BAMBOO-JET  ~うみの部屋~

タケノコジェットでどこへでも!
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明るい旅情

2009-07-21 22:52:20 | 読書感想文
池澤夏樹さんの紀行エッセイ。
自らも旅行文学について語る小説家であり旅人な作者。
ちょっと変わった紀行文で面白かったです。
ご本人はハワイに住んだり、ギリシャに住んだり、沖縄に住んだり、今現在はパリに住んでますが、それ以外にも世界のあちらこちらを旅してます。
旅行記というよりは、旅に行ってみて感じたことなどが描かれたエッセイです。
なので、これを読んで旅した気分にはあまりなりません。
本書で出てくる彼が旅した場所は、スーダン、スペイン、ハワイ、ヴァージン・アイランズ、沖縄、カナダ、イギリス、トルコ、フィンランド、ギリシャなど。
私はこのうちトルコについて書かれた文章が読みたくて買いました。
ここでいうトルコとは著者が住んでたギリシャから見たトルコです。
イースタンブールのモスクの様子などが描かれており、自分が見てきた風景と比べ懐かしく思いました。
ほかにも、沖縄のやんばるについて書かれた項目、ミクロネシアの生物学者に会いに行くお話や、興味深かったのがイギリス人が旅行好きだったということ。
イギリスの旅行文学を取り上げていて、実際にその旅行作家に会いに行き、イギリス人の旅行文学についても語り合っている。
これを読んでるとなんかイギリスと日本は似てる気がする。
どちらも島国であり、外国というのは私たちにとって海外なのだ。
国境を陸で接している人々は海外という言い方はしないであろう。
また国境ならぬ越境(陸の上の県堺)についても書いていて、日本で唯一越境を感じる国は「沖縄」なのだそうだ。
北海道は青函トンネルで渡ることができる。
しかし沖縄だけは本州の間に橋もかけれず、海中トンネルも掘れず、飛行機で渡るしかない絶対の孤立県なのだ。
これは古本屋さんで買いましたが、今は絶版なので手に入ってよかったです。
○明るい旅情 池澤夏樹 新潮文庫