「古屋のむり」 リメイク by akira 元ネタ 女川(おながわ)・雄勝(おがつ)の民話
今日は 「古屋のむり」ってハナシ やっか。
おれがちっちゃい頃、ばあちゃんから聞いたハナシだ。
ほんとかうそか わかんねぇハナシだけど ほんとのことだと思って 聞かなきゃなんねぇ。
むかーし、むかし。
山に囲まれて、百姓なんかしてる 村が あったって。
山の奥には オオカミがいて、昔っから 雪 降ったりして 食うもん なくなっと、
その村に やって来て、馬とったり 牛とったり してたんだって。
そんで、その村では オオカミがこわいもんだから、夕方は 暗くなる前に、家 帰ってしまうし、
朝も すっかり 明るくなってからじゃないと 家 出ていかないんだって。
そんで、その村は ほかの村にくらべて とれるもんも少なくって、貧乏していたんだって。
その村の 一番 高い山の方に ポツンって 家が建ってて、
爺(じ)さまと婆(ば)さまが ずっと 二人っきりで、
自分ら食うだけ、田んぼ 作って、畑 作って、暮らしていたって。
その日は 朝っから 雨が 降っていたって。
そんで、その夜、二人で 囲炉裏 囲んで 仕事してっと、雨が どんどん 強くなって、
家が古いもんだから、雨が むりはじめたんだって。
あっちでポトッ、こっちでポトッ、って 茅(かや)の腐ったとっから。
そんで、囲炉裏の火 のんのん、のんのん 燃やして、
家にある 入れもん みんな 持ってきて、雨の 落ちてくっとこに 置いて、
それが 一杯になっと 別の入れもんに とっ替えて、水 捨てに行って、って、
二人して くるくる 動き回っていたって。
そんで、二人で 息 ハァハァ させながら、
「なぁ、婆さま。世の中に オオカミがおっかねぇ、化けモンがおっかねぇって、言ったって、
『古屋のむり』ほど、おっかねぇもんは ねえなぁ」
「ほうだなぁ、おらも 七十なんぼ 長生きしたけど、『古屋のむり』ほど、おっかねぇものはねぇ。
『古屋のむり』がきたんじゃ、今夜は 寝らんねぇ。
明日の朝まで、『古屋のむり』と戦わなくちゃなんねぇ」
そんな話 してたって。
すっと、オオカミが 馬とろうと 来てて、二人が寝んのを 待ってたんだって。
そんで、二人の 今の話 聞いてて、
「はてな、『古屋のむり』ってのは、聞いたことねぇなぁ。どんな化けモンなんだべ。
二人で寝ないで 戦わなくちゃなんねって、言ってっとこみると、
よっぽど おっかねぇ化けモンなんだんべな。・・・そんな化けモン 来る前に 逃げなきゃ」
って、そのオオカミ、馬とろうとしてたの やめて、山へ 逃げていったって。
それから しばらくして 雨が上がったって。
だけど、雨があがったって、すぐに『古屋のむり』は おさまんねぇ、
二人は 朝まで 寝られなかったって。
そんで、あのオオカミ、よっぽど『古屋のむり』が おっかなかったんだんべな、
よその村 行って 馬、牛とること あっても、その村には、二度と 来ることはなかったって。
きっと あのオオカミが 仲間に、あの村には『古屋のむり』って、おっかねぇ化けモン いっから、
行かねぇ方がいいぞって、言ったんだんべな。
そんで、その村は 安心して、朝早くから 夜遅くまで 働くようになって、
裕福な 村に なったんだって。
そんで、おしめぇ。
今日は 「古屋のむり」ってハナシ やっか。
おれがちっちゃい頃、ばあちゃんから聞いたハナシだ。
ほんとかうそか わかんねぇハナシだけど ほんとのことだと思って 聞かなきゃなんねぇ。
むかーし、むかし。
山に囲まれて、百姓なんかしてる 村が あったって。
山の奥には オオカミがいて、昔っから 雪 降ったりして 食うもん なくなっと、
その村に やって来て、馬とったり 牛とったり してたんだって。
そんで、その村では オオカミがこわいもんだから、夕方は 暗くなる前に、家 帰ってしまうし、
朝も すっかり 明るくなってからじゃないと 家 出ていかないんだって。
そんで、その村は ほかの村にくらべて とれるもんも少なくって、貧乏していたんだって。
その村の 一番 高い山の方に ポツンって 家が建ってて、
爺(じ)さまと婆(ば)さまが ずっと 二人っきりで、
自分ら食うだけ、田んぼ 作って、畑 作って、暮らしていたって。
その日は 朝っから 雨が 降っていたって。
そんで、その夜、二人で 囲炉裏 囲んで 仕事してっと、雨が どんどん 強くなって、
家が古いもんだから、雨が むりはじめたんだって。
あっちでポトッ、こっちでポトッ、って 茅(かや)の腐ったとっから。
そんで、囲炉裏の火 のんのん、のんのん 燃やして、
家にある 入れもん みんな 持ってきて、雨の 落ちてくっとこに 置いて、
それが 一杯になっと 別の入れもんに とっ替えて、水 捨てに行って、って、
二人して くるくる 動き回っていたって。
そんで、二人で 息 ハァハァ させながら、
「なぁ、婆さま。世の中に オオカミがおっかねぇ、化けモンがおっかねぇって、言ったって、
『古屋のむり』ほど、おっかねぇもんは ねえなぁ」
「ほうだなぁ、おらも 七十なんぼ 長生きしたけど、『古屋のむり』ほど、おっかねぇものはねぇ。
『古屋のむり』がきたんじゃ、今夜は 寝らんねぇ。
明日の朝まで、『古屋のむり』と戦わなくちゃなんねぇ」
そんな話 してたって。
すっと、オオカミが 馬とろうと 来てて、二人が寝んのを 待ってたんだって。
そんで、二人の 今の話 聞いてて、
「はてな、『古屋のむり』ってのは、聞いたことねぇなぁ。どんな化けモンなんだべ。
二人で寝ないで 戦わなくちゃなんねって、言ってっとこみると、
よっぽど おっかねぇ化けモンなんだんべな。・・・そんな化けモン 来る前に 逃げなきゃ」
って、そのオオカミ、馬とろうとしてたの やめて、山へ 逃げていったって。
それから しばらくして 雨が上がったって。
だけど、雨があがったって、すぐに『古屋のむり』は おさまんねぇ、
二人は 朝まで 寝られなかったって。
そんで、あのオオカミ、よっぽど『古屋のむり』が おっかなかったんだんべな、
よその村 行って 馬、牛とること あっても、その村には、二度と 来ることはなかったって。
きっと あのオオカミが 仲間に、あの村には『古屋のむり』って、おっかねぇ化けモン いっから、
行かねぇ方がいいぞって、言ったんだんべな。
そんで、その村は 安心して、朝早くから 夜遅くまで 働くようになって、
裕福な 村に なったんだって。
そんで、おしめぇ。