ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

ホタルの光ようやく

2010-05-30 | 花と自然
一度しまった冬物の衣装やマフラーなどをまたタンスから掘り出して来なければならないほど、今年の天候は不順だ。もう5月の終わりだというのに、3月頃の気候になっている。暑くて困るよりはいいが、なんとなく気持ちが悪い。

 ここのところの不順な天候のせいか、昨年よりも10日ほども遅れて、京都の琵琶湖疏水でゲンジボタルがようやく飛び始めた。なかなかホタルが現れないので心配していたが、昨日から疏水の植え込みや石垣の上でゲンジボタルの明るい明滅が見られるようになった。しかし、寒さがまだのこるせいで、ホタルもほとんど飛ばない。じっと草むらや木の枝、石の上に止まったまま、しずかに光を放っている。今年はいつ頃までホタルの飛び交う姿が見られるだろうか。明日から千葉の海に出かける。帰ってくる頃にはきっとホタルも元気に飛び交っているだろう。楽しみだ。

アメリカの属国から離脱せよ

2010-05-29 | 政治
署名を拒否する社民党の福島党首を罷免し、むりやり辺野古に基地を作るという政府方針を鳩山首相らは閣議決定した。「言葉に責任を持つ政治をやる」と、最後まで辺野古移転を拒否続けた福島さんには敬意を表したい。社民党もこの際、言行一致の姿勢をみせて、連立を解消すべきだろう。辻本清美国交副大臣は政権の椅子に未練があるようだが、政治はけじめが必要だ。たしかに民主党は政権交代によってそれまでの政治には考えられなかったような生活者重視の改革を始めており、それはそれで高く評価できる。社民党が連立に入って実現できた、もしくは実現できそうなことも多い。

 しかし、「国外、少なくとも県外」と言ってきた言葉を、いくら謝罪の言葉といっしょだといえども、「職を賭す」と言ってきたこととまったく異なる自公政権の辺野古基地建設に戻してしまうとは、鳩山首相は辞めるべきだろう。辺野古の海を埋め立てることは「自然への冒涜」と言っておきながら、辺野古の海を埋め立てて基地を作ることを決めるというなら、まずは自分が辞めるべきではないか。謝ればすむことではない。社民党は、鳩山首相の罷免を要求し、それが入れられない場合は、連立を離脱するべきだ。

 鳩山首相の思いはおそらく「善意」から出ている。できれば辺野古に基地を作りたくなかったのだろう。それでも官僚に負け、アメリカに負け、辺野古の基地建設を受け入れた以上、やはり申し訳なかったと謝って辞めるのが首相としての筋だ。それを福島さんを罷免し、自らの責任は軽く考えるのでは、首相の資格はない。

 自民党や公明党、みんなの党、その他有象無象の党も、鳩山首相の責任を追及しているが、これらの党が政権を取ったら、おそらく一番に辺野古に基地を作るだろう。鳩山首相の責任を追及することと、これまで自公政権を支えてきた諸政党に政治を任せることとはまったく異なる。鳩山首相に辞めていただき、ついでに岡田外相、北沢防衛相にも辞めていただき、もう一度普天間問題とアメリカ軍の日本駐留を考え直してもらいたい。それには外務省と防衛省の官僚は、ぜひとも外してもらいたい。彼らが口を出す以上、アメリカ一辺倒の政治から抜けることはできないからだ。

 今回の日米共同声明には、グアムへ移転する海兵隊の基地建設費を日本が負担することも書かれている。それと同時に、グアム基地の環境対策に日本がお金を出すことも容認するような文章がある。これはこれまで日本国内の米軍基地に対して出してきた「おもいやり予算」をアメリカの領土の中の米軍基地にまで拡げるという、およそ独立国とも思えないやり方だ。いつまでアメリカの属国に甘んじるつもりなのだろうか。なぜわれわれから集めた税金でアメリカ領土のアメリカ軍にまでお金を出すのだろうか。まったく納得できない。民主党といえども、対アメリカ政策は、まったくこれまでの自公政権と変わっていない。やはり、真にアメリカから独立できる政党をわれわれは育てなければいけないのではないか。
 

