5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

燃料か食料か

2008-04-17 22:16:58 | 環境
昨日(16日)の中日朝刊に「食料危機は非常事態、国連総長が各国に支援呼びかけ」という国際ニュースが掲載されていた。同じ日にVOAのポッドキャストも「食料インフレが開発国での暴動に発展」というニュースを流している。

日本でも、食料品がジワジワと値上がりを始めていて、庶民イジメの動きはもう止まらないが、われわれの知らない間に、食料インフレは世界中で勃発し、バングラデシュ、フィリピン、エジプトなどでは暴動に発展、中米ハイチでは政府が転覆するところまで行っているらしい。

人口の増加、バイオ燃料への転作、石油価格の上昇、肥料の高騰、中国やインドでの食の変化などに加えて地球温暖化と気候変動も絡まったかたちで、世界中の穀物生産に負の影響をおよぼしているというわけで、貧困弱者がつねに最初に痛い目を見る構図である。

世界銀行の総裁発言では、「こめ」の価格はこの二ヶ月で75%、小麦は過去1年間に120%の上昇を見ているのだという。生産国では輸出の制限をし始めて、自国の食料確保にまわりはじめているらしいから、われわれの主食もおおいに関係が出てきそうだ。

予算が底をつきかけた世界食糧計画(WFP)に計5億ドルの緊急拠出をと、世銀とIMFは各国に向けて要請し、アメリカは総額2億ドルの食料援助を即決したというのだが、日本はどうするつもりだろう。

17日の朝日新聞の記事では「MA米(ミニマムアクセス米)の在庫が急減 穀物高騰で飼料用に」とある。07年度末時点での在庫は120万トン強が残る輸入義務米、08年度は70万トンを飼料用に見込んでいるのだそうだが、毎年77万トンが輸入義務量だとすると、120万トンの在庫は下手をすれば、そのまま残り続けるわけで、農水省のお役人様は、これで「流行のバイオエタノール」を作ろうと目論んでいるらしい。

「100万人が飢餓にさらされている」と国連事務所長が指摘するような世界的食糧状況を知れば、日本の姿勢はいかにもノー天気ではなかろうか。みなの顔色を見ながら拠出金を決め、あとは、内向きの経済優先と農家保護で「バイオ燃料」の開発に邁進すれば事足りるわけではまったくないはず。

「バイオ燃料と食料確保のバランスを真剣に考えるべき時」だと、各国の意識が変わろうとするクリティカルポイントに達した現在こそ、日本政府の「人道的」アクションが注目されているのだ。

洞爺湖サミットはもうすぐです、福田総理。

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1 コメント

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日本は1億ドル (ゆうぜん)
2008-04-24 12:05:19
WFPの5億ドル緊急拠出要請に、日本政府は1億ドルの提供を発表したとニュース発表があった。アメリカやフランスの意思表示から1週間の遅れの発表だが、ごたごた続きの政府だから、遅すぎるということでもないのだろう。

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