5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

「ひょっこり」のアクセント

2010-04-12 22:38:36 | ことば
作家の井上ひさしが死んだ。75歳だったという。

自分より一世代前の文筆家だから、その著書や戯曲のタイトルには結構なじみもあるのだが、考えてみると実際に読んだ作品はまことに少ない。演劇についてはTV中継で見たような記憶がかすかにあるといった具合。だから、「内に秘めた怒りを様々な笑いにコーティング」して見せた作家だったそうだが、自分はそれについてコメントする立場にはない。

彼の放送作家としてのスタートになったNHKTVの人形劇「ひょっこりひょうたん島」が気になったからだ。気になったといってもやはりその内容がというのではなく、今朝のモーニングショーでも夜のNHKニュースでも、(さらにほかの場合でも)多くのコメンテーターが皆、「ひょっこり」の「ひょ」にアクセントをつけることが気になってしょうがないからだ。

「ひょっこり」のアクセントは中高の「こ」につけるのがアタリマエのはずなのだが、いつから頭高アクセントになってしまったのか。イヤなのはスタンダードであるべきNHKに勤務するアナウンサーが幾人も(新人はもとより中堅も)この頭高アクセントを平然と使うことだ。NHKアクセント辞典には頭高アクセントで表示がされているというのだろうか。

宇野誠一郎が作曲した特徴的なテーマ曲は「進め~ひょっこりひょうたんジーマ、ひょこりひょうたんジーマー」と終わる。ソファレファラソーソだからたしかに頭高のメロディーだ。ひょっとするとNHKのアナウンサーたちは、記憶に刷り込まれたテーマソングのメロディーラインを正しいとしているのかもしれない。

ことばのアクセントの高低と同じようにメロディーを作ったという「赤とんぼ」の山田耕筰の例はあるが、「ひょっこり」のテーマの場合は、ことばアクセントとメロディーラインは同じではないのだ。

このブログ「美川じゃない」(2008年11月30日)でも書いたのだが、近頃のTV番組ホストたち(最近では何故かアナウンサーとは紹介されない)の言葉の乱れは社会的問題なのではないかと思っている。NHKも民放も同じである。

最近、もうひとつ気になるアクセントは「中京競馬場」。

これは東京競馬場と同じように、はじめからおわりまで高く平板に発音すべきで、「中京」と「競馬場」とを別々に発音する場合でも同じなのだが、近頃の若者は「中京」を頭高アクセントでやってのける。

KBS京都の中央競馬実況「KEIBAワンダーランド」の女性アシスタントが毎回これをやってくれるし、JRAの案内嬢も同様だ。彼女たちは地元ではないのだからハンデをつけるとしても、毎日利用する名鉄電車の若い車掌はその6割が頭高アクセントで車内案内をするから聞かされるこちらのストレスが高まる。車掌諸君は「東京」を頭高アクセントで発音するのか?やってごらん。

関西風の頭高アクセントを東京のアナウンサーも名古屋の車掌も違和感なく使う傾向なのはいかなる訳があるのだろう。カタカナ語も頭高アクセントが多いようなのだが、皆が舌っ足らずでオカシナ日本語使いになってしまうのではと心配している。井上ひさしならなんといっただろうか。











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