民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「子供のお使い」 (団子)  リメイク by akira

2012年03月27日 22時31分36秒 | 民話(リメイク by akira)
  子供のお使い 団子   団子婿と昆布買い(長崎県の民話)にヒントを得て
 
 今日は「子供の お使い」ってハナシ やっかんな。

 オレが ちっちゃい頃、じいちゃんから 聞いた ハナシだ。
ほんとかうそか わかんねぇ ハナシだけど、ほんとのことだと思って 聞かなきゃなんねぇ。

 むかぁーし ある時のこと、不意の来客があって(な)、おっかさんが 子供に お使いを 頼んだと。
「団子(だんご)を 買ってきておくれ。・・・お前は 忘れっぽいからねぇー、
忘れないように「だんご」って、口に出して 言いながら、行くんだよ、・・・わかったかい」
「はぁーい」子供は 元気に 返事して、歩いて 行ったと。

「だんご、・・・だんご、・・・だんご」(初めて お使いを頼まれた 子供のように はしゃいで)

 しばらくして、(こっち 行くと 近道だな)って、行った先は どぶ川が 流れていて、
「どっこいしょ」って、掛け声をかけて、飛び越えたと。
そしたら、それから、ほんとは「だんご」って、言わなきゃ なんねぇのに、
「どっこいしょ」って、言うように なっちまったと。

「どっこいしょ、・・・どっこいしょ、・・・どっこいしょ」

 そんで、お店に着いて、「どっこいしょ、おくれ」って、言うと、
「どっこいしょ?・・・はて、うちには どっこいしょ なんて、おいてないなぁ。
聞き間違えたんじゃ ないの。・・・もう一回 うちに行って、聞いておいで」

 うちに帰って、「どっこいしょ なんて、ないって 言われたよ」って、おっかさんに 言うと、
「なんだい、この子は・・・どっこいしょ なんて 頼んでないよ。
「だんご だよ だんご・・・言ってごらん、だ・ん・ご」
「だ・ん・ご」
「そうだよ。・・・じゃ、行っておいで」
「はぁーい」子供は 元気に 返事して、歩いて 行ったと。

「だんご、・・・だんご、・・・だんご」

(さっきは どぶ川を 飛び越えた時、「どっこいしょ」って、言っちまったんだな。
今度は 別の 近道を 行こう)って、行った先は、ちょっとした 段差があって、
足をかけて「やっこらさ」って、よじ登ったと。
 そしたら、それから、ほんとは「だんご」って、言わなきゃ なんねぇのに、
「やっこらさ」って、言うように なっちまったと。

「やっこらさ 、・・・やっこらさ、 ・・・やっこらさ」

 そんで、お店に着いて、「やっこらさ、おくれ」って、言うと、
「やっこらさ?・・・うちには やっこらさ なんて、おいてないなぁ。
聞き間違えたんじゃ ないの。・・・もう一回 うちに帰って、聞いておいで」

 うちに帰って、「やっこらさ、なんて、ないって 言われたよ」って、おっかさんに 言うと、
「なんだい、この子は・・・やっこらさ なんて、頼んでないよ。
しょうがない子だねぇー。・・・何回 言ったら わかるんだい」って、
げんこつで その子の頭を ポカッ って、なぐったと。(むかしのおっかさんは こわかった) 
だんご だよ だんご、何回 言ったら わかるんかね、この子は、・・・言ってごらん、だ・ん・ご」
「だ・ん・ご」
「そうだよ、・・・じゃ、行っておいで。・・・今度は 間違えるんじゃ ないよ」
「はぁーい」子供は 元気に 返事して、歩いて 行ったと。

「だんご、・・・だんご、・・・だんご」

(近道したのが いけなかったんだ。今度は、どぶ川や 段差のない まともな道を 行こう)って、
行った先は、(大きな)杉の木があって、花粉が 舞って いたと。
子供は「はっくしょん」って、くしゃみを しちまったと。(花粉症だったんかな)
そしたら、それから、ほんとは「だんご」って、言わなきゃ なんねぇのに、
「はっくしょん」って、言うように なっちまったと。

「はっくしょん、・・・はっくしょん、・・・はっくしょん」

 そんで、お店に着いて、「はっくしょん、おくれ」って、言うと、
「はっくしょん?・・・うちには はっくしょん なんて、おいてないなぁ。
また、聞き間違えたんかい。・・・しょうがないねぇ、もう一回、うちに行って、聞いておいで」

(あれっ、おかしいな)って、子供が はんべそを かきながら、帰ろうとすると、
後ろから 見てた 店のモンが、
「おい、おい、どうしたんだい、おめぇの頭(あたま)、・・・でっけぇ たんこぶつくって、・・・
まるで だんご みてぇなよぉー」
それを聞いて、子供は、「あーーー」って、大きい声を 出して、ふり返って(な)、
「そ、そ、それだ、・・・だ、だ、だんご、だ。・・・だんごを おくれ」って、言ったと(さ)。

