小泉首相の郵政民営化実現内閣、福田首相の背水の陣内閣、安倍首相の美しい国づくり内閣から、鳩山首相のマニフェスト内閣を引き継いで奇兵隊内閣を自認した菅首相。小沢との民主党代表選にも勝って、今日はめでたく菅改造内閣の組閣発表である。奇兵隊内閣は、今までの苦労の試行錯誤を乗り越えて進むようにと「有言実行内閣」と改名した。
時事通信ニュースがWEBに載せた「組閣リスト」を無断拝借して眺めてみる。
代表選で小沢に投票したのは全17名のうち2人だけ。党の新3役もプロ菅、目立つは旧社会党人脈(仙石ライン)の5人というから、やはり「菅は小沢が嫌い」なのだろう。 はっきりした人事である。
「脱小沢」か「党内融和」かとウルサく迫るマスコミのせいか、「適材適所を狙って412人の全員内閣をめざす」となんども繰り返した菅首相。「挙党体制による組閣は、当選回数の多いベテランに若手新大臣をも配して、次世代に松明を渡せるように考えた」と胸を張る。副大臣や政務官には小沢派の若手議員を登用しようとする計画らしい。
今ひとつ回復の遅い日本の経済や、政権交代時のマニフェストの不徹底を指摘されてか、今夜の記者会見では、戦術論的な布陣として、4人のキーパーソンの実名を挙げて紹介した。
「天命」で火中の栗を拾ったかもしれないと泣いてみせた岡田幹事長。経済活性化の名案が期待される小沢支持派の海江田経済財政相、尖閣問題ではコワモテの姿勢、国際社会のプロミネンスを期待される前原外務相、それに、地域主権改革を国政レベルで実現できるかの片山総務相。それぞれに「頼りにしとりまっせ」ということだろう。
NHKの街頭インタビューでは「ぱっとしない、知らない顔ばかり」というのがあったが、新閣僚10人はたしかに民間初お目見得の方も多そうだ。せいぜいマスコミインタビューに顔を出して国民へのメッセージ発信を忘れないようにして貰いたいものである。
なにせ、景気対策や雇用対策、子ども手当から沖縄問題まで、新内閣のやるべき問題は山とあるのだから。菅首相は、早速、補正予算に言及したというが、景気浮揚や雇用創出に必要なコストならば、「ねじれ国会」の現実を前にして、それこそ真剣かつ執拗な「野党との話し合い」が必要になろう。「挙党体制」はこうした立法と行政の両輪を回し続ける為のエネルギー源であり、「バイパルティザン」への信頼をもたらす。
2009年の9月16日に始まった民主党内閣。丸1年が経過した今、余裕のハネムーン期間は終わった。この「有限実行内閣」、はたして山積する課題に迅速に誠実に対応してくれるのか。もう待ったなしである。
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