5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

宮崎駿の嫌いなもの

2010-07-15 23:30:21 | 社会
スタジオジブリが発行している小冊子《熱風》の7月号(iパッド特集)に掲載された「ぼくには、鉛筆と紙があればいい」という宮崎駿へのインタビュー記事の一部を引用した、「平凡でもフルーツでもなく」という佐々木康彦のブログを、さらに孫引きしたライブドアブログの「まにあっくすZ」を読んだツイッターのツイートを読んだ自分が、オモシロがって自分のブログに逆引きするのだから、確かに世の中、変わってきている。

ツイートが引用している「iパッドをいじってる姿は、自慰行為のようで嫌悪感がある」という本文内の一言に、最近増殖中のiPadユーザーのほんの一部が過剰反応しているようだ。自分も「マスターベーション」といわれて俄然興味を惹かれたのだから半ば同類かもしれない。

本文を読んでみたいと思って名古屋駅前の書店まで出かけてみたが品切れ。結局、本文の一部を引用している上記のブログの内容から判断するしかない。念のため転記してみると、

『あなたが手にしているそのゲーム機のようなものと、妙な手つきでさすっている仕草は気色わるいだけで、ぼくには何の感心も感動もありません。嫌悪感ならあります。そのうちに電車の中でその妙な手つきで自慰行為のようにさすっている人間が増えるんでしょうね。電車の中がマンガを読む人間だらけだった時も、ケイタイだらけになった時も、ウンザリして来ました。』

『あなたの人権を無視するようですが、あなたには調べられません。なぜなら、安宅型軍船の雰囲気や、そこで汗まみれに櫓を押し続ける男達への感心も共感もあなたは無縁だからです。世界に対して、自分で出かけていって想像力を注ぎ込むことをしないで、上前だけをはねる道具としてiナントカを握りしめ、さすっているだけだからです。

一刻も早くiナントカを手に入れて全能感を手に入れたがっている人は、おそらく沢山いるでしょう。あのね、60年代にラジカセ(でっかいものです)にとびついて、何処へ行くにも誇らしげにぶらさげている人達がいました。

今は年金受給者になっているでしょうが、その人達とあなたは同じです。新製品にとびついて、手に入れると得意になるただの消費者にすぎません。あなたは消費者になってはいけない。生産する者になりなさい。』

世界的なアニメーターの宮崎駿の刺激的なiPad観だと賛否両論かしましいが、自分はちょっと違った捉え方をしてみた。

虫の居処が悪かったのか、シッカリ怒っている宮崎駿がそこにいる。目の前のインタビューアに対し怒っている。

《熱風》はスタジオジブリの編集部か発行するPR誌。今回、宮崎にインタビューしたのもジブリの編集社員なのだろう。イマドキの一般的青年のひとり、インタビューの仕方、インタビュー時のマナーを知らないままの若い男性がイメージできそうだ。

坊ちゃん育ちの彼は、「社内身内のインタビューなら、何をどう聞いても、ある程度の無礼は許されるはず」と信じて疑わない。ところがこれが大きな間違い。身内であろうがなかろうが、相手の気持ちを読んで対応するのが大人のインタビューというもの。宮崎は自分の身内のKYなマナー違反に怒っているのだ。

インタビューにはメモ帳さえ出すべきでないと教育された宮崎のような世代を前にして、インタビューの机上に さも自慢げにiパッドを置き、これみよがしに操作して見せるバカはいない。もしかすると、録音も無断で勝手に始める無神経だったかもしれない。宮崎はマナー教育のつもりで厳しく切り捨てたのだ。

「相手が何者で、日頃どういった考え方をするのか?」インタビューには事前調査が不可欠なはずだが、これも出来ていない。何時も近くにいるから何でも知っている気でいるだけで、上役のことなどなにも知らない。宮崎駿の考え方なら、外部にいるファンの方がよほどご存知だということかも。

電子ガジェットを一台持たされというだけで舞い上がり、言わずもがなの事を云いたがる独りよがりの輩が多すぎるが、その実なにも理解していないという惨め。その代表者がこの気の毒なインタビューワというわけだ。「マニュアル・アナログへのこだわり」が売りのスタジオジブリの社員なら「それが解らなくてどうする」「質問の仕方を替えろ」と、宮崎は云いたいのだろう。

一部のアイパッド熱は、関係のない大多数からすれば確かに「淫している」といえるほどだ。ピンチやフリップする手の動きを手淫のようで気持ち悪いというのは、自身も手を使っているイラストレータらしい人間観察だわと笑った。












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