民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「プロポーズ」 リメイク by akira

2011年12月15日 01時57分29秒 | 民話(リメイク by akira)
 むかぁーしな、人里離れたところに 大きな森があったと。
人が来ることもなく、動物は みんな仲良く 暮らしていたんだと。

 森の中に 小さな沼があってな、そこにツルさんとカメさんが住んでいたと。
二人は 幼なじみでな いつも一緒に 遊んでいたんだと。

ツルさんは スタイルがよくて 美人さんだから、みんなのあこがれの的でな、
(クマさん キツネさん リスさん そのほか)
いろんな動物が ツルさんにプロポーズしたんだけど、みんな断られていたんだと。

 「どうしてかな?ツルさん、他に 誰か好きな人でも いるんかな?」
みんな 不思議がっていたと。

 実はな、ツルさんは ずっと前から カメさんが好きだったと。
うん?・・・カメさんのどんなところがだって?
それはな カメさんの 無口だけど ウソをつかない(ウソのない)とこさ。
なんたって、男はこれが一番だもんな。

そんで、結婚するんなら カメさん って (心に)決めていたんだと。
だけど いつまでたっても カメさんが言ってくれないもんだから、
ツルさん とうとう しびれを切らして カメさんに言ったんだと。

 「カメさん、わたしたち、もう そろそろ 結婚しても いいんじゃない?」

 カメさんは それを聞いて、一瞬 嬉しそうな顔をしたんだけど、すぐに 下を向いちまったんだと。
その様子を見て、ツルさん、不安そうに カメさんに言ったんだと。

 「わたしのどこが気に入らないの?・・・首の長いとこ?」
 「ううん。」
 かめさん、首をふるんだと。
 「足の長いとこ?」
 「ううん。」
 「口がとんがってるとこ?」
 「ううん。」

 「じゃ、わたしの どこが気に入らないの?」
カメさん、下を向いたきり、口を開かないんだと。

 「ねぇ、教えて、・・・わたしの どこが気に入らないの?」

 ・・・・・かめさん、やっと 重い口を開いて、
 
 「オラもツルさんのこと 好きだよ・・・・・だけど・・・おいら 結婚したって、
ツルさんは 千年しか 生きらんねぇだろ。オラは 万年も生きられるんだよ。
男やもめに ウジがわくって 言うだろ。
オラ 九千年も 男やもめで過ごすのは イヤだよぉー!」

 って、言ったんだと。

 (これで いちがさきは おえもうした、しゃみしゃっきり、ねこすけぽっきり)おしまい