種子島はサーフィンの島

2010-05-27 | 南の海
大雨の京都を後にして、南の島へ出かけた。鹿児島空港は雨も上がり雲も明るくなっていた。鹿児島から南へ飛ぶこと25分で、種子島に着く。生まれて初めての種子島訪問。種子島といえば、鉄砲の伝来と宇宙航空研究所のロケット発射の宇宙センターくらいしか思い浮かばない。勝手に想像していたイメージは、隣の屋久島と違って平坦な島に、緑のあまりない畑が広がっている島だった。しかし、種子島空港の上空まで来て、イメージが間違っていたことが分かった。種子島は緑豊かな島だった。

 あまり高い山がないことは、隣の屋久島と比べて著しく異なる。それでも種子島は平坦とは言い難い。最高点は282mと低いが、常緑照葉樹林が山をこんもりと覆い尽くしている。もっとも平坦な場所は畑や水田が広がり、それは島と言うよりも本州の風景に似る。

 今、種子島はタケノコのシーズンで、どこへ行ってもタケノコが出る。孟宗竹のタケノコではなく、もっと細いニガタケと呼んでいるタケノコだ。東北や北海道で好んで食べるネマガリタケほど細くはないが、ややそれと似ている。あくを抜く必要がないため、そのまま煮込んで、ゆがいて食べられる。柔らかく、美味しい。民宿の夕食には、このニガタケの天ぷらと伊勢エビが一匹出てきた。立派な伊勢エビで、体長25cmくらいある。取れたてではなく、ゆがいて冷凍していたみたいで、ちょっと残念だったが、それでも十分美味しい。伊勢エビを食べるのは久しぶりだ。

 島の人に案内してもらい、島を見て回った。島全体を回っても、車なら3時間で回れる程度の島だ。海岸の風景が美しいのが印象的だった。なぜか? それは、海岸にほとんどコンクリート護岸や消波ブロックがないからだ。自然の造形がそのまま美しい海岸を作っている。砂浜はどこまでも広く、長い。砂がどんどん無くなりつつある本州の浜にはもう見られない光景が続いている。後背地には砂山が築かれ、昔の砂浜はかくあったのだろうと思わせる。この素晴らしい海岸の風景をいつまでも残して欲しいと思った。南の浜の先には、宇宙センターの発射台がそびえている。



 そういえば、種子島はサーフィンのメッカとして知られているらしい。砂浜が素晴らしいし、そこに作られる波が、サーフィンで有名なハワイの波とよく似ているらしく、全国からサーファーが集まってくるらしい。その人たちの中で、何人かはこの島の美しさと波のすばらしさに魅せられて、島へ移住してくると言う。古い人ではもう20年になる。100人以上の若者がこの島に移住してきている。特に仕事があるわけではないこの島に若者がこれだけ移住して住んでいると言うことは、島の自然が豊かで、定職が無くても食べていける島の豊かさがあるということ。食べさえできれば、それ以上望まなくても良いほどサーフィンが楽しめるということでもある。

 島の北端の喜志鹿崎から眺めた景色もまた素晴らしい。意外と近い種子島には、また来てみたいと思わせる何かがあった。しかし、隣の屋久島も行ってみたいが・・・。 



魚雷説と消えた米原潜コロンビアの謎 

2010-05-24 | 政治
消えたアメリカ原潜「コロンビア」の謎
 韓国軍部が哨戒艦「天安」の沈没した原因は、「北朝鮮」の魚雷によるものであると発表した。その証拠として、漁船の網に引っかかった魚雷のスクリューとそれに書いてあった「1号」という文字をあげた。日本のマスコミは、その発表を信じ込んで大々的に反北朝鮮のキャンペーンを始めた。そしてこともあろうに、鳩山首相は、「北朝鮮」への制裁を「先頭に立って」やるとう暴言まで吐いた。しかし、韓国の中では、この発表を一方的に受け入れる世論は作られていない。韓国のキリスト教団体など平和を求めてきた数十の団体が共同声明を出し、この軍部発表は信じられないと述べている。また、現在行われている地方選挙では、野党の有力候補は、この「北朝鮮」による魚雷攻撃説は、北風を利用する与党の欺瞞だと批判している。しかし、日本のマスコミは韓国のこの動きなど見向きもしなかった。

