もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

9 017 久保田竜子「英語教育幻想」(ちくま新書:2018)感想3+

2020年03月06日 00時34分02秒 | 一日一冊読書開始
3月5日(木):  

247ページ      所要時間4:30       ブックオフ56円

著者63歳?(1955生まれ?)。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学教授(応用言語学)。長野県生まれ、立教大学卒、公立中学・高校で英語教諭(1980-1986年)。1992年トロント大学で教育学博士号取得。米ノース・カロライナ大学で14年以上の准教授・教授を経て、2009年より現職。著書に『グローバル化社会と言語教育 ――クリティカルな視点から (久保田竜子著作選1)』『英語教育と文化・人種・ジェンダー (久保田竜子著作選2) 』(奥田朋世 (監訳)). Race, culture, and identities in second language education: Exploring critically engaged practice. New York: Routledge. (2009年、編著)。

【目次】幻想1 アメリカ・イギリス英語こそが正統な英語である
幻想2 ことばはネイティブスピーカーから学ぶのが一番だ
幻想3 英語のネイティブスピーカーは白人だ
幻想4 英語を学ぶことは欧米の社会や文化を知ることにつながる
幻想5 それぞれの国の文化や言語には独特さがある
幻想6 英語ができれば世界中だれとでも意思疎通できる
幻想7 英語力は社会的・経済的成功をもたらす
幻想8 英語学習は幼少期からできるだけ早く始めた方がよい
幻想9 英語は英語で学んだ方がよい
幻想10 英語を学習する目的は英語が使えるようになることだ


読み難かった。面白くないようで、面白いところもあった。要は俺にはあまり関心が持てなかった、ということ。政府や企業の勧める英語教育政策や英語学習者の思い込みの背景に多くの差別や偏見、思い込みのイデオロギーが、意識的、無意識的を問わず織り込まれている。英語学習における早期教育の是非、英語を英語で学ぶモノリンガル教育の是非など、さまざまな捉え方があるという指摘について、ほぼすべてに賛同できた。

批判的<応用言語学>の研究の存在自体、新鮮でもあり、必要な興味深い学問だと思えた。2020年度から小学校3、4年生でも英語授業が始まることを考えれば、時宜を得た著作にも思える。英語教育に関心のある人の本書に対する評価は5でもよいと思う。だが、いかんせん今の俺にはどうでもいいことに思われた。感想3+はあくまでも俺の感想である。+の部分に本書に対する好意を現したつもりである。

英語学習の低年齢化はあまり必要ではない。
学習開始年齢と習熟度との関連性は実証研究では証明されていません。それより学習の量(時間数)・集中度・質が影響することがわかっています。192ページ

【内容紹介】国際化の必要性が叫ばれ始めた一九八〇年代以降、英語教育は常に議論され続けてきたが、特にここ数年「グローバル人材」育成に向けて様々な提言がされてきている。小学校からの早期英語教育、英語による教室指導、外部テストの導入、教員の英語力強化などだ。その裏側には、「英語は全世界の人々をつなぐ」「英語力は経済的成功をもたらす」という、ほとんど信仰のようなものが横たわっている。しかしそれは本当なのだろうか?海外の大学で二五年教鞭をとってきた言語教育学者が、日本人の中に深く根を張る「英語への信仰」と「幻想」を、10のポイントに分けてあぶりだす。



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