民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「日本語の呼吸」 その2 鴨下 信一 

2014年06月10日 01時52分59秒 | 朗読・発声
 「日本語の呼吸」  鴨下 信一 著  筑摩書房 2004年

 基本 1 「適切に区切る、それがすべて」 P-9

 日本語を声に出して読むときの、いちばん基本的な注意、
いちばん最初にしなければならないことは、何でしょうか。
 それは、
 
  読もうとする文章をきちんと区切ること。

 すべてはここからはじまります。
 区切る、ってのは「。」や「、」の句読点のことだろう、
読む時に打ってある句読点を忠実に守る、そんなことはわかってるよ―――とんだかんちがいです。

 書いてある句読点は、読むときは必ずしも守らなくてよろしい。
そのかわり自分で句読点を打ち直すこと。
これが大事です。

 だいいち、あなたは「。」で休む、「、」で息を切るのが法則だとかんちがいしていませんか。
息を切るといっても「息を吸い込む」「息を継ぐ」「息を止める」といろいろあるのですが、
そのどれですか。

 中略

 日本の文章で、普通に句読点が使われだしたのは明治になってからで
(句読点そのものは漢文を読むために平安時代からあったらしいのですが)、
それまでは文の切れ目の目安が何もありませんから、ずいぶん誤読もあったらしい。

 「ここではきものをぬいでください」

 これは、着物をぬぐ、履物をぬぐ、の二つの意味にとれるけれど、
「ここで」の後に読点を打てば誤読が防げる。

 こうして読解を助けるのが、まず句読点の役目でした。
つまりは便宜的な役割のものですから、クリアな法則化はもともと難しいのです。