 韓国の哨戒艦が沈没した頃、このすぐ近くのペンニョン島海域で、日韓合同訓練が秘密裏に行われていた。この合同訓練は、表向きはもっと早く終了したはずだったが、「北朝鮮」の反発もあり、秘密裏に行われていたようだ。この海域は、「北朝鮮」は、南北境界線よりも北側であると主張している海域だが、ペンニョン島は韓国領で住民も居住しており、「北朝鮮」も住民のためのフェリー航路については、韓国の船の自由航行を認めている。もっとも韓国とアメリカは、ペンニョン島北側を境界線と主張しており、この海域は主張が重なっている海域でもある。いわば一触即発の海だ。そこで米韓が合同演習を行っていることに注意しなければならない。

 哨戒艦「天安」が沈没して46人の乗組員が死亡し、韓国には大きな衝撃が走ったが、実はほぼ同時に、アメリカの原子力潜水艦「コロンビア号」が、姿を消したことは日本のマスコミはまったく報じていない。NHKに相当する韓国テレビ局KBSは、「天安」の沈没救援に駆けつけたアメリカ軍のヘリコプターが「天安」の艦体が沈んでいるところではなく、ペンニョン島よりの地点に別のブイを浮かせ、そこで米国軍人の死体と思われるものを運び出したと報道した。どうやら、そこに何かが沈んでいるらしい。そして、この米韓合同訓練に参加していたはずの米原潜「コロンビア号」が、どこの港にも帰航していないことが明らかになっている。

 このペンニョン島近くの物体が米原潜「コロンビア号」だとすると、おそらく「平安」よりも多くの軍人が死んだ可能性があるが、米軍は「コロンビア号」の事故については、まったく発表していないし、どうやら完全に隠蔽しようとしているらしい。KBSの報道もそれ以後、いっさい報道しなくなった。WEBに掲載されていたこの番組の内容もただちに消された。米軍は「平安」救難活動を装って、「コロンビア号」に登載されていた核兵器を回収したのではないかと憶測されている。しかも原子力潜水艦であれば、原子炉も沈んでしまったわけで、放射能汚染が続く可能性もある。

 これらの情報をよく知りよく考えると、「北朝鮮」による魚雷攻撃という説は、どうやらきわめて怪しい。「北朝鮮」は、今回の発表に対して、ただちにまったくのウソだと言い、検問団を韓国に派遣したいと申し出たが、韓国はそれを拒否した。もし、「北朝鮮」が本当に魚雷攻撃をかけたなら、なぜ彼らは否定するのか。「北朝鮮」が本当に攻撃をする場合は、当然その成果を大々的に誇示し、国威発揚と宣伝に努めるはずだ。そうでなければ、攻撃するはずもない。

 韓国軍の高官の話(韓国の新聞「世界日報」)によると、使われた火薬の成分は、「北朝鮮」や中国・ロシアらが使っているものとは異なり、むしろ欧米や韓国の使っているものに一致するという。状況証拠は、コロンビア号と平安が間違って交戦し相打ちした可能性を示唆している。そもそも「平安」は、哨戒艦であり、「北朝鮮」との境界線付近の海で何もしないで航行しているはずはない。最新鋭のソナーやレーダーを駆使して常に警戒しながら遊弋しているはずだ。その「平安」が、「北朝鮮」の時代遅れの潜水艦を見つけることもできず、いきなり魚雷で攻撃され沈没するはずがない。おそらく、合同訓練でペンニョン島のごく近海に潜航していた「コロンビア号」を誤認して、お互いに攻撃しあった可能性がもっとも強い。「コロンビア号」がこの海域で合同訓練に参加していることは、「平安」には伝えられていなかったという。合同訓練がいかに機密で行われたかを示すものだ。

