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新自由主義からの脱却を

2010-12-10 | 政治
コイズミ首相以下4人続いた自民党内閣で行われた新自由主義に基づく福祉切り捨て政策を批判して、民主党の政権交代が実を結んだ。その選挙で民主党は、「国民生活が第一」と叫んで、国民の圧倒的な支持を得て政権にたどり着いた。しかし、鳩山政権でも財源がないという理由で、福祉政策はなかなか進展しなかった。鳩山さんはそれでも理想を語っていたが、結局のところ福祉は前に進まなかった。

 菅政権になってからは、後退路線がやたら目につく。官僚とバトルを繰り広げた長妻厚労大臣を更迭して、官僚の言いなりになる大臣を作った。廃止するはずだった後期高齢者保険を作り直すと言って、さらに高齢者の負担を増やす法案をまとめた。介護保険では、さらに高齢者の自己負担率を1割から2割に引き上げようとしている。いったいこれのどこが選挙の時に叫んだ「国民生活が第一」なのだろう。自民党政権と変わらないばかりか、防衛大綱では武器輸出三原則を緩和して、死の商人の仲間入りをしようとしたり、原発を輸出して世界に死の灰の悪循環を拡げようとしている。さらにPTTなどという新自由主義の権化のようなアメリカの都合だけで作られようとしている条約に加わろうとさえしている。国民のことなどお構いなしだ。菅首相の目には、アメリカと財界のご都合しか見えてこないようだ。アメリカと財界におべっかを使っていれば、自民党も認めてくれるだろうと思っているらしい。そうして、限りなく民主党は自民党と同化してきた。

 でも本当はそうしなくても良いはずなのだ。国民に約束した福祉の充実は、財源がないと言いつのっているが、けっしてないわけではない。今日の朝日新聞に河野洋平前衆議院議長の投稿が載っていたが、彼が言うとおり、防衛費を削れば国民に新たな負担を求めないでも、福祉の充実はできるのだ。しかし、民主党政権のだれも防衛費の縮減に取り組もうとするものが見あたらない。対中国関係や北朝鮮問題を口実に、むしろ防衛費を増やそうとさえしている。防衛大綱の基本であった基盤的防衛計画を捨て去り、動的な防衛を標榜しようとさえしている。動的な防衛というのは、まさにアメリカの海兵隊が担っているような、即戦力であり、殴り込み部隊の創設に繋がるだろう。民主党政権が自民党でもできなかった反憲法的な防衛大綱を作ろうとしている。

 防衛費を削れば高福祉は十分達成できる。しかし、民主党政権は自民党などの野党が強硬に反対するからできないという言い訳をしている。しかし、それはウソだ。やる気がないからに他ならない。防衛大綱に日米同盟の深化、強化という言葉が入るそうだ。まさにこれこそが日本がアメリカの一部隊になって、アジアや中東に派兵することを予見させる。いくら自民党が反対しても、民主党は衆議院では過半数の圧倒的多数を持っており、予算案は参議院で否決されても自然成立できる。関連法案は、国民のためになり、平和のためになる内容であるなら、国民新党と社民党、内容によっては共産党も賛成して、3分の2以上で再議決できる。やろうと思えばできるのだ。

 国民新党との約束であった郵政見直し法案や、社民党との約束であった労働者派遣法の見直し法案など、自民党の新自由主義的政策を見直すことこそ、民主党がやらねばならないことだ。自民党といっしょになって新自由主義政策やアメリカ一辺倒政策を行うのでは、民主党は自民党といっしょにやがて崩壊していくだろう。菅首相よ。めざめよ。国民が何を望んで政権交代させたか、もう一度よく考えてみよ。

 自民党や公明党を納得させるために、小沢一郎を国会政倫審に多数決で呼ぼうなどと言う姑息なことは止めた方がいい。自民党や公明党にすり寄るのではなく、政権交代させた国民の意思に寄り添うことこそ、必要なことである。それができないようなら、菅政権は存在意義はない。

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