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サンナシ小屋&京都から世界の愛する人たちへ

年の終わりに民主党の終わりを見る

2011-12-28 | 政治
野田民主党内閣がやろうとしていることは、政権交代で期待した人々の希望をまったく裏切るものばかりであることがはっきりしてきた。公約=マニフェストを完全に投げ捨てて、それまで民主党が批判してきた自公政権とまったく同じ路線に舞い戻ってしまった。野田佳彦という人間が、松下政経塾出身であることから、初めからあまり期待はしていなかったが、ここまで民主党の言ってきたことと違うことをやるとは、思わなかった。甘かったようだ。

 まず、普天間基地問題。移転先を「できれば国外、少なくとも県外」と言って、結局日米同盟を優先した鳩山内閣以来、民主党政権は菅首相も野田首相も、まったく沖縄県民の意向を無視してアメリカのご機嫌だけを伺う姿勢をあらためない。辺野古に新しい基地を作るための環境アセスメント評価書を年内に提出するというオバマ大統領との約束を、何が何でも果たそうとする野田政権は、午前4時という県民の裏をかいて、沖縄県庁に運び込んだ。まさに、アメリカのために日本を売る売国行為が防衛省の手によって行われている。自公政権とどこも違わない。

 消費税の増税は、次期総選挙を経ないで行うことはないというのが、民主党の公約だった。野田首相は、マニフェストに消費税の増税をやらないとは書いていないから、やっても問題にならないと居直った。まさに強盗の論理だ。震災の復興に必要だという増税に隠れるようにして、消費税の増税を推し進めようとしている。これは経産省官僚の手のひらに乗って動く首相の行動であることは、火を見るよりも明らかだ。政治主導という公約は、野田首相にとっては雑巾のように捨てるべきもののようだ。

 そして、八ッ場ダムの事業継続。あの自民党くずれの前原元国交相ですら、政権交代直後に八ッ場ダムの事業を中止すると言った。それが無駄な大型公共事業を見直すという民主党の公約であった。それを建設省出身の国交相を任命し、ダムを造るのがもっとも安上がりだという御用学者の言を利用して、無理矢理ダムを造ろうとしている。工事費の8割近くをすでに投資しているから、最後までやるのが効率的・経済的だと言うのである。馬鹿も休み休み言って欲しい。お金に換えられない環境を守ることこそ、ダム建設反対のもっとも大きな理由なのである。それを無視した国交省の官僚の論理。そしてそういう結論が出ることを十分予想して建設省出身の国交相を任命した野田首相は、初めから公約を投げ捨てるつもりだったとしか思えない。

 ことは八ッ場ダムに限らない。沖縄の泡瀬干潟埋め立て事業でも、貴重な自然を破壊して、コンクリートで固めたスポーツランドをつくるらしい。自公政権が始めた事業を、民主党政権は受け継いで工事再開を容認してしまった。コンクリートから人へ、というすばらしい民主党の目標は、野田内閣で完全に泥にまみれた。人からコンクリートへと、震災を良い機会に、フラッシュバックが始まった。

 そして、政権交代に期待した自民党の「郵政民営化」というアメリカ資本に日本の財産を売り渡す政策を元に戻す「郵政改革法案」も、労働者の権利を踏みにじり、失業者・貧困者を増やし続ける日本の現状を変える「派遣労働改革法案」も、すべてやる気がない。野田内閣がやる気を見せているのは、消費税増税法案。毎年3万人以上の自殺者が出ている日本の現状を変えようとはしない。増税で自殺者はさらに増大するだろう。生活保護世帯は、うなぎ登りになっている。まさに99%の貧困の上に、1%の金持ちを作る政策を野田内閣は推し進めている。

