昨日のBSの番組で東芝問題を取り上げていたのですが、その番組に登場していた政治家、評論家、元半導体の技術者それぞれの意見が違い、それに大変興味深い印象を持ちました。
政治家、評論家はこぞって日本の技術は日本に残すべきで、必要なら日本政策投資銀行などを通じて国家的な支援も躊躇すべきでないと強調していました。
私でも「それはそうだ。まったくそのとおり!」という感覚に一瞬なりましたので、いわゆるポピュリズム的な政策を取るなら国家的な支援によって東芝の半導体事業を救うという方向に向かってしまうだろうと絶望的な気分になりました。
一方で元半導体の技術者は、「半導体の事業というのは、いわゆるバクチなんです。今後新たな経営者を得る東芝の半導体事業は、バクチを打てる経営者でなければ勝てない。バクチを打たない経営をしたら消滅してしまう。」と一生懸命説明をされていました。
東芝以外の日本の半導体事業のほとんどが衰退してしまった本当の原因が、適切な時期に適切な内容の投資をバクチ的にする決断をしなかった(出来なかった)ことにあると強調していました。
韓国のサムソンの半導体事業が急激に世界シェアーを増加させたのは、一人のカリスマ的な経営者の適切な(バクチ的な)投資決断があったからだと明快に解説。
まったくその通りだと思ったのですが、昨日の番組の印象だと政治家や官僚による「日本の技術を日本の為に絶対に残す」という強い意志が貫かれることになりそうです。
そして官主導の複合体に経営がゆだねられることになり、カリスマ経営者が決断をするというバクチ的な投資は封印されて、みんなで合議をしながら政策決定をするという一見妥当と思われる経営がなされて行くのでしょう。
悪い予感でなければ良いのですが、国家的な莫大な支援がなされたにもかかわらず、5年後に「あの東芝の半導体事業部だった何々は消滅しました。」というニュースを見ることになりそうな気がします。