民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「三枚のお札」 リメイク by akira

2011年11月30日 00時18分21秒 | 民話(リメイク by akira)
 むかーし、むかしのこと。             

 ある山ん中のお寺に、和尚さんと 小僧がいた。
 ある日、小僧は 山へ クリっことりに行った。
(夢中で)クリっこをさがしているうちに、いつのまにか、山の 奥深くに 来てしまった。
 「あれーっ、おら、迷子になっちまったべか?」

 すると、ガサゴソッて 音がして、やぶん中から ばあさまが出てきた。
 「おや、おや、小僧っこや、なんてまあ めんこいこと。・・・
驚くなや、おれはな、おめえのおとうのねえさんが 嫁にいった先の おっかさんの妹だ。
つまり、・・・おめえのおばさまだ。
今夜、クリっこ いっぺぇ煮とくから、食べに来いや。」

 小僧は 自分におばさまがいるなんて 知らなかったから、急いで お寺に帰って、
 「和尚さん、和尚さん、おら 山ん中で おばさまに会った。
んで、今夜、クリっこ 食べに来いって(言われた。)・・・おら 行きてえ。」

 和尚さんは 首をふった。
 「だめだ、そいつはきっと やまんばにちげえねぇ。
おめぇのことを食う気だ。だめだ、行っちゃだめだ。」
 「でも、おらのおばさまだって 言ってたもん。・・・行きてえ、おら、どうしても 行きてえ。」

 和尚さんは うーむって うなった。
 「そーか、そんなに行きてぇんなら しょうがねぇな。
んじゃ、このお札を三枚持ってけ。困った時は このお札に頼め。」

 その晩、小僧は嬉しくて トントンはねて、山へ行った。
 「おばさま、おばさま、小僧っこが 来たよ。」
 「お~、来たか、来たか。さぁ、おあがり。クリっこ いっぺぇ煮といたから 好きなだけ 食べな。」
 小僧は、食った 食った。
腹がパンパンになるまで食ったら、眠たくなって、コトッって 眠ってしまった。

 夜中(に)、雨の音で 小僧は目をさました。

 「小僧っこ あぶねぇ ぽった ぽたっ  小僧っこ あぶねぇ ぽった ぽたっ」

 小僧は おかしいなって思って、そっと 隣りの部屋を のぞいてみた。
すると、ばあさまが、にっか にっか嬉しそうに、包丁をといでいた。

 「小僧っこ うまかろ にっか にかっ  小僧っこ うまかろ にっか にかっ」

 「や、やまんばだ・・・。」
 小僧の声で やまんばが振り返った。
ギロッって にらんで、
 「見たか、・・・見たな、小僧!」
 「おら、なんも見ねえ。(ブルブルさせながら)おら、しっこ しっこがしてえ。」
 「なに、しょんべんだあ。しょうがねぇ、逃げねぇように 縛ってやっから こっち来っ。」

 やまんばは 小僧を ナワで縛ると、
 「よし、便所へ行って来っ。・・・逃げんじゃねぇぞ。」

 やまんばに つっ飛ばされて、小僧は 外に出て 便所に行った。
小僧は すぐに ナワをほどいて、便所の柱に 結んで、
 「お札や、お札や、おらの 代わりに なってくれ。」          
 お札を ナワに差し込んで、トットって 逃げ出した。

 「小僧、出たかっ。」
 やまんばは 小僧がちっとも出てこねぇーんで、チョンと ナワを引っ張った。
 すると、返事が返ってきた。
 「まあだ、まあだ。」

 「小僧、まだかぁー!」 チョン チョン 「まあだ、まあだ。」
 
 「小僧、出たかぁー!」 チョン チョン 「まあだ、まあだ。」

 さあ、いつまでたっても 小僧が出てこねぇーんで、やまんばは とうとう 怒りだした。
 「小僧!いい加減に 出て来っ!」
 って、力一杯 ナワを引っ張ったもんだから、便所の柱が すぽっと抜けて、
 「まあだ、まあだ。」って、言いながら、ふっとんできて、
 「がつーん。」やまんばの頭に 柱が当たった。
 「いてててて。・・・小僧のヤツ、逃げやがったな。」

