングスマン:ゴールデン・サークル
6.パシフィック・リム:アップライジング
7.ジュラシック・ワールド 炎の王国
 以上3本は、いわゆる“ダメな続編”の典型。
8.ザ・スクエア 思いやりの聖域
9.グッバイ・ゴダール!
10.2重螺旋の恋人
 いずれも、作家性の押し付けが鬱陶しい。

 さて、ローカルな話としては2018年には福岡市中央区地行浜にオープンした大型商業施設“MARK IS 福岡ももち”の中に、シネコンのユナイテッドシネマがテナントとして入ったことが映画ファンとしては有り難かった。2016年に閉館した“ユナイテッドシネマ福岡”の実質的な再オープンで、これで福岡市のスクリーン事情はいくらか改善されたと言える。

 ただし、2017年に閉館したTOHOシネマズ天神本館の代替施設の話は未だ聞かない。映画好きが多い土地柄なので、早めの対処をお願いしたいところだ。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

AIに映画評論は可能か?

2018-03-11 06:50:22 | 映画周辺のネタ
 最近、さまざまなメディアで人工知能(AI)というワードを目にすることが多くなってきた。個人的には、AIがプロの囲碁棋士を打ち破ったことが印象に残っている。一応私は囲碁の(自称 ^^;)有段者なのだが、以前は“囲碁はコンピューターが最も苦手とするゲーム”だと思い込んでいた。何しろ、将棋やチェスに比べてプレイする空間が格段に広いし、手順の数も天文学的。コンピューターが付け入る余地はほとんど無いと勝手に合点していたのだった。だが、進化する人工知能は、そんな先入観を軽く粉砕してしまった。本当に驚くばかりである。

 さて、先日知り合いが“AIがいくら進化したといっても、映画や小説の評論なんか出来るはずが無い”と言っていたが、私は違うと思う。私は文系なのでAIの詳しい絡繰りなんか分からないが、その解析能力を活かせば、将来は並の評論家よりも遙かに作品の内容を詳細に把握した“正確な”コメントを提示出来るようになると想像する。

 話を映画に限定すると、往年の名監督である牧野省三は、映画製作のモットーに“1.スジ、2.ヌケ、3.ドウサ”を挙げていた。言うまでもなく、スジとは脚本のことだ。ヌケはとは撮影・現像の技術を指し、ドウサは俳優の演技のことである。つまり、一番重要なのはシナリオであり、技術や演技は二次的なものであると断言していたのだ。この原則は現在でも通用する。

 脚本で大事なのは、話の辻褄が合っていることである。プロットの整合性の何たるかをAIに覚えさせれば、シナリオの出来不出来なんか簡単に判別することが可能なのではないか。映画評論が映画製作の根幹を論じるものであるならば、シナリオ解析だけで評論は8割以上は完了してしまう。当然、脚本に不備があれば、どんな超大作や話題作でも“失格”の烙印を押される。

 もちろん、世の中には通常のドラマツルギーを逸脱していながら、傑作や秀作の域に達している映画も少なからず存在している。ならばそんな作品に対しては、AIのシナリオ解析能力を元にした評論は役に立たないと一見思われる。しかし、それもある程度は対応可能だろう。ストーリーの整合性を凌駕するほどの映像の喚起力や俳優の演技、あるいは才気走った演出家の仕事ぶりといったものを別個のファクターとして解析し、そのヴォルテージとプロットの整合とを天秤に掛けて、総合評価を導き出せば良い。

 その解析力は、AIが得意とするディープラーニングがモノを言う。何がその映画を傑作や秀作たらしめているのか、その分析の対象を区別する際の“着眼点”を自動的に見つけ出せば、より“正確な”評論が可能になる。

 なぜ以上のようなことを考えたのかというと、あまりにも脚本に手を抜いた映画(特に邦画)がはびこり、またその欠陥シナリオを擁した作品が何だか訳の分からない“(作品を取り巻く)空気”みたいなもので、場違いに評価されてしまう例が散見されるからである。少なくとも、関係者への“忖度”を優先した提灯記事などは、百害あって一利無しだ。AIに評論を任せた方が、よっぽど良い結果が得られるだろう。

 前述の牧野監督は、大正12年に設立したマキノ映画製作所において、若い脚本家の育成に力を入れていた。また、彼らには当時の監督よりも高額のギャラを与えていたという。優れた映画には良質のシナリオが不可欠だ。脚本家のレベルアップと待遇改善こそが、日本映画を盛り上げる重要な手段であると思う。AIによるシナリオ分析もその一助になるかもしれない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする