民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「鬼子母神」 リメイク by akira

2011年12月08日 09時19分21秒 | 民話(リメイク by akira)
 むかぁーし むかしのことだ。

 山に囲まれて 小さな村があったと。
その山の奥深くに 鬼の女 鬼女が住んでいた。
この鬼女には 千人もの子供がいて それはそれは可愛がっていた。

 ところが この鬼女は 人間の子供をさらっては 食ってしまうという おそろしい鬼だった。
村のモンは いつ 自分の子供がさらわれるかと ビクビクして暮らしていた。
「子供を鬼から守ってください」 
村のモンは 朝な夕な 仏さまに手を合わせて 拝んでいた。

 そんな思いが 仏さまに伝わったのか、
仏さまは 鬼を懲らしめようと 鬼の子供を ひとりさらっては こっそりと隠した。
 (いつものように) 鬼が 子供と遊んでいると ひとりいなくなったことに気がついた。
 鬼は 目をつり上げ 口を耳元まで裂いて 鬼のような形相で、
あっちの山 こっちの山 飛ぶように 子供を 捜しまわった。

 その様子を見て 仏さまは 鬼を呼んで言った。
 「お前は 千人もの子供がいるというのに、 
たったひとりの子供がいなくなっても そのありさまか。
少しは 子供をさらわれた 人間の嘆きが わかったか!」
 「はい わかりました。もう 人間の子供をさらったり 食べたりなんかしません。 
お願いです。 私の子供を返してください。」
鬼は 泣き叫んで 子供を返してもらった。

 それから 鬼は 子供をさらうのをやめた。
 そして 今までの罪滅ぼしにと 子供を守る神さま 「鬼子母神」 になった。

 おしまい