 それでは、韓国軍が発表した魚雷の破片というのは、何だろうか。それは確かに「北朝鮮」の潜水艦から発射されたものの残骸もしれない。しかし、その魚雷が今回の「平安」沈没に関わっていたという証拠はどこにもない。現場周辺はそのように常に軍事的な緊張のあるところであり、韓米の軍事訓練も、「北朝鮮」の軍事訓練も常に行われている海域であり、「北朝鮮」の魚雷の遺骸が沈んでいても何も不思議ではない。証拠として公開された魚雷の部品は最近のものにしては、あまりに古くさいし、付着生物が多く着いている。最近のものとは思えない。おそらく、中間選挙が近いこと、クリントン国務長官が来る予定だったことなどが、韓国軍があせって魚雷説を発表した理由であろう。アメリカの9.11謀略と同じ臭いがぷんぷん臭ってくる。

 韓国軍の魚雷説を、さも有り難そうに受け取って、それを沖縄に海兵隊がいなければいけない理由にして、辺野古に基地を作ろうなどとは、鳩山首相の軽さ・官僚頼みもここまで来たかと思う。しかも、どさくさにまぎれて、辺野古に自衛隊まで潜り込ませようとしている。東アジアの安定は米軍がなければできないのではなく、米軍がいる限りできないのだ。

鳩山さん、ごまかすな

2010-05-23 | 政治
 鳩山首相が沖縄県知事と会談し、辺野古に普天間基地の代替施設をお願いすることになったことで沖縄の人々にさらなる迷惑をかけることを謝罪したという。報道によるとそのときに、鳩山首相は「できるだけ県外にと言ってきたことがかなえられずに申し訳ない」と謝罪したという。ちょっとまってくれ。鳩山さん。あなたは、そう言ってはいない。貴方が言ったのは、「できるだけ国外、少なくとも県外」と言ったのだよ。ごまかしてはいけない。

 辺野古に戻ってきた理由を、安全保障上の議論がある、としか言わなかった。安全保障上の議論とはなんですか。「抑止力」ですか。冗談じゃない。アメリカにそう言われ、アメリカの意向に追随してきた官僚の言うままの議論で、「沖縄のみなさんのご理解を」得られるはずがないでしょう。こうなった以上、鳩山首相が何を決めても、どこにも代替基地は作らせない。作れない。

鳩山首相のふがいなさ

2010-05-23 | 政治
鳩山首相が沖縄を訪れ、最低でも県外へと言っていた普天間基地の移設先を辺野古に戻したことを謝罪したと報じられている。マスコミが正確に伝えているかどうかは分からないが、もしこれが事実なら、「なにをかいわんや」である。あきれかえってしまう。ましてや、その理由が「抑止力」が大事なことが分かった、とかいうものであるなら、鳩山首相は十分不信任に値する。普天間基地を撤去して、できれば国外、少なくとも県外、といって選挙で大勝したことを忘れてはいまい。これで普天間問題は決着とするようなら、少なくとも沖縄選出の民主党議員は全員辞表を出さねばなるまい。

 海兵隊が「抑止力」とは、いったい誰の入れ知恵なのだろう。おそらく防衛省、外務省の官僚たちの言うことを、そのまま信じたのだろう。官僚主導から政治か主導へという鳩山政権のおおもともおかしくなってしまったのだろう。沖縄駐留のアメリカ海兵隊は、一年の半分以上はイラク、アフガンを筆頭に世界各地に行って、戦争をしている部隊である。日本の防衛を行う部隊ではない。機動力があることを抑止力であるというなら、そもそも沖縄にいる必要もない。実際、主力部隊の8000人は、グアムに移転する計画が実行されつつある。鳩山首相がアメリカと交渉するなら、海兵隊は沖縄にいらないとはっきり言うことでしかない。それが言えなかったのがこれまでの自民党政権だった。だからこそ、民主党への政権交代に国民がこれほど期待したのだ。その民主党の首相が、自民党と同じように、やっぱり辺野古しかないというなら、民主党も自民党と同じアメリカの犬でしかない奴隷政党だと自ら証明して見せたことに他ならない。

 民主党が政権交代しても変わらなかったことはいくつかある。その一つが原発への対応だった。その大きい理由は、民主党の支持母体の一つである電気・電力労組が原発を推進していることであり、さらに経済界が原発推進で景気浮揚を狙っていることがある。ここでは、「コンクリートから人へ」という発想はけっして思い出されない。さらに事業仕分けでも、捕鯨を進める日本鯨類研究所への天下りと国の補助金にはいっさい口を出さないことにした。ここでもタテマエと本音があきらかに齟齬している。さらに防衛費にはまったく削減が行われなかった。予算が少し減額になったのは、けっして削減したためではなく、自然減や定員補充ができないことが理由であった。

 今度の参議院選挙では、「コンクリートから人へ」というスローガンも下ろすらしい。ついでに「生活第一」というスローガンも下ろしたらどうだろうか。羊頭狗肉であることがばれ始めているのだから。

 真に「コンクリートから人へ」「戦争から平和へ」「アメリカから独立へ」「利益偏重から環境重視へ」などのスローガンを掲げ、実行する政党を選びたい。

イスラエル建国のウソと2冊の本

2010-05-19 | 正義と平等
最近、イスラエルとユダヤ人に関するきわめて重要な本が2冊発行された。一つは、シュロモー・サンドさんというイスラエルのテルアビブ大学教授による「ユダヤ人の起源-歴史はどのように創作されたのか」。歴史学、考古学、聖書学、遺伝子学などを駆使した考察で、ユダヤ人とは誰なのか、について科学的に考察した本で、古代ユダヤ人の子孫は、イスラエル人ではなく実はパレスチナ人なのだという驚愕的な内容である。

 この本がイスラエルでも19週間にわたって連続ベストセラーになった。現在世界中で13カ国語に訳され、日本語版も発売されたが、わずか10日後に売り切れて増刷が始まっている。

 イスラエルと言えば、旧約聖書に書かれているように、古代ユダヤ人がローマ帝国によって神殿を破壊され、追放されてバビロンに流され(バビロンの虜囚)、その後世界中にばらばらに散り、2000年にわたって国を持たない民族として放浪し、第二次世界大戦ではナチスによってジェノサイド(ホロコースト)を経験し、1948年に欧米の援助で追放されたパレスチナの地に悲願の建国をした国として一般に知られている。この物語に重大な疑いがあるというのである。

 遺伝子調査の結果は、イスラエル人よりは、現在イスラエルから国を奪われ、イスラエルに支配され、理不尽にも殺され続けているパレスチナの人々こそ、古代ユダヤ人にもっとも近い民族であることが示唆されているという。しかも、イスラエルを建国した人たちの中にもその事実を知っていた人がいるらしい。イスラエルの初代首相も、第2代大統領もその著作に、パレスチナ人こそ聖書時代のユダヤ人の血をひいている民族だと示唆していた。

 そうすると、イスラエルというのはいったい何なのか。現在のパレスチナ紛争とはいったい何なのか。

 それを解明するためのもう一冊の本は、ロシア生まれのカナダ・モントリオール大学のヤコブ・ラブキン教授が著した『トーラーの名において ~シオニズムに対するユダヤ教抵抗の歴史~』である。彼は敬虔なユダヤ教徒で、ユダヤ教徒はイスラエル建国に反対していることを述べている。シオニズムによるイスラエル建国は神が約束した土地に帰るというトーラー(旧約聖書)の記述を利用した政治運動に過ぎず、ユダヤ教の教えとは異なるというのが、彼の主張である。

 【ラブキン教授】「すべての問題は、1948年に始まりました。少数のシオニストが、多数のパレスチナ人を、もともと住んでいた土地から追い出したのが原因です。大多数の住民の意思を無視したイスラエル建国を、国連が決議してしまったことで、周辺国は暴力の渦に巻き込まれたのです。パレスチナ人に対し、極めて不当な扱いを強いたことをまず率直に認めるべきです」。

 現在のイスラエルには、ユダヤ人が80%弱、アラブ人が20%強住んでいるが、イスラエルは「ユダヤ人国家」であると憲法で書いてしまっている。そして、占領した西岸地区や東エルサレムに世界中の批判を浴びながら入植地を作り続け、それを守るためと称して軍隊が駐留し続けている。パレスチナの街には常にイスラエル空軍が徘徊し、住民を殺している。欧米は第二次世界大戦時のユダヤ人差別や虐殺の歴史があり、同じような差別と虐殺を行っているイスラエルに止めろと言えない。