 おしまい

「著作権について」 (日記)

2012年03月14日 00時14分24秒 | 身辺雑記
 去年の8月頃から、11月位までかな、民話に夢中になっていた。
市立と県立の図書館から、二週間に一度、それぞれ十冊の民話関係の本を借りてきて読んだ。
百冊は越えているだろう。全部を読んだわけではないが、民話に関しておよそのアウトラインは掴めたかな。

 ここにアップした民話は、ほとんどがその時リメイクしたもの。
「リメイク」とはオリジナルのハナシを自分流にアレンジすることを、そう名づけた。
音楽で言う編曲に近い意味で使っている。

 民話にも当然、著作権があるのだろう。(詳しく調べたわけではない)
自分なりに基準を決めて、これくらいアレンジを加えれば、(オリジナルを変えれば)
「元ネタコピー」(著作権侵害)ではないだろうと思えるものをアップしてきたつもり。
元ネタを明記すればいいのだろうけど、ネットで拾ったハナシであったり、
複数の本からのいいとこ取りであったり、どっから取ったハナシなのか、今となっては不明なものが多い。(単に面倒くさいだけか)

 これからアップするハナシは元ネタを明記するつもりでいる。

「五寸釘」 リメイク by akira (R-20指定)

2012年03月01日 02時25分31秒 | 民話(リメイク by akira)
   お祭りのあとの直会(なおらい)の席で    元ネタ 熊本県の民話 

  じゃ、ちょっと 語ってみっかんな。
「五寸釘」ってハナシで、これは おんな、子供がいる時には 語(や)れねぇハナシなんだけど、
今日はおんな、いねぇから、いかっぺ(いかんべ)。

 オレが小っちゃいころ 聞いたハナシだから、細かいとこ ちょこっと 違うかもしんねぇけど、
・・・まぁ、聞いてくれや。

 むかーし、むかしのことだ。
どれくらい むかしかは オレも知らねぇ。オレも聞いたハナシだ。
・・・まぁ、とにかく むかしのことだ。
 
 あるところに お父(とう)とお母(かあ)とせがれが 三人で暮らしていた。
せがれは まだ15になるか ならないくらいでな。
 一晩寝れば 10センチも背が伸びるっちゅう、育ち盛りだ。
もう 身体(からだ)もすっかり大人になって、
お父と相撲をとっても、めったに負けなくなってきた。

 そんな ある日、お母が 便所の壁に 五寸釘が打ってあるのを見つけた。
お母は お父に聞いた。
「父さんかい、便所の壁に釘なんか 打ったの?」
「いや、おれじゃねぇ。」

 気になって、お父が便所に行ってみると、
腰くらいの高さんとこの 壁の両側に 五寸釘が打ってある。
「はて、なんでこんなとこ 釘なんか 打ったんだんべ?」って、まわりを見ると、
壁の角(かど)に 竹の棒が立てかけてある。
長さは三尺くらいで、太さはこれくらい。(輪っかをつくって)ハタキの棒くらい。

 その竹の棒を見て、お父はピーンときた。
棒を手に取って、まず左の五寸釘に刺し、次に右の五寸釘に刺す。
(ケンドンっていうヤツだな)手を放しても 落ちない。
(なるほど、・・・こういうことか)
「どれ どれ。」お父はブツを取り出し、竹の棒の上にのせる。
「こりゃ、楽チン。」
お父は腕組みをしながら 悦にいった。

 その夜、お父はせがれをつかまえて得意そうに言った。
「便所(の壁)に五寸釘を打ったのは お前(めぇ)だべ。
なかなか うんまいこと 考えたな。
さっそくためしてみたけど、ありゃ、楽チンでいい。」

「楽チン?・・・・・あっ、お父、棒の上にのせたんか?」
「うん?・・・そうだけど・・・違うのか?!」
「いや、うん、・・・そういう使い方もあっかもしんねぇけど、オラは逆だ。」

 せがれは、照れくさそうに、

「オラ、朝 小便(しょんべん)すっ時、あんまり勢いよく 上向いてんで、
天井にひっかけちゃまずいと思って、手で押さえてんだけど、
なかなか 手で押さえてのも大変なんだ。
んで、あんなこと思いついて、棒の下くぐらせて、手で押さえなくていいように したんだ。」

「だけど、ひとつ問題があった。・・・調子はいいんだけどな、
竹が細すぎたみたいで、ミシミシ言ってんだ。」

「お父、・・・もちっと太い竹、みっけてきてくんねぇけ。」

って、言ったとさ。

 おしまい。