 やまんばは 小僧を追っかけた。
 「待てえ、小僧、・・・待てえ!」
 いや、その早いこと、早いこと。

 小僧は、振り返り 振り返り、
 「あぁ~、来た。おっつかれるぅー。あぁ~、あぁ~、食われるぅ~。」

 逃げながら、二枚目のお札を うしろに放り投げて、

 「ここさ、大きい川 出ろ!」
 
 すると、おーっきな 川ができて、ごーっ ごーっ 流れ出した。

 やまんばは(たまげて、)あれぇ、こんなところに 川があったけっかと 目をぱちくりさせた。
だけど、やまんばだもん。
ざんぶって 飛び込んで しゃがしゃが しゃがしゃが 泳ぎだした。

 「なんだ川 こったら川  なんだ川 こったら川」

 小僧は その間に どんどと 逃げた。

 やまんばは 川を泳ぎきると、また追っかけてきた。 
 「待てえ、小僧、・・・待てえ!」

 やまんばの早いこと あっという間に、近くまで せまってきた。
 「あぁ~、来た。おっつかれるぅー。あぁ~、あぁ~、食われるぅ~。」

 小僧は、三枚目のお札を うしろに放り投げて、 

 「ここさ 砂山 出ろ!」

 すると、(どどーん、)でっけぇー 砂山ができた。
それでも、やまんばだもん。

 「なんだ山 こったら山  なんだ山 こったら山」

 砂山を登ろうとしては ずり落ち、また 登ろうとしては ずり落ちながら、
最後には、四つんばいになって、とうとう 砂山のてっぺんまで来て、
そっからは、すべり台のように スーイッって すべって、また、小僧を追っかけだした。
 「待てえ、小僧、・・・待てえ!」

 小僧は やっと お寺の玄関にたどりついた。
どんどん、どんどん、小僧は ありったけの力で (玄関の)戸を叩いた。
 「和尚さん、和尚さん、あけてくれ!
 やまんばが 追っかけてくる。早く あけてくれ!」 
 すると、和尚さんの寝ぼけた声が聞こえてきた。

 「なんだぁー、やまんばだぁー、ほーれ、わしの言ったとおりだべ。」
 「早く 早く、やまんばが そこまでやってきたぁー。」
 「待て 待て、まんず ふんどし 締めてからじゃ。」
 「早くっ 早くっ。」
 「待て 待て、着物を着て、帯を締めてからじゃ。」
 「早くっ 早くっ。」

 ようやく 和尚さんが、戸をあけてくれた。
小僧は 一目散に かけ込んで 押入れにかくれた。
 しばらくして やまんばが ふっとんできた。
 「おいっ、和尚、小僧はどこ行った。」
 「小僧?小僧なんておらん。それより まぁ、そこにすわれ。モチでも食うべ。」

 和尚さんは いろりに モチをのせて 焼きはじめた。
 すると やまんばは モチが 食いてぇもんだから すわりこんで モチが焼けんのを待ってた。

 「のぉー、やまんばや。おまえ、化けるのが得意なんだってなぁ。・・・
おまえ、大入道に 化けられるか?」
 「大入道だとぉー?・・・おお、たやすいことよ。」

 「でっかく でっかく でーかくっ  でっかく でっかく でーかくっ」

 やまんばが 呪文を唱えると、ずんが ずんが ずんが ずんが 大きくなって、大入道になった。

 「いやぁー、たいしたもんじゃのぉー。
だけど やまんばよー・・・大きくは化けられても 小さくは化けられめぇ。」
 「小さくだって化けられるわい。たとえば なんだ。言ってみろっ。」
 「そうだなぁー、小さいもの、・・・豆粒なんかどうだ、化けられるか?」
 「豆粒だあ?・・・おお、たやすいことよ。豆粒だろうと なんだろうと、化けてやるわい。」

