5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

建物は舞台装置

2021-06-28 21:23:03 |  文化・芸術

28日のコロナは、全国で1002人(延797315人)の感染と38人(累14726人)の死亡が確認された。愛知県では20人(延50991人)の感染と5人(累960人)の死亡の発表があった。20人以下は3月15日以来だという。

中日夕刊の〈街の記憶〉というシリーズのミニ紀行コラム。名古屋地方の街に残る特徴的な建物や風景を画家の藪野健(府中市美術館館長)が描いたスケッチにコピーライターの秋重泉が文章を付けたもので、以前にもこのブログで触れたことがあったのだが、連載59回目の6月25日が最終回となった。

藪野は「建物は(街の)舞台装置のようなもの。その舞台で演じている人間の姿に興味がある」と言い、「だから描いたのは良く知られたいわゆる名建築といわれるものだけでなく、昔の商店や倉庫などそこで生きた人々の息遣いが感じられる対象を選んだ」と語る。文の秋重も「描きこまれた歴史やひとの暮らしを出来るだけ伝えるようにこころがけた」という。

最終回の〈街の記憶〉は、名古屋市東区に残る名古屋市市政資料館前の九軒長屋だった。

名古屋の市政資料館はそのネオバロック様式が特徴的な名建築だが、その南側に残った木造二階建ての長屋は資料館が建造された1922年(大正11年)と同じ年の建物。現在の入居者の多くが司法書士の事務所だというのも現資料館がかつて控訴院として使われていたことの名残り。

スケッチ画の中央には、雲が浮かぶ夏の青空をバックに昭和期の木造二階建てが長く伸び、横壁面に貼られたトタン板が茶色に錆ている様子も100年の時の流れを表現している。

「有料駐車場の中にひとり取り残されたようなこの木造長屋だが、眼を閉じて想えば、賑やかだった長屋のくらしが浮かんでくる。夏休みには子供たちの育てた朝顔が花開き、路地の水打ち、縁台将棋と蚊取線香の匂い。夕暮れの線香花火。すべてが最早還らざる日々となった」

添えられた秋重の文も、最終回ということか、センチメンタルに終っている。

 


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