かつてのJR各社には、専用機関車が存在していた。その象徴とも言うべき機関車は、EF5861号機という御召用電気機関車だろうが、国鉄時代とは違って、民営化されて以降は、全国各社それぞれに趣向を凝らした客車列車を持ち、合わせてその編成をけん引する機関車を持っていた。今にして思えば、何とも贅沢な華やかな時代だったのだ。その名残が、現在でも現役機を貫いているEF8195号機のレインボー機、そしてEF651124号機のトワイライトEXP機ということになるだろうか。しかし、ペアを組む客車そのものが引退してしまい、けん引機だけが残っている現実は、かつての栄光を今に引きずっているようでどこか物悲しい。実際には、専用機と言えども、常にペアを組んでいた訳ではなく、一般機が牽くことも多く、だからこそ機関車と客車がマッチしてやってきた時は、心底嬉しかったことを思い出す。
客車そのものがここまで減少した現代で、専用機関車を望むのであれば、やはり年々増加傾向にあるブロックトレインを牽く機関車の専用塗色化だろうか。ブロックトレインとは、トヨタロンパスに始まり、西濃運輸、福山通運と全国を縦断している専用特急コンテナ列車のこと。それぞれの列車に専用機関車が登場すれば(もちろんヘッドマーク装着で)、PR効果は抜群であり、さらに環境問題が重要視されている現代において、鉄道貨物輸送の発展に繋がっていくのではないかと期待してしまう。鉄道路線の存続意義のみがとり正されている現代で、本来の鉄道の底力を見せてほしいと切に願いたいのである。
掲載写真は、仙台地区に所属していた和式客車「オリエントサルーン」を牽く専用のED75711号機。当時はブルートレインとはまた違った魅力に刺激を受けていたアントンKだった。
1993-11-06 9227 ED75711 JR東日本/磐越西線・更科信号所付近
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます