5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

やすらえコロナよ

2021-04-12 21:17:08 |  文化・芸術

12日のコロナ、全国では2102人が感染(延509706人)24人(累9446人)が死亡した。愛知県では122人(延28965人)が感染確認された。100人超えは7日連続である。死者の発表はなかった。

京都紫野の今宮神社では〈やすらい祭り〉という神事が毎年4月の第二日曜日に行われる。金田一春彦先生の〈ことばの歳時記〉にもこの祭りのことが出ている。

「安良居」や「夜須礼」と漢字をあてることもあるが、「やすらえ、花や」と桜の花に呼び掛けるところからつけられた名だという。

「やすらえ」とは「落ち着け」「そのまま休んでいろ」という命令ことばで、鞨鼓、大鬼、花笠などで飾り立てた練り衆たちが「やあ、とみ草の花や、やすらい花や」という詞を囃にあわせて謡い踊る。

祭りは、重要無形民俗文化財の指定を受け「鞍馬の火祭」「太秦の牛祭」とともに京の三奇祭の一つ。春の精に煽られ陽気の中で飛散するといわれる疫神を、囃子や歌舞によって追い立てて花傘の中へと誘い鎮まらせて一年の無病息災を祈るのだ。

「やすらえ」と桜花に命令をするのは、柿などの果樹の根本を叩いて「なれなれ」と責める「成木責め」の風習にも通じるもので、古代の人々はことばの呪力を信じていた名残だと金田一先生はいう。最近とんと信用を落とした令和の日本語には呪力などまるでなくなってしまった。

桜の花は稲の花の見立てで、早く散って凶作にならぬようにと願ったのが祭りの原型だが、後に疫病を退散させる行事になって一般化したのだそうだ。

現代の疫病、新型コロナウイルスは発生から一年が経過した後もいっこうに退散しようとはしてくれない。コロナは「花冠」のことだから、まさに「やすらえ花よ」と叫びたいところだが、祭りのハイライト、練り衆たちの行列は神社や氏子たちが自主的に中止してしまったらしい。

これではコロナの疫神は鎮まってくれないではないか。

 

 

 


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