A・Lohas・Ness

自然と共に楽しい知的なライフスタイルを提案します!

一期一会の演奏会(ギュンターフィルハーモニー管弦楽団&奥うららさん)

2009年11月30日 | クラッシック
一期一会の演奏会
音は奏でた瞬間の残響は残るもの、楽器や人間から発せられた音自体は残念ながら、一瞬にて消滅する。
しかし、奏でられた音が、人間の琴線にふれたときに、魔法のようにその音色は一瞬に変化し永遠に残る思い出の調べとなる。音楽の不可思議である。

その追悼演奏会は、2009年11月28日、駒場エミナースにて幕が開いた。
~ベートーヴェン アーベント~と題された音楽会は、序曲「エグモント」に続き、バイオリン協奏曲だ。
第1楽章が終わり、バイオリン協奏曲の第2楽章が始まった。

バイオリンの旋律が会場をゆっくりつつみこみ、まるで、羽をつけた大勢のエンジェル達に囲まれるようにして、天空に昇っていくようである。
ひと雫、ふた雫と頬を涙が伝わってきた。
あの偉大なベートーヴェンが作曲した至極の旋律である。
ピアニッシモが会場をささやくように駆けめぐり、聴衆はそのどのフレーズも聞き逃さないように、耳をそばだてる。演奏者の奥うららさん(ハノーファー国立歌劇場コンサートマスター)は、この演奏会を創立名誉指揮者の故石井善明氏と数年来暖めてきたそうだ。

今年の夏は最後の仕上げの合宿であった。そのとき、この旋律を追悼として奏でることは夢にも思っておらず、ドイツに帰国し、演奏会に向けて練習をつんでいた。
そう、楽員の誰もがそのようなことは全く思っていなかった。
第40回の記念の演奏会が、追悼演奏会になり、楽員の全員が在りし日の指揮者の姿を思い浮かべながら、追善演奏をおこなった。
会場の最後尾には、遺影が飾られており、会場のどこかで、見守っているようであった。
指揮者不在になったギュンターフィルは重原孝臣先生(楽員であり、ピアニストそして本業はシステム工学の教授)が急遽指揮を務めた。最後の交響曲「第7番」では、満身創痍の指揮でした。会場からは"bravo" が響いていた♪

創立名誉指揮者の故石井善明氏は、プロの指揮者ではなく、大阪大学の特認教授として、科学分野の第一線でご活躍されておられた。虚血性心疾患で9月にご逝去され、享年62歳でした。本当に残念でたまりません。

近年、アマチュア部門で高い評価がなされたこのオーケストラは、会場を訪れた方々により支持され、創立名誉指揮者の故石井善明氏のDNAが未来永劫引き継がれ、益々ご発展されることをお祈りします。

ギュンターフィルハーモニー管弦楽団の由来(HPより)
「ギュンターフィルハーモニー管弦楽団は、1980年秋、ウィーンフィルホルン奏者ギュンター・ヘグナー氏との協演を機に結成されました。以来「ウィーンの音楽を楽しむ会」として、ウィーンフィルの方々と協演することを主に、数多くの演奏会を持つに至りました。ギュンターフィルはウィーンの音楽、ウィーンの響きをこよなく愛し、日々成長する事を目指す人の集まりです。」
ギュンターフィルハーモニー管弦楽団の由来(HP)