 しかし、この二冊の本は、イスラエルが行っている行為はほとんど根拠のない理由に基づいていることを明らかにした。ましてや、彼らが差別し虐殺しているパレスチナ人こそ古代ユダヤ民族の末裔であるとは、なんという歴史の皮肉であろう。シオニズムに毒されたイスラエルを、許さない国際的な連携が必要だ。そして、シオニストのユダヤ資本に牛耳られたアメリカの政策を正しい方向に向けることが世界の平和の必要条件であることが、はっきりと分からせてくれた二冊の本だった。

南国の王様ドリアン

2010-05-16 | 南の海
フィリピンに行ったときに、果物の王と女王と呼ばれるドリアンとマンゴスチンを食べた。たしかマンゴスチンが果物の王様と呼ばれていて、ドリアンは女王だったように思うが、フィリピンの人たちに聞くと、ドリアンこそが果物の王様だという。しかし、私にはどちらもあまり好きになれない。とくにドリアンはあの強烈な臭いもあり、果肉がまるで腐ったチーズのような臭いと口当たりがして、はっきり言って嫌いだ。まだマンゴスチンの方は、美味しさがある。

 今回のフィリピン行きで、このマンゴスチンとドリアンを同時に食べた。ドリアンはひとかたまりを口にしただけですぐに止めたが、マンゴスチンは勧められるままに、10個近く食べた。そうしたら、その夜に異変が出た。アレルギー反応だろうか。右の肩につぶつぶの発疹が現れ始め、みるみるうちに赤く腫れ上がりかゆみがし始めた。からだの他の部分にも肩ほどではなかったが発疹が出て、かゆみが続いた。アレルギー反応であることは確かだと思うが、食べた量からマンゴスチンが原因かなと思った。しかし、現地の人に聞くとマンゴスチンでアレルギーを示した人はいないという。おそらくドリアンだろうと。

 日本に帰ってからもはや3週間以上が過ぎて、肩の腫れはほとんど分からなくなった。しかし、かゆみは続いている。からだの他の部分の発疹とかゆみはなくなったが、肩の部分だけは時々手で掻こうと思ってしまう。耐えられないかゆみではないが、いまだにかゆみが無くならないのが嫌だ。ドリアンの強烈さは臭いだけではないらしい。もちろんアレルギー症状を示すかどうかは人によって違う。ドリアンを美味しいと思う人も多いのだろう。だから果物の王と呼ばれる。フィリピンの人たちは非常に好むらしい。

 フィリピンの人たちがお土産にドリアンを買ったために、車の中はドリアンの臭いが充満して、乗るたびに嫌な思いにさせられた。ドリアン号だな、って嫌味も言ってみたが、彼らは動じない。ドリアンにはもうこりごりだ。南国の果物には美味しいものが多いし、種類も多い。その中で私がもっとも美味しいと思ったのは、パプア・ニューギニアで食べたマンゴーだった。あの味は忘れられない。椰子の実の汁も、汗をかいた後で飲むとまるで天国の飲み物のように美味しい。しかし、同じものをレストランでグラスに入れてストローで飲むと、お金を損したような気がするほど不味い。果物の味は味わうときと場所とその雰囲気でまったく違うから面白い。

鳩山さん 支持率を上げるには

2010-05-10 | 政治
混迷を深めているような気がしていた鳩山首相の普天間移設問題。5月末までに決着が着くとはとても思えないような感じだった。新聞の報道はかなり偏った見方なので、あまり信用はしていないが、それでも鳩山さんはいったい何を考えているのだろうかとはなはだ心配であった。

 そしてようやく鳩山首相が考えていることが見えてきたような気がする。彼が「できれば国外、少なくとも県外」「沖縄の人たちの負担をできるだけ軽減する」「沖縄の人たちの声を十分に聞いて」と言ってきたことは、十分に評価できる。だが、それは口だけだったようだ。鳩山首相の口から漏れてきた5月中の決着とは、どうやら沖縄や徳之島の人たちの民意をどう受け入れて合意を図るかということではなく、アメリカが認める案を作ると言うことだったようだ。

