新日本フィルによる定期演奏会では、聴衆のリクエストから選曲し、音楽監督である上岡敏之がプログラムを組むといったコンサートがある。今年は7月のコンサートがそれで、メインはその時大変話題となったベルリオーズの幻想交響曲だった。次回は来年の夏を予定していて、ちょうどこの時期がリクエスト受付けの期間中だと聞いている。
アントンKも、今まで上岡/新日本フィルの演奏会を幾度となく鑑賞してきて、その新たなスタイルとでもいうか、自分の中での今までの概念を覆してしまう独自性の強い解釈を目のあたりにし、新たな発見を楽しむようになったが、こうなると、このコンビでどんな楽曲を聴いてみたいか、という贅沢な妄想が沸いてしまう。
考えてみれば演奏曲をリクエストできるなんて、何と贅沢な話だろうか。カラオケで好きなナンバーを入れるように、銀座のクラブで思い出の楽曲の演奏を聴くように、聴衆側の想いで選曲できることは、かつてなかった試みではないだろうか。リクエストを募ることで、聴衆が今望む楽曲がどんな傾向か理解できるだろうし、今後のプログラムの参考に大いに生かせるはず。ありとあらゆる聴衆の希望に沿うことは困難だろうが、これらリクエストされた楽曲に上岡氏の音楽への想いをプラスさせ、意味のある構成を期待したくなることは自然の成り行きだ。
さて今回アントンKも僭越ながらリクエストさせて頂き、投稿を済ませたところ。一応それら楽曲を下記に列記しておく。どれも自分にとって思い入れのある楽曲ばかりだが、ポイントは、自分が好きだけで選曲したわけではないということ。あくまでも上岡敏之と新日本フィルのコンビで聴いたら、どうだろう?と夜も寝られないくらいワクワクしてしまうものを選曲した。数々の有名な楽曲でも、演奏家や指揮者が全く別の光を当てることによって、かつて聴いたことのない感動を生むとアントンKは考え、そのことが、クラシック音楽の醍醐味だと常々思っているからである。
リクエスト1 R.シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」OP40
リクエスト2 R.コルサコフ 交響組曲「シェラザード」 OP35
リクエスト3 チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲ニ長調 OP35
今回は、以上3つの楽曲をリクエストした。
どれもメジャーな楽曲ではあるものの、現在の上岡/新日本フィルにて鑑賞したいと思うもの。アントンKが今まで鑑賞の中心に置いていたブルックナーやベートーヴェンからチョイスせず、敢えて選曲してみた。もちろんそれぞれ細かな条件を付けたいのだが、絶対に外せないのが、ソロVnをコンマスの崔文洙氏でお願いすること。英雄の生涯は、彼が新日本フィルのコンマスとして招かれるきっかけとなった楽曲だそうで、是非とも精神性の高い音色であのフレーズを噛みしめたいところ。シェラザードやチャイコフスキーの協奏曲についても同じで、長年ロシアで研鑽を積まれた崔文洙の芸術性を体験したいと考えた。時に温かくそして優しく語りかけてくれる彼の奏でる音色は、生きる勇気を与えてくれるのだ。
今後、次回のリクエストコンサートも楽曲が発表になるだろうが、自分の選んだ楽曲はともかく、楽しみにその時を待ちたいと思っている。