 そして、TPPへの参加表明。これこそ、野田内閣が経団連に顔を向けて政治をしている最大の証拠だ。日本の農業も漁業も林業も、一次産業はすべて破壊されるのは目に見えている。そんなものはなくなっても良いが、お金儲けはしたいという一部の経営者たちの思惑に乗って、野田内閣はTPPに参加して、アメリカの、いやアメリカ資本の窮状を救いたいらしい。日本がどうなろうと、アメリカ大事と官僚の手の内で動く首相。日本人は哀しい首相をもったものだ。第一次産業は、日本の食料を作っているだけではない。日本の自然環境を守る上でも大きな貢献をしている。TPPで外国の食料を買い付けると言うことは、日本の環境を徹底的に破壊することにつながる。国栄えて山河なし。民主党は、自民党と同じ道を歩もうとしている。

 そして、野田内閣は、原発推進でこのような大規模な被害を受けているにもかかわらず、原発を再稼働させようと、画策している。さらに原発を外国に輸出するという愚かなことを積極的にすすめている。まだ東電の福島第一原発の事故が収束する目処も立っていないのに、原発を輸出するなんて、道徳的にも許されないことだ。そして、福島第一原発事故の収束宣言。これほど国民を馬鹿にした言動はない。何十万人という人が、故郷を追われて日々の暮らしに困っているのに、世界へのリップサービスのために、収束宣言をするなんて、どこまで国民を馬鹿にしているんだろう。

 そして、武器輸出三原則を緩和することを決めたという。自公政権でもやれなかった軍事優先、経済優先の政策を、民主党政権がやろうというのである。そして、アメリカのF35戦闘機を買うことを決めた。1機が100億円もするものだ。なぜ、東日本大震災の復興でお金が櫃よなと気に、国民には増税を押しつけて、アメリカの戦闘機を買うのだろう。国民よりもアメリカ大事という姿勢がこれほど露骨な民主党政権とは思わなかった。自民党以上ではないか。

民主党から離党者が次々と出ている。八ッ場ダム継続と消費税増税に反対してすべての党役員を辞任した議員も出た。野田内閣の支持率は早くも大幅に下落している。小沢一郎は、来年夏の裁判判決で無罪を勝ち取るまで、動かないつもりのようだが、事態はもっと急を告げている。野田首相は、最後のあがきで解散をするかもしれない。そうしたときに、自民党路線と本当の意味の政権交代(政策転換)を目指すグループが、政界再編を行って対立することができるだろうか。もちろん、橋下の維新の会などというのは、自民党とまったく同じ路線でしかない。いや、もっと危険な石原慎太郎やたち日のグループといっしょに、日本をファッショの世界に連れて行くグループである。日本人はもっと目を開いて本質を見抜かなければならない。

今年の終わりに、民主党政権の断末魔を見ようとは思わなかった。大震災と同じように、今年は、日本の厄災が続く。

ジュゴンを見て 異常気象に驚く

2011-12-24 | 南の海
フィリピンのミンダナオ島に、またまたジュゴンを見に行ってきた。今回は、前回と同じように2ヶ所の町へ行き、3ヶ所の海を見てきた。今回は、まったく幸運なことに、どの場所でもすぐにジュゴンを見ることが出来た。最初の場所のニューアルガオでは、到着して塔にのぼって見始めていると、地元の人たちが、やあいらっしゃいと挨拶に来た。彼らと笑顔で話していると、村長がやってきて、やあやあと挨拶を交わした。その直後、村長がジュゴンがいる、と指さす方を見ると、なるほどジュゴンが現れた。しばらくみんなでそのジュゴンを見ていると、やがて右の方にもジュゴンがいることに気がついた。さっそく2頭のジュゴンを見ることが出来た。それもすぐ近くの海だ。いっしょにいった3人とも今回初めて見たというので、興奮気味。こんなに近くで見えると思わなかったという。

 もう一つの町、マティにでかけた。ここではプハダ湾とマヨ湾という海があり、どちらもジュゴンが現れるという。プハダ湾は大きい湾だ。マヨ湾は小さな湾。マヨ湾では砂浜で大きな波が打ち寄せていて、若者たちがサーフィンを楽しんでいる。ここからもしょっちゅうジュゴンが見られるという。ジュンとよばれるサーフィングループの頭が、ジュゴンの姿を見つけてくれた。けれどもここは波が荒くて潜水するのが大変だ。近くに桟橋がないので、沖にボートを浮かべて、そこまで潜水道具などを運ばねばならない。海岸からエントリーするのは、波が荒くてとてもじゃないが無理だ。みんなシュノーケリングでボートまで泳いでいき、現地の海人にタンクやウエイトをボートまで泳いで運んでもらうしかない。かれらは大波の中をフィンも付けないで、ウエイトやタンクを運んでいく。すごいなあと眺めるしか、われわれにはできない。

 帰る日に、朝から雨が降っていた。テレビも新聞も読んでいないので、まさかその雨が台風の雨だとは思いもしなかった。空港に来ると、台風がやって来ているという。早朝にダバオ空港を飛び立ち、マニラに向かう。接続の悪さからマニラ空港で5時間待たされて、日本へ飛び立った。マニラの国際空港(ニノイ・アキノ国際空港)は、比較的新しい空港なのだが、チェックインしたあとは、まともなレストランもない。ちょっとした免税店があるだけで、あとはコーヒーを飲む店が一軒あるだけである。こんなところで5時間過ごすのは、もう退屈の一言。日本はもちろん、東南アジアでもどこの国の国際空港でも、いろんな豪華な店がところせましと並んで、観光客に最後の財布の紐を緩めさそうと、競っているのに、マニラの空港はあまりにそっけない。商売気はまったくないのである。

 さんざん待たされて、日本へ帰ってきた。そしてテレビのニュースを見て驚いた。ミンダナオを台風が襲って、1000人を超える人が洪水にあって死んでいると言うじゃないか。いやあ、びっくりびっくり。ちょっとの差で、大変なことになるところだった。もっとも被害の多くはミンダナオの西側、カガヤン・デ・オロやイリガンなどの地方のようだ。私が行っていた南ダバオ州、ダバオ州、東ダバオ州などは、雨は多かったようだが、洪水の被害が出るほどではなかったようだ。それにしても、もうとっくに雨季が終わっているミンダナオで毎日のように雨に遭うとは思わなかった。そして、台風。ミンダナオに台風が来るのは、4-5年に1回程度。非常に稀なことだ。地元に人の話によると、今年は異常な天候だという。日本でも津波だけでなく、西日本では異常な大雨があり、タイではバンコクまでも未曾有の洪水に逢っている。どうも気候がおかしくなってきている。原発のせいとは言わないが、あらゆる異常な現象がつながっていると感じるのは私だけではないように思う。真剣に考えると恐怖だが、そういって考えないようにしていた原発の事故が、やっぱり起こってしまったように、考えないことはその場しのぎでしかないのだ。もっとみんな真剣にその恐怖を考える必要があるのではないだろうか。

税金による東電支援は許されない

2011-12-07 | 政治
東電フクシマ原発事故によって福島県の強制避難地域以外の住民と避難者に、損害賠償金を一人8万円と文部科学省の原子力損害賠償紛争審議会が決めた。高い放射能レベルの土地から逃げ出した人も、さまざまな理由で逃げ出すことができずとどまった人も、おしなべて一人たった8万円だ。もっとも妊婦と子供は一人40万円としているが。それでも、たった40万円だ。二ヶ月の生活費程度。その合計金額が約2160億円になる。しかも、会津若松市や白河市など26市町村は支払われないことになった。被害が広範に広がっているにもかかわらず、賠償範囲を狭くした結果だ。

