民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「三びきのこぶた」 イギリス昔話

2012年11月29日 00時15分40秒 | 民話(おとぎ話・創作)
 「三びきのこぶた」 イギリス昔話  参考 瀬田 貞二 訳  石井 桃子 訳

 今日は たまに 外国の 昔話 すっか。
イギリスの昔話で 「三びきのこぶた」って ハナシだ。
 
 むかし、あるところに、おかあさんブタと、三匹の 子ブタが いたと。
おかあさんブタは、おとうさんブタに 早く 死なれて、一生懸命 子ブタを 育てていたと。

 やっと 子ブタが 一人前に なると、おかあさんブタは、張り合いをなくしたのか、
からだをこわし、寝込んでしまったと。

 おかあさんブタは 子ブタを 呼んで 言ったと。
「おまえたちは もう 立派な 大人だ。これからは みんな ひとりで 生きていくんだよ」 
「はぁーい」

 一郎ブタは たんぼに行って わらを 一杯 取ってくると、そのわらで 家を つくったと。
あっという間に 家をつくると、床に わらを敷いて 昼寝を していたと。

 すると、ドン ドン、戸を叩く 音が する。
「誰かな」って、一郎ブタが のぞいてみると オオカミがいたと。
「子ブタくん、一緒に遊ぼう。おれを 中に 入れておくれ」
オオカミは ブタを食べてしまう 恐ろしい動物だと おかあさんから 聞いています。

「とん、とん、とんでもない」
「入れて くれないなら こんな家 吹き飛ばしてやる」
オオカミは ぷぅーと 息を吹きかけて 家を 吹き飛ばして しまったと。
そして、中で ブルブル 震えていた 一郎ブタを つかまえて、食べてしまったと。

 二郎ブタは 山に行って 木の枝を 一杯 取ってくると、その木の枝で 家を つくったと。
家が できあがると、「あぁ、疲れた」って 言って、中で 休んでいたと。

 すると、ドン ドン、戸を叩く 音が する。
「誰かな」って、二郎ブタが のぞいてみると オオカミがいたと。
「子ブタくん、一緒に遊ぼう。おれを 中に 入れておくれ」
オオカミは ブタを食べてしまう 恐ろしい動物だと おかあさんから 聞いています。

「とん、とん、とんでもない」
「入れて くれないなら こんな家 吹き飛ばしてやる」
オオカミは ぷぅーと 息を吹きかけて 家を 吹き飛ばして しまったと。
そして、中で ブルブル 震えていた 二郎ブタを つかまえて、食べてしまったと。

 三郎ブタは 町に行って レンガを一杯 買ってきて、そのレンガで 家を つくったと。
家をつくるのは 大変だったけど、辛抱強く レンガを 積み上げて 家を つくったと。

 すると、ドン ドン、戸を叩く 音が する。
「誰かな」って、三郎ブタが のぞいてみると オオカミがいたと。
「子ブタくん、一緒に遊ぼう。おれを 中に 入れておくれ」
オオカミは ブタを食べてしまう 恐ろしい動物だと おかあさんから 聞いています。

「とん、とん、とんでもない」
「入れて くれないなら こんな家 吹き飛ばしてやる」
オオカミは ぷぅーと 息を吹きかけて、家を 吹き飛ばそうと したと。
けれども、顔を 真っ赤にして ぷぅーと 吹いても レンガの家は びくともしなかったと。

 オオカミが 地団駄ふんで 悔しがっていると、屋根に 煙突があるのに 気がついたと。
「よし よし、あそこから 入ってやろう」
オオカミは 屋根に のぼって 煙突から 入って いったと。

 ところが、三郎ブタは お利口です。
オオカミが 煙突から 入ってくるのも わかっていました。
 それで、暖炉に 大きくて 深い ナベに 一杯 水を 入れて かけておいたと。
それが 今では グラグラ、煮えたぎっています。

 そんなこと 知らない オオカミは ストンと 煙突を 降りてきたから たまりません。
三郎ブタは オオカミが 降りてきたところを タイミングよく フタを取り、
オオカミが ナベの中に 落ちると、すぐ フタをして、
 そして、オオカミを ぐつぐつ 煮込んで 食べてしまったと。

 それから 三郎ブタは しあわせに 暮らしたと。

 おしまい




 

「民俗学の旅」 宮本 常一

2012年11月27日 00時15分20秒 | 民話の背景(民俗)
 「民俗学の旅」 宮本 常一 旅立ちの日に 父から授けられた 十か条

 1、汽車へ乗ったら 窓から外をよく見よ、田や畑に 何が植えられているか、育ちがよいかわるいか、
村の家が大きいか小さいか、瓦屋根が草葺きか、そういうことを よく見ることだ。
駅へついたら 人の乗り降りに注意せよ、そして どういう服装をしているかに気をつけよ。
また、駅の荷置き場に どういう荷がおかれているかをよく見よ。
そういうことで その土地が富んでいるか貧しいか、よく働くところかそうでないところかよくわかる。