 「海兵隊の抑止力の重要性に思い至った」などというのは、結局はアメリカの主張を認めざるを得ないということの裏返しでしかない。日米安保の抑止力の必要性を認めたら、あとはアメリカの言いなりになるしかない。これまでの自民党政権が良い例だ。沖縄の人たちの負担を軽減し、抑止力を維持するなら、日本中にアメリカ軍の基地をつくることになる。でも日本人の誰も自分のところに基地を欲しいと思う人はいない。アメリカ軍の基地は誰からも歓迎されないものなのだ。

 沖縄だけで昨年一年間で1000件を超える軍人による事件・事故が起こっている。毎日平均して3件もある。それもヘリコプターや軍用機からの部品の落下事故、自動車によるひき逃げ、レイプ事件、照明弾の誤発射、などなどどれも危険きわまりない。しかも責任者のほとんどは刑事責任を問われることなく、アメリカに帰国している。これが独立国であるはずの日本が実はアメリカの属国でしかなかったこれまでの事実だ。

 鳩山首相が決着をつけるべきは、アメリカの認める案を作ることではなく、基地はいらないという国民の「民意」をまとめてアメリカに普天間基地の撤去を要求することでしかない。アメリカは海兵隊の本部と8000人の兵士をグアムに移転することに決めている。それなら、平和を愛する日本国民の意思として、アメリカ軍に少しずつ国外に出て行って欲しいということこそ、政権交代した民主党連立政権が言うことではないか。そうでないなら、自民党政権といったいどこが違うのか。鳩山首相よ。落ち込んでしまった支持率を再び上げるには、はっきりと普天間基地はいらないとアメリカに突きつけることだ。そうすればきっと国民は圧倒的に鳩山内閣を支持するだろう。

いまさらレヴィ=ストロースを読む

2010-05-08 | 読書
ポスト構造主義(ポストモダニズム)という言葉を聞き始めて、もはや30年以上が過ぎたように思う。
ポスト構造主義とはいったい何か、と思うこともなく、そもそも「構造主義」を
きちんと理解することもなく、気になりながらも忙しさに紛れて30年が過ぎてい
った。そういうわけで、遅すぎる読書になってしまったが、あらためて構造主義
の泰斗レヴィ=ストロースの古典「悲しき熱帯」を読んだ。続いて、レヴィ=ストロースの構造主義の紹介と解題を行った渡辺公三「闘うレヴィ=ストロース」を読んだ。

 翻訳が著者と同じ文化人類学の研究者によって書かれているので、なかなか難
解な文章を四苦八苦しながら読んだ。しかし、これはかならずしも翻訳者だけの
せいでもないらしい。解説書を読むと、レヴィ=ストロースの文章は、揶揄や諧
謔が至る所にあふれて、なかなか読みにくいらしい。それでもなんとか読了する
ことができた。

 読んだ後の感想は、なぜもっと早く読まなかったのだろうという悔しさだった。レヴィ=ストロースは昨年101歳で死亡した。彼自身の主要な仕事(南米インディオの社会構造の研究)は第二次大戦の前に行われたものであった。文化人類学もしくは哲学をもっと勉強していれば、必ず読んだはずの本だったからだ。物事の発展を歴史的に見るエンゲルスたちの史的弁証法にどっぷりと浸かっていた私としては、民族の社会構造の比較を発展段階の一部に規定することを否定する構造主義的な見方はこれまで持つことがなかった。彼の構造主義は、サルトルらの実存主義を批判したものでもあるが、実存主義そのものの理解があまりない私には、よくわからない。でも構造主義的な考え方に少しは理解ができたように思う。

 もっと若いときに構造主義を理解していれば、私の考え方にどのような変化が起こったか、今となっては考えようもないが、それでも史的弁証法的な考え方を止めることはなかったように思う。そもそも両者は本当に対立するものなのだろうか。レヴィ=ストロースが批判したのは、西欧中心主義的な分化のとらえ方であって、それが構造主義という形で出てきたのだろうと思う。

 レヴィ=ストロースの後半生の仕事「神話論理」をあらためて読んでみたいと思うのだが、巨匠が人生の半分をかけて書いた大部の本を読み通せるかどうか、不安でもある。きっと知的にも体力的にも負けてしまうのだろうが、それでも読んでみたいと思う。