アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

スクロヴァチャフスキ かくしゃくなり

2014-10-11 21:00:00 | 音楽/芸術

読響の定演に行ってきた・・・

ちょうど3年前にも、スクロヴァチャフスキの指揮するところのブルックナーの演奏を聴くためにチケットを手に入れている。その時は、ザールブリュッケンという来日オケであったが、読響の定期演奏会には、よくスクロヴァチャフスキが呼ばれて、ブルックナーの演奏を行う。前回の3年前は、第9交響曲であったが、今回は、第0番という初期の交響曲だ。彼の解釈は、独特であり、おそらくブルックナーをよく聴いておられる方々からは、賛否が分かれることだと思う。それは、オケの細部まで手を入れて、自分の音、響きを形成するため、新しい発見は多々あるものの、音楽自体をコンパクトにしてしまう。アントンKにとっては、これが大変面白く聴こえて、また今まで聴いたことのない音色を感じたとき、前回の9番の演奏を思い出しても、聴いていて何度背筋がゾクゾクしたことか!しかし今回は、初期のシンフォニーだから、どのように演じるのか興味はあった。

実はこのスクロヴァチャフスキは、過去にも、ブルックナーの交響曲を順番に採り上げており、アントンKも今回の0番を読響で聴いている。調べないとよく覚えてはいないが、おそらく10年以上前のことと思われ、その時の印象もあまり強烈に残ってはいない。自分の中では、やはり後期のシンフォニーの解釈が面白く、実演は逃したくないと思っていたが、今日の演奏に触れて、この考えが変わった。

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ここまで書いたところで、今日(10月11日)は同一プログラムのマチネの演奏会に急遽行ってきた。

ブルックナーの音楽は、不思議なところがある。他の作曲家の交響曲より演奏時間が長めにも関わらず、聴き終わると、またすぐに聴きたくなることが多い。確認したくなるとでも言うと的を得ているか。そんなこんなで、今回は横浜みなとみらいへ急行した。スクロヴァチャフスキのブルックナーは別格と思っているアントンKにとつて、今日のプロは、もちろん前半のブルックナーがメインだが、おそらく今日の客席を見渡してほとんどの聴衆が後半に演奏されるベト7目当てであることは容易に想像できた。マチネということもあり、どことなく穏やかな明るい雰囲気に包まれていた会場であった。

一昨日の演奏で、もう一度確認したかったところを今日もう一度聴いてみたい。その一心でやってきてしまったが、それは、第1楽章の展開部における木管楽器群の表情で、一昨日のサントリーホールでは、ちょっと聴き取れなかった箇所は、やはり思っていた通りにやってくれて一安心といったところ。一番好きなところだけに気になって仕方なかった部分なのだ。ここは、木管楽器が掛け合いで主題のモチーフをそれぞれ演奏し回想していくところだが、弦楽器の転調に合わせて散りばめられているこの部分が特にお気に入りなのだ。それにしても、第1楽章の出からして、これ以上ないと思えるくらいの良いテンポ感なのだろうか。低音に重きを置き、安心して音楽に身を委ねられる感覚になる。コーダ手前で、ホルン4本の強奏のためのベルアップ(マーラー風?)には、少し驚いたが、中間部におけるトロンボーンの最強奏も納得だし、この地味で無骨な交響曲をさらに魅力的に変えていたように思う。そして何といっても、スケルツォについて触れておきたい。田舎の舞踊音楽のようなスケルツォはいつもと同じだが、主部の弦楽器が特徴的であった。下降音型の部分で、三拍目に強いアクセントを加えてアルコで弾かせていたのである。これは偶然ではなく、今回の2回の演奏でそのようにやっていたし、明らかにスクロヴァチャフスキの要求によるものだった。アントンKは、このような解釈を過去に聴いたことがなく、とても新鮮に映った部分だった。(後で同指揮によるCDの演奏をも聴き返してみたが、このようにはやっていなかった)

今回のオケ、読売日本交響楽団は、他の在京オケ同様、益々好調なようで、こういった指揮者の要求にも、まるで何事もなかったように普通に演奏していることが素晴らしい。特にこの演奏会では、弦楽器群は特質物で、どの声部も雄弁であり、息を合わせて合奏するという行為を実感できた。スクロヴァチャフスキは、今年で91歳。その指揮振りからは、とても年齢は想像できないが、1日でも長く指揮台に上がってブルっクナーの演奏を我々ファンに届けて欲しい。次回の来日を首を長くして待ちたいと思う。

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読売日本交響楽団  定期演奏会

スクロヴァチャフスキ指揮

ブルックナー 交響曲第0番 ニ短調

ベートーヴェン 交響曲第7番   イ長調 

10月9日 サントリーホール

10月11日 横浜みなとみらいホール