 「ちっちゃく ちっちゃく ちーちゃくっ  ちっちゃく ちっちゃく ちーちゃくっ」

 やまんばが 呪文を唱えると、小さく 小さく ちーさくなって、一粒の豆になった。

 「おお、おお、うまそうな豆じゃ。」
 和尚さんは その豆をつまむと、ぷうーって ふくれた モチん中に入れて、
あんぐ あんぐ 食べてしまった。
 「おお、おお、うまかった、うしまけた。」

 そこへ 小僧が 押入れから はいだしてきて、
 「あー、あー、おらも やまんばの豆モチ 食べたかったなぁ。」
 って、悔しがった(っと)。

 これで おしまい、(これでいちがさきはおえもうした。しゃみしゃっきり、ねこすけぽっきり。)

「外郎売」 原文

2011年11月29日 11時16分32秒 | 大道芸
外郎売り  歌舞伎十八番の七 享保三年  二代目 市川団十郎 作

 拙者 親方と申すは、お立合のうちに 御存知のお方も ござりましょうが、
お江戸を立って二十里 上方、相州 小田原 一色町をお過ぎなされて、
青物町を登りへお出でなさるれば、欄干橋 虎屋 藤右衛門、
ただいまは剃髪いたして、円斎と名のりまする。

 元朝より大晦日まで お手に入れまするこの薬は、 
昔 ちんの国の唐人 外郎という人 わが朝へ来たり。
帝へ参内の折から、この薬を 深くこめ置き、用ゆる時は 一粒づつ 冠のすき間より 取り出す。
よって その名を 帝より 「透 頂 香」と 賜わる。
すなわち 文字には「すく いただく におい」と書いて「とうちんこう」と申す。

 ただいまは この薬 ことのほか 世上に広まり、ほうぼうに にせ看板を出し、
イヤ、小田原の 灰俵の さん俵の 炭俵のと、色々に申せども、
ひらがなをもって「ういろう」と記せしは、親方 円斎ばかり。

 もしや お立合いのうちに、熱海か 塔の沢へ、湯治に お出なさるか、  
または 伊勢 御参宮の折からは、必ず 門ちがい なされまするな。
 お登りならば 右のかた、お下りならば 左側、八方が八つ棟 おもてが三つ棟 玉堂造り。
破風には 菊に 桐のとうの御紋を ご赦免あって、系図 正しき 薬でござる。

 イヤ 最前より 家名の自慢ばかり 申しても、ご存知ない方には 正真の胡椒の丸呑 白河夜船。
さらば 一粒食べかけて、その気味合いを お目にかけましょう。
 まず この薬をかように一つぶ 舌の上にのせまして、腹内へ納めますると、
イヤ どうも言えぬは、胃 心 肺 肝がすこやかに成りて、
薫風 喉より来たり、口中 微涼を生ずるが如し。  
魚 鳥 きのこ 麺類の食い合せ、そのほか 万病 速効あること、神の如し。 

 さて、この薬、第一の奇妙には 舌のまわることが 銭ゴマが はだしで逃げる。
ひょっと舌がまわり出すと 矢も楯もたまらぬじゃ。
 そりゃそりゃ そらそりゃ まわってきたは まわってくるは。

 アワヤ喉 サタラナ舌に カ牙サ歯音 ハマの二つは 唇の軽重。 
開合さわやかに、アカサタナ ハマヤラワ オコソトノ ホモヨロオ(っと。)
一つ へぎへぎに へぎ干しはじかみ。盆豆 盆米 盆ごぼう。
つみ蓼 つみ豆 つみ山椒。書写山の 社僧正。
粉米の 生噛み 粉米の 生噛み こん粉米の こ生噛み。 
儒子 緋儒子 儒子 儒珍。
親も嘉兵衛 子も嘉兵衛 親嘉兵衛 子嘉兵衛 子嘉兵衛 親嘉兵衛。
ふる栗の木の 古切口。雨合羽か 番合羽か。
貴様のきゃはんも皮脚絆、我等がきゃはんも皮脚絆。
しっかわ袴のしっぽころびを、三針はりながにちょと縫うて、縫うてちょとぶんだせ。
かわら撫子 野石竹。のら如来 のら如来 三のら如来に 六のら如来。