 2、村でも町でも 新しくたずねていったところは かならず高いところへ上って見よ。
峠の上で 村を見下ろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目に付くものをまず見、
家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして 山の上で 目をひいたものがあったら、
そこへは かならず いって見ることだ。
高いところで よく見ておいたら 道にまようようなことはほとんどない。

 3、金があったら、その土地の名物や料理は たべておくのがよい。
その土地の暮らしの高さがわかるものだ。

 4、時間のゆとりがあったら、できるだけ 歩いてみることだ。
いろいろのことを教えられる。

 5、金というものは もうけるのは そんなにむずかしくない。
しかし、使うのがむずかしい。それだけは忘れぬように。

 6、私はおまえを思うように勉強させてやることができない。
だから おまえには何も注文しない。すきなようにやってくれ。
しかし 身体は大切にせよ。三十才までは おまえを勘当したつもりでいる。
しかし 三十過ぎたら 親のあることを思い出せ。

 7、ただし 病気になったり、自分で解のつかないようなことがあったら、郷里へ戻ってこい、
親はいつでも待っている。

 8、これからさきは 子が親に孝行する時代ではない。親が子に孝行する時代だ。
そうしないと 世の中はよくならぬ。

 9、自分でよいと思ったことはやってみよ、それで 失敗したからといって、親は責めやしない。

 10、人の見のこしたことを見るようにせよ。その中に いつも 大事なものがあるはずだ。
あせることはない。自分の選んだ道をしっかり歩いていくことだ。

「閻魔さまと団十郎」 ネット より

2012年11月25日 00時14分49秒 | 民話(昔話)
 「閻魔さまと団十郎」 (たぶん)ネットより

 むかし、市川団十郎って たいした いい役者が、ふとした病で 死んだんだと。

 生きてるときにゃ、華やかなもんでよ、舞台に ただ立っているだけでも、客をうならしたもんだが、
死んでしまえばなあ、つれも いねえし、ひとりで 寂しいもんだ。
しかたね、三途の川を渡って、うす暗い道を とぼとぼ 歩(ある)っていくと、ふたまた道さ 出たと。
片方の道は 広くて、片方の道は 細いんだと。

 さあて、どっちさ 行けば 極楽だかと、団十郎、手を組んで 思案したと。
そのうち、ひょいと 見たらば、ふたまた道の真ん中に、お地蔵さんが ちんと 立ってござった。
「地蔵さん、地蔵さん、極楽さ 行く道 教えてけろ。」
と聞いたが、地蔵さん、にこにこ 笑うばかりで なんも言わね。

 しかたね、団十郎は 広い道さ 行けば 間違いあんめと、広い道を とぼとぼ 歩っていった。
そのうち、ペカペカ 明かりが見えてきて、やれ 嬉しや 極楽かと 思うたれば、そこは地獄だったと。
あれ、これは まちごうた、引き返すべと思うたが もう遅い。
青鬼、赤鬼に えり首つかまれて、閻魔さまの前さ 放り出されたと。

 閻魔さまは、一段高いところに 冠かぶって、ピカピカ 光る ひたたれ 着て、
シャクをかまえ 目えむいて、ぎょろり 団十郎をにらんだと。
「来たか、来たか、団十郎、娑婆にいた時は 手ふり足ふり、あることないこと うそ八百を、
さもあったることのように にぎにぎしく ぶちあげて、多くの人間を だましおったな。
うそこぎ ゼニ儲けの大罪人。やいやい、青鬼、赤鬼、こやつをちゃっちゃと 針の山さ 追いあげい。」
「へーっ。」

 青鬼と赤鬼は 鉄棒を一突きして、団十郎を引っ立てようとしたが、閻魔さま、急に 気が変わった。
「鬼ども、わしが呼ぶまで あっちへ 行っておれ。じきじきに 取り調べることがあったわい。」

 閻魔さまは 鬼どもを追っぱらうと、さて、小さい声で言ったもんだ。
「だがの 団十郎、わしはまだ芝居というものを 見たことがないんじゃ。いっぺん やって見せれ。」

 団十郎はかしこまって、
「閻魔さまに申し上げます。芝居というものは、こげな低いところではできねえもんでがんす。」
「せば、どこでやるもんだ。」
「客より高いところでねば、だめなもんでがんす。
おそれいりますが 閻魔さま、そこから降りて、わたしと入れ替わってくだせい。」
 しかたね、閻魔さまは 下へ降り、団十郎が 高いとこさ 上がったと。

 すると、団十郎 また言うわけだ。
「まことに おそれいりますども。」
「なにい、まだ つべこべ 申すか。ちゃっちゃと やれい。」
「はえい、だども 閻魔さま、芝居というもんは、こげな 白い着物では やれねえもんでがんす。」
「せば、どうすればええ。」
「閻魔さまの着ている立派な衣装、ちょっとばかし お貸ししてもらいてえんでがんす。」
「せば、わしが裸になるでねえか。」
「なあに、わたしの着物を着ててくだせ。」

 団十郎、わが白い京帷子(きょうかたびら)を脱いで、閻魔さまと取り替えたと。
かぶっている冠も取り替えて、閻魔さまに白い三角の、亡者の印(しるし) つけたと。
すると 閻魔さま、なんだか しょんぼり 見えてきたし、
団十郎のいや 立派なこと、ほれぼれするような 閻魔ぶりで あったとや。

 閻魔さまは くしゃみをして、
「市川団十郎、早くやれ。」

「へえーっ、しからば 富士の巻き狩りのとこ やりましょう。
閻魔さまを 五郎に見立てましての、頼朝公を あいつとめまするは 市川団十郎。
こうれ、青鬼、赤鬼、ここさ まいれ。」

 閻魔さまはあわてて、
「これ、鬼どもを呼ぶな。」
「しーっ、閻魔さま、芝居の間は黙っているもんでがんす。」
そこへ 呼ばれた 青鬼、赤鬼が 鉄棒ついて やってきた。

 閻魔さま、しぶしぶ 黙ると、団十郎、くわっと 目をむき、
「ここな罪人、娑婆にいた時、手ふり、足ふり、人んどこ だまして ゼニ儲けのだんだん、
許すこと まかりならぬ。鬼ども、ちゃっちゃと 針の山さ 追いあげい。」
それを聞いた青鬼、赤鬼は、はあーっとばかり、閻魔さまの首ひっつかんだ。

 閻魔さま、仰天して、
「これやっ、青鬼、赤鬼、まちがえるでねえ。わしだで、わしが閻魔だてば。」
と、どなりあげたが、鬼は聞くどこでねえ、針の山さ 追いあげてしまったと。

 団十郎が それから 閻魔さまになったもんで、地獄は たいしたいいところに なったてや。

 おしまい

「南京玉すだれ」 口上

2012年11月23日 00時12分41秒 | 大道芸
 「南京玉すだれ」 口上

 アさて、アさて、アさて、さて、さて、さて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 伸ばせば、浦島太郎さんの、魚(うお)釣り竿に チョイと 似たり。
浦島太郎さんの、魚(うお)釣り竿が お目に 止まれば おなぐさみ、
お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 返せば、瀬田の唐橋(からはし)、唐金擬宝珠(からかねぎぼし)、
擬宝珠(ぎぼし)ないのが おなぐさみ、瀬田の唐橋(からはし)、
お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、アさて、さて、さて、さて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 伸ばせば、おらが 在所の ご門で ござる。
おらの 在所の ご門が、お目に 止まれば、炭焼き小屋へと 早がわり。
炭焼き小屋が、お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、さては 南京 玉すだれ。
東海道は 五十と三次、中仙道は 六十九次、
あまたの 宿々、なくてならない そばやの看板。
そばやの看板、お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、アさて、さて、さて、さて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 伸ばせば 阿弥陀如来か、釈迦牟尼か。
後光に 見えれば おなぐさみ、
阿弥陀如来が、お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 返せば、日本三景は 天の橋立、
浮かぶ白帆に さも似たり。
浮かぶ白帆が、お目に 止まれば 元へと返す。

 アさて、アさて、アさて、さて、さて、さて、さては 南京 玉すだれ。
チョイと 返せば、日米国旗に さも似たり。
日米国旗が お目に 止まれば、しだれ柳に 早がわり。
しだれ柳に 飛びつく蛙、蛙いないが おなぐさみ、
 
 アさて、アさて、アさて、さて、さて、さて、さては 南京 玉すだれ。

「朗読の教科書」 渡辺 知明著(日記)

2012年11月21日 14時04分47秒 | 身辺雑記
 11月18日(日)小山市に「朗読の教科書」の著者である 渡辺知明さんの 朗読教室に
行って来ました。(車で 約一時間)

 直前まで 行こうか どうしようか 迷っていたけど、行って 正解でした。
(ツイッターでフォローしていて、気になっていた)

 本代(2、100円)を払えば、聴講できるということで、
どっちみち この本は買うつもりでいたので、思い切って 行って来たわけです。

 発声について いろいろ 本を読んでみて、本では 無理がある と思っていたから、
一度 直に 話してみたかったので、いい機会でした。

 1時半から3時まで、講義を受け、
そのあと 個人的に 疑問に思っていたことを聞きました。

 今、その本を読んでいるけど、得るところ 大です。
じっくり 読んでいこう と思っています。