 ところで、この賠償額は誰が払うのだろう。当然、東電が払うべきだと思うのだが、どうやらそうではないらしい。枝野経産大臣は、このたび9000億円を東電に支援することを決めた。国民の税金を東電に渡す。あんな過酷な事故を起こして誰も責任をとらない東電に税金まで差し出すとは、いったいどういうことなのだ。しかも、この9000億円は、東電への貸付金でもなく、返却の義務もない。ただでくれてやるというのだ。東電は、国策会社であるとはいえ、一介の民間企業である。しかも、日本の国土と人々に甚大な被害を及ぼす事故を起こしている。その会社に税金が9000億円。これは許せない。しかも、9000億円の使い道に制限はないというのだ。事故後もそれまでの高額の給与をもらい続けている東電の役員や幹部の給料の支給にも使えるのだ。これはどうあっても許せない。

 政府・経産省は、これ以後も東電への資金援助を増やし、最終的には20兆円ものお金を、ただでくれてやることにしているという。とても庶民感覚では、こんなひどい話を許すことはできない。損害賠償で東電がつぶれるから、国営企業にしてお金を入れるというのなら、まだ話は分かる。ところがそうではないらしい。東電は、むしろ電気代の値上げで今後黒字になる算段をしている。誰も責任を取って辞めず、給与も減らさず、すべて国の援助をあてにしている東電という会社は、存在自体許しがたい。一人ぐらい責任を感じて自殺するくらいの人が出ても不思議じゃないほどの大事故を起こしているのだが、そういう人がいたという話は聞かない。責任を感じるというようなことには、無縁の会社なのか。

 原子力事故賠償支援法は、東電を救うためにしか存在しない法律だ。国民を痛めつけ、国土を汚した会社に、国民の税金を注ぎ続ける。この法律に賛成した、民主党、自民党、公明党は、恥を知るべきだろう。東電から陰に陽に支援してもらってきた議員は、すぐに辞めて欲しい。

ようやく京都の秋

2011-12-04 | 花と自然
京都の紅葉は、今週になってようやく見頃を迎えたようだ。もう12月だというのに。温かい秋が続いたので、今年は遅い。気候まで今年は異常だ。もっとも毎年、今年は異常だという年が続いているが。何が異常なのかよく分からないほど異常なのだ。

 まだ見られるというので、京都八瀬の瑠璃光院に行った。瑠璃光院の庭はきれいだという話は何度も聞いていたので、一度みたいと思い、比叡山に登る登山口でもあるので、比叡山登山の時にときどき寄ってみたのだが、いつも拝観できませんと書かれて、山門は閉ざされたままだった。どうやら春と秋の限られたときだけしか拝観は許されていないらしい。ようやく拝観可能な期間にあたっていたようで、山門から入ることができた。

 このお寺は浄土真宗のお寺だった。私の家の宗旨だ。このお寺でできる写経の経文は、般若心経ではなく、南無阿弥陀仏を唱える真宗のお経で、私が子供の頃、毎朝毎晩聞かされていたお経だった。今でもそのお経をかなりの部分唱えることが出来る。そう言う意味では懐かしいお寺だ。阿弥陀如来も我が家の掛け軸にあった姿が、そのままご本尊として鎮座していた。もっともここのご本尊は立像だ。左足を少し前に出し、体がやや前に傾いているので、衆生を救いに出かけるところだという。同じような話を大原三千院の菩薩たちについても聞いたことがある。本当かしら。

 瑠璃光院の圧巻は、やはり庭の紅葉にある。瑠璃の庭と名付けられた庭にいろんな種類のモミジが植わっていて、紅葉の時期が少しずつずれているので、いろんな程度の紅葉が一度に見られる。さらにこの庭をみるのが、瑠璃光院の二階の書院からになっているのが、他の寺とちょっと違う趣向だ。しかもそれがなかなか良い。甍の上に伸びるモミジの紅葉を180度の展望を持つ書院の廊下から、見ることが出来る。そして、見事なモミジの赤い赤い色。視界全面に赤いモミジ。そして、庭の地面は厚い緑の苔の絨毯。この対比がすばらしい。

 わずかな時間だが、庭を見ながら抹茶を飲み、のんびりと時を過ごした。秋深し、隣は何をする人ぞ。