 一寸先の お小仏に おけつまづきゃるな。細溝に どじょにょろり。  
京のなま鱈 奈良 なままな鰹 ちょと四五貫目。
お茶立ちょ 茶立ちょ ちゃっと立ちょ 茶立ちょ 青竹茶煎で お茶ちゃと立ちゃ。

 来るは来るは 何が来る。
高野の(お)山の おこけら小僧。狸百匹 箸百膳 天目百杯 棒八百本。
武具馬具 武具馬具 三武具馬具 合せて 武具馬具 六武具馬具。
菊栗 菊栗 三菊栗 合せて菊栗 六菊栗。
麦ごみ 麦ごみ 三麦ごみ 合せて 麦ごみ 六麦ごみ。
あの長押の 長なぎなたは 誰が 長なぎなたぞ。

 向こうの胡麻がらは えの胡麻がらか ま胡麻がらか あれこそ ほん(と)のま胡麻がら。
がらぴいがらぴい 風車 おきゃがれこぼし おきゃがれこ法師 ゆんべもこぼして又こぼした。
たあぷぽぽ たあぷぽぽ ちりから ちりから つったっぽ たっぽだっぽ 一丁だこ。

 落ちたら煮て食(う)を 煮ても焼いても 食われぬものは、
五徳 鉄弓 金熊童子に 石熊 石もち 虎熊 虎ぎす。
 中にも東寺の羅生門には 茨城童子がうで栗五合、つかんでおむしゃる、かの 頼光の ひざ元去らず、
鮒 きんかん 椎茸 定めて後段な。そば切り そうめん うどんか 愚鈍な 小新発知。

 こ棚の こ下の こ桶に こ味噌が こ有るぞ、こ杓子 こもって こすくって こよこせ。
おっと がってんだ。心得たんぼの 川崎 神奈川 保土ヶ谷 戸塚は、走って行けば、やいとを摺りむく、
三里ばかりか、藤沢 平塚 大磯がしや、小磯の宿を、七つおきして 
早天そうそう 相州 小田原 とうちんこう。
隠れござらぬ 貴賎群衆の 花のお江戸の 花ういろう。

 アレ あの花を見て お心を おやわらぎやという、
産子 這う子に至るまで このういろうのご評判。
ご存知ないとは 申されまいまいつぶり、角だせ 棒だせ ぼうぼう眉に。
 臼 杵 すりばち ばちばち、ぐゎらぐゎらぐゎらと、羽目をはずして 今日お出での いずれも様に、
上げねばならぬ 売らねばならぬと 息せい引っぱり、
東方世界の 薬の元締 薬師如来も 照覧あれと。
ホホ 敬って、ういろうは いらっしゃりませぬか(終)

「ドリフの早口言葉」

2011年11月29日 10時53分10秒 | 日本語について
  ドリフの早口言葉 1980年代

 1、生麦 生米 生卵

 2、かえるぴょこぴょこ 三ぴょこぴょこ 合わせてぴょこぴょこ 六ぴょこぴょこ

 3、スモモもモモもモモのうち モモもスモモもモモのうち

 4、この釘抜きだと 引き抜きにくい あの釘抜きでも 引き抜きにくい

 5、向こうのお山に 旗たてかけた 旗立てたくて 旗立てかけた

 6、黄茶釜 茶茶釜 赤茶釜 黄はかま 茶はかま 赤はかま

 7、どじょうにょろにょろ 二にょろにょろ 合わせてにょろにょろ 四にょろにょろ

 8、親ガメ 子ガメ 子孫ガメ 親ガモ 子ガモ 子孫ガモ

 9、ママのマカロニ マママカロニ パパのパパイヤ パパパパイヤ

 10、ななつ菜の花 なな菜の花 木の葉ここのつ ここ木の葉

 11、合羽カパカパ 雨合羽 雨合羽 デカ合羽 ガッパガパ

 12、竹屋の竹垣 竹たてかけた 高い竹垣 竹たてかけた