北京の大気汚染悪化を聞いても、多くの日本人はどんな様子なのかを実感できないだろうと思います。
でも65歳以上の人は昭和40年代後半の公害を知っているので想像は出来るのです。
東京では、特に冬の季節になるとビルの暖房はC重油という真黒な石油が燃料でしたから、大気はいわゆるスモッグで数十メートル先が見えないというのも普通のことでしたし、隅田川も多摩川も、ましてや神田川のような小さな川はドブ状態でしたので、汚いだけでなく匂いもしているような惨状でした。
数年前に北京に出張したのは冬でしたので、大きな通りから一歩入ったような道には、練炭をたくさん積んだリアカーが走っていましたし、道の端には練炭の燃えかすが捨ててありました。そして冬の北京の空気は石炭が燃えたような匂いもしていました。
練炭は日本では見ることが無くなりましたが、まだ北京では一般家庭で使われる燃料なのかも知れません。
練炭は細かく砕いた石炭を成型したものですから、いわゆる石炭を燃やして暖房と調理に使っていることになります。
北京の大気汚染は他人事ではなく、日本にも影響するくらい深刻ですが、燃料問題、自動車、工場排煙などすべてを解決するのは不可能に近いのだろうと思います。
日本人駐在員は少なくとも冬季は家族を戻すことにするのだろうか?