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山は自力救済が原則です!

2009年08月07日 | トレッキング
最近の富士登山ブームで一つ気になることがあります。
それは、危機管理以前の登山意識の欠如が目にあまることです。

いまも、富士山には沢山の人々がアタックしていることと思います。
準備万端の方もいる一方、準備不足で救護所のお世話になるような方もいるかと思います。

先ず、登山をしようと思ったときには、計画が必要です。これは登山に限りません。たとえば、どの方向に行くのが適切であるという判断の羅針盤がないと船が目的地につかないのと同様です。

この計画を「山行計画(さんこうけいかく)」といいます。
この計画がしっかりしているかによって、登山のよしあしが判断されます。

先ず、誰と行くかが重要です。同じようなレベルの方々ばかりでは、チームがばらばらになります。必ず信頼を置くことができるリーダがいるチームに参加できることができると良いです。そうでないと、判断がぶれるからです。
山の中では、年長者も上司もありません。その山を熟知し、経験豊かな方の判断に従うのが原則です。また、初心者ばかりでは、計画の立案ができても、実行の段階での的確な判断ができないからです。
そして、そのリーダーやサブリーダの判断には絶対に従うこともまた大原則です。
チームは登山開始から下山するまで一丸となる必要があります。
先月の北海道では、ばらばらになってしまい、痛ましいことが起きたことも記憶にあたらしいと思います。

まず、山行計画として、富士山でいえば、4つのルートのうち、どのルートで行くかを決定するのが先ず最初の計画です。
我々でいえば、今年は「須走口登山道」を選択しました。
次に、いつ登山を開始するかという、日程計画が必要です。
この日程計画には、日帰り登山、夜行日帰り登山、一泊登山のパターンがあります。
今回は、8月の第一土日に計画し、夜行日帰り登山です。

この計画とともに、インターネットで登山口の情報、そして気象庁での天気概況の情報の取得を勤めました。また、登山計画には、緊急の場合の連絡先を確認することも肝要です。携帯に保存しているので、いざというときにみれば良いというようなことでは、不安です。携帯は電源が無くなることもあります。登山計画にはリーダー宅や知人宅に必ず、緊急連絡先がわかるようにしておきましょう!
富士山も決して例外ではないことは7月のいたましい事故からも明白でしょう。

今回は、5合目での宿泊の確保は深夜ではできないと判断し、東京を出立する時間ギリギリに判断しました。このような判断は、判断する方はつらいのですが、そこは決断です。その決断に全員従うこともまたチームの結束です。

仮に、その後一人で行動をとった場合には、今回のチーム以外での行動となり、自己責任となります。

また、山での事故や遭難を防ぐ方法として、事前の登山の知識、技術の習得が必要です。たとえば、救急医学の知識、救急救命法、山行計画の作成法、地形図の使用法、気象や観望天気の知識、登山技術の知識などです。
これらの技術の知識は、講習会もそうですが、実際に登山を通じて、登山歴のあるベテランの方々からの口伝も重要ですが、現在はそのような機会が少なくなっているのが現状ですが、各登山ショップで行うような講習会には是非とも参加してみてください。

なお、富士登山は、決して散歩のついでに登頂できるような山ではないことを肝に銘じて、山行計画の立案をしてください。

なぜ、このようなことを綴るのかというと、今回の登山で実際に目に余るような、服装で下山している人々を目の当たりにしたからです。冬山とはいいませんが、そのようになる天気概況の場合にはやはりそれなりの装備が必要ですし、体力が消耗する以前に、早めの下山や山小屋での休息の判断が必要となります。

富士山は夏山シーズンに登る山ですが、決して夏山ではありません。
完全な秋山です。秋山とは、氷点下以下で雪やあられが降ってくることです。
このような気象条件では、低体温症という病気になり、35℃以下の体温の維持ができなくなると、判断力の低下、意識レベルの低下、幻覚、幻聴、幻視、不整脈、筋肉硬直などの諸症状がおき、30度で意識がなくなり、28度で死の兆候である心室細動がおきます。
風速1mで1℃低下するといわれております。
今回も7合目では10℃以下であり、風速も10m程度吹いていました。
よって、体感温度は0℃となります。実際、御殿場市主催の富士山駅伝は、頂上での折り返しを中止し、7合目に変更したそうです。

よく、台風の暴風雨の中で、アナウンサーが中継する映像が流れておりますが、彼らは一瞬の中継であり、連続して数時間その場に立っていることはありません。
しかし、富士山に入ると、下山するまではそのような状況に何時間も身をおくことになります。

決して、油断しないで、ください。
危機管理は、前述したような万全の対策を採って上で、さらにどのような対応があるかをあらゆる角度から想定し、さらに万全を期して準備しておくものです。

多くの富士登山の初心者は危機管理以前で良いので、登山常識程度の準備をおこたらないようにしていただきたいと、切に願うばかりです。

さらに、登山の体力の使い方は、頂上までにすべてを使い果たすような配分では、登山失格です。山は頂上について、下山するまでが登山です。
よって、頂上につくまでは少なくとも50%以上の体力が残っていないといけません。ですから、登りはゆっくりと歩くことが慣用です。
会話できるような登山が理想的といわれるゆえんもここにあります。
息が切れると会話がなりたちません。

最後に、山と渓谷社から、つい最近出版された本をご紹介します。今回も一部参考にさせていただきました。

以前、「山と渓谷社」が出版する『山と渓谷』という雑誌に、21世紀を目前にして、安全登山宣言という特集がありました(2000年1月号)。それから約10年たちますが、遭難事故は増加に一途をたどってます。不幸にも遭難にあわれた方は、つらい思いをされたことと思いますし、訃報に接した方は、言葉もなく、ただただご冥福をお祈りするばかりです。

是非、皆さんには登山に行く前に一読されて、身をひきしめて、楽しい登山を楽しんできてほしいと願ってます。


山で死んではいけない。(遭難しないための知識と技術)「山と渓谷社」


後日(8/14)避けられた山岳遭難という記事がありました
避けられた山岳遭難事故(産経新聞)
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