5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

初ものに拘る

2021-05-21 21:29:45 |  文化・芸術

21日のコロナは、全国で5253人(延711183人)の感染と109人(累12186人)の死亡が確認されている。このうち、愛知県では597人(延43568人)の感染が確認され,、死亡は4人(累700人〉と報告されている。

昨日から降り続く雨は今も止まない。東海地方は梅雨前線や低気圧の影響で、大気は不安定となり広い範囲で大雨、所によっては5月としては記録的な雨となったが、豊田市北部の丘陵地帯の雨量がさほどの多さではなかった為か、下流域の河川沿いにあるわが町では洪水警報の発令にはならずに済んだ。

今年は「鰹のたたき」がすでに数回食卓に載った。初ものの鰹は4月の頭に食べたのだから、食の季節感がずれてきている。やはり海水温が上がっているせいだろうか。ただ、あえて初ものに拘らずとも、あっさりとした鰹の刺身は大好きである。

「ことばの歳時記」で金田一春彦先生は、お得意の歌舞伎を題材にして「初カツオ」について書いている。

季節の感覚が豊富であるという定評がある河竹黙阿弥の世話物。さわやかな初夏を背景にして江戸っ子の気性をみごとに描き出しているのが「髪結新三」(梅雨小袖昔八丈)で、文句なしにいい気分にさせてくれる芝居であるという。

ほととぎすの鳴き声を聞かせ、縁側には新緑の植木鉢を置いて、花道を威勢のいい売り声で鰹売りがやってくる幕開きは、有名な「目には青葉、山ほととぎす、初がつを」の句をみんなみせてくれようという趣向である。

この芝居をみれば、江戸っ子がどれだけ初鰹を珍重したかがよくわかる。初ものが悦ばれて値も高かった。大切な着物を質に入れてまで食べたいというのだからたいへんなものである。

鰹は「勝魚」とも書いて意気の良い魚とされたので、気風の良さが身上の江戸っ子気質とは、よく合致したわけだ。

平安貴族がほととぎすの初音を待ちわびたこころは、江戸庶民の初鰹に受け継がれたというわけだと金田一先生は書いている。本郷生まれの先生も、自分の江戸っ子気質を尊び、高い初ものの鰹を珍重した派だったのだろう。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