4月22日。コロナ状況は、全国で4832人(延553084人)の感染と29人(累9816人)の死亡が確認されたた。愛知県では294人(延31148人)の感染と1人(累616人)の死亡の発表があった。
ブログには連日この数字を載せてきているが、いつの間にか数字を数字としてしか転記していないことに気が付いた。1という数字の意味するものは、苦しみながら亡くなった老人の魂や、陽性を告知されてパニックになる患者の家族なのだ。心せねばならぬ。
坪内稔典先生の「季語集」、春の季語の中に〈雉〉がある。甲高いケーンケーンという表現はよくあるが、はたして自分がこの鳴き声を生で聞いたことがあったかどうか、ひとつ定かではない。本州・四国・九州に生息するとあるのだが、森の奥まで行かないと見つからないのかもしれない。
「春の野に何よけんけん雉の声」
坪内先生は、この西山宗因の句を引用して、特徴的なその鳴き声はオスがメスを呼ぶ妻恋いの声だという。ラブコールならあまり人間に近いところで鳴くものではないのかもしれない。
小学生の頃、雑木林のはずれの叢で深緑色の雉に出逢ったことがあったと先生はいう。突如だったから一瞬どきりとして胸が高鳴った。雉は高く鳴いて飛び上がったが、自然界の秘密を垣間見たようなその時の気分は今なお続いているのだそうだ。
さすがの俳人、感受性が豊かなのはうらやましい。こちらがそんなシチュエーションになったら、旨いキジ丼のことでも想像するのがオチだろう。
雉が日本の国鳥だと書いてあるが、丹頂鶴だろうかと想像したのに雉だったとは知らなかった。「日本固有種の美しい留鳥で、民話や童謡でもなじみがあり、オスは勇敢、メスは母性愛の象徴であることなどから、1947年に日本鳥学会が国鳥に選んだ」と日刊ゲンダイの記事内にある。
WIKIの「雉」を読むと、市鳥や町鳥に指定している地方の自治体がたくさん書かれているが、愛知県の市町村はどこも雉をシンボルには選んでいない。雉たちはここまで飛来しないのだろう。鳴き声を聞いたことがないのも当然だ。
「雉の子をつかんで帰る童哉」
これは正岡子規の句。子規は松山、坪内先生は伊方の出身だ。雉は伊予が好きなのだろう。雉にいわせれば「愛知じゃないよ愛媛だよ」というわけだ。
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