ニューヨークの想い出

ニューヨーク生活20年間の想い出を書いていこうと思います。

111、ソルトレイク・シティ

2008年03月07日 | Weblog
シカゴからサンフランシスコに向かって大陸横断をしているときに、ソルトレイク・シティで途中下車しました。
ニューヨークを出発して4日が経ち、そろそろシャワーを浴びたいと思ったことと、後述するモルモン教の総本山「テンプルスクエア」を見るためです。
安ホテルに泊まってゆっくり休みました。

ソルトレイク・シティ(Salt Lake City)はユタ州の州都で、ロッキー山脈の西部に位置しています。
市の西側にはグレートソルトレイク(大塩湖)があり、町の名ソルトレイク・シティの由来になっています。
この湖には周りから多数の川が流れ込み大量の鉱物塩を運んできます。
流れ出る川は無いのでイスラエルの死海のように塩分濃度が高くなっています。
塩分濃度が高すぎるため生物はほとんどいませんが、「ブラインシュリンプ」という小さなエビだけが生息しています。
町から湖までバスで行きましたが、周りの砂が塩で白くなっていました。
海のように大きく、琵琶湖の9倍の広さがあります。

ソルトレイク・シティはモルモン教の末日聖徒イエス・キリスト教会の町として知られています。
町の中心にある「テンプルスクエア」は広大な敷地内に礼拝堂、集会所、ビジターセンターなどがあり、信者が案内してくれます。
テンプルは御影石で作られた6つの尖塔をもつ神殿で、洗礼や結婚式などに使用され、信者しか入ることができません。
6,500人を収容できる礼拝堂では、大きなパイプオルガンの演奏や聖歌隊の歌声を聞かせてくれます。
とにかく豪華で大きいという印象でした。

モルモン教は創設者ジョセフ・スミスによって1830年、ニューヨーク州フェイヤットの教会で発足しました。
カトリックでもプロテスタントでもない独自の経典、世界観、宗教観をもつキリスト教で、当初は異端扱いされ迫害を受けました。
アメリカにはキリスト教の宗派が400以上あると言われています。

ジョセフの後継者ブリガム・ヤングは、迫害を避けるため新天地を求めて流浪の旅を続け、オハイオ、ミズーリ、イリノイと渡り歩き、ソルトレイク湖畔へ到達しました。
多くの死傷者も出しながら苦難を乗り越えこの地に辿り着いたヤングは、辺りを見渡し「This is the place」と言って町の建設を始めました。

モルモン教には厳しい戒律(タバコ・酒・コーヒーの禁止など)があり、2年間(女性は1年半)は自費による宣教師活動が奨励されています。
日本でもアメリカ人の信者がモルモン書を持って宣教活動しているのを見かけることがありますが、全世界に1,000万人以上の信者がいます。
私もアメリカにいるときモルモン教の友人が何人かいましたが、皆まじめで穏やか、親切でした。
第二次世界大戦中に日系人が強制収容所に送られましたが、モルモン教の博愛と慈愛の精神は戦後それらの日系人を受け入れました。
ソルトレイク・シティには現在も日系人が多く住んでいます。

NBA(プロバスケットボール)の強豪、ユタ・ジャズがあります。
ユタはそれほどジャズが盛んではないのに、どうして名前がジャズなのか?
それは前身がジャズの聖地ニューオーリンズを本拠地としていたからです。

乾燥した空気と高い標高という絶妙の自然条件によって作り出される良質の雪“シャンパン・スノー”は、世界中のスキープレイヤーたちを魅了しています。
2002年に冬季オリンピックが開催されました。
また、IT産業も発展しています。

110、大陸横断鉄道

2008年03月01日 | Weblog
アメリカ大陸横断鉄道(Transcontinental Railroad)は東海岸と西海岸を結んでいます。
東の中心都市はニューヨーク、西の中心都市はロスアンジェルスですが、この2大都市を直接結ぶ路線はありません。
大陸横断ルートは4つありますがそのうち3本はシカゴが起点になっているので、大陸横断鉄道に乗るにはニューヨークからシカゴに行き乗り換えます。
アメリカ鉄道の中心はシカゴで、そこから放射線状に全米の主要都市を結んでいます。

4つの路線の、
1つ目は北部ルートと呼ばれるもので、シカゴからカナダとの国境付近を通って、シアトル/ポートランド(ワシントン州)まで行きます。エンパイア・ビルダー号
2つ目は中央ルートと呼ばれるもので、同じくシカゴからサンフランシスコ(カリフォルニア州)まで行きます。カリフォルニア・ゼファー号
この路線の見所はコロラド州デンバーからのロッキー越えです。
3つ目も中央ルートでシカゴからキャンサスシティを通って、ロスアンジェルス(カリフォルニア州)まで行きます。サウスウエスト・チーフ号
4つ目は南部ルートでオーランド(フロリダ州)からロサンゼルスまで、東海岸と西海岸を直通で結んでいます。両駅間は4457kmです。サンセット・リミティッド号
1~3は2泊3日、4は3泊4日の旅です。

私はこの4つの路線全てに乗りました。
80年代初めに北ルートと南ルートに乗ってアメリカ大陸を文字通り一周しました。
ニューヨーク→シカゴ→北ルートでシアトル→西海岸を南下→ロスアンジェルス→南ルートでオーランド→東海岸を北上→ニューヨーク。
サンフランシスコやニューオーリンズなどで途中下車し、2週間の旅でした。

列車は寝台車付で、幾つかのグレードがあります。
個室(2~4人用)が多く、デラックス寝台にはシャワーとトイレが付いています。
接客係がベッドの用意やモーニングコールなど、様々なサービスをしてくれます。
部屋には歯ブラシ、石けん、シャンプー、ひげそり、タオル等も完備されていて、まさに移動するホテルといった感じです。
私は個室ではなく、もっぱら通常の座席で寝ていました。

さらに列車には展望車があり一人で夜景を見ながら過ごすのもよいし、隣の人と話しながら楽しい時を過ごすのも良いでしょう。
展望車は椅子が外に向いていて、大きな窓から移り行く景色を見ることができます。
窓からは、大都市のビル群、見渡す限り広がる大草原、ミシシッピ川、雄大なロッキー山脈などのダイナミックで美しいアメリカの景色が楽しめます。
西部劇に出てくるような砂漠と岩山も通過します。
その景色は雄大で大草原を何時間も走ったり、見渡す限りのトウモロコシ畑が続いたりします。
全く違う顔を見せるさまざまな風景がアメリカ大陸の大きさを教えてくれます。
さらに、ニューヨークと西海岸の時差は3時間あり、途中で何回も腕時計の針を遅らせる必要があります。
これがまたアメリカの大きさを実感させます。

アメリカ大陸の鉄道網は全米を毛細血管のように広がっていて、総延長は24万kmに及び、全世界の鉄道の3分の1を占めています。
図は大陸横断鉄道を中心とした一部分です。