もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

6 031,6 032,6 033 ジャンプ・コミックス「ヒカルの碁19~23巻&碁ジャス☆キャラクターズガイド」(集英社:2002、2003)感想5

2017年02月04日 23時48分40秒 | 一日一冊読書開始
2月4日(土):  ほったゆみ原作・漫画小畑健。      

19巻~23巻+別巻「碁ジャス☆キャラクターズガイド」(漫画2巻を本1冊に換算する。) 所要時間7:00  アマゾンで全23巻+別巻1(2929円)

最強の初段として復帰を果たした進藤ヒカルの前に関西棋院の社(やしろ)清春が現れる。社とヒカルの対戦は社の右上5の5黒に、ヒカルの天元白、さらに右下5の5黒で始まり、風雲急を告げる。ヒカルは、若手No.1のライバル塔矢アキラ、関西棋院の社清春らとともに、18歳以下で各国3名ずつ出場する団体戦「日中韓Jr団体戦 北斗杯」の日本代表となる。国際戦での最強のチームは韓国、次いで中国、日本不利の状況のもと、韓国主将高永夏(コ・ヨンハ)の発言が日本の碁聖秀策を誹謗したと誤報される。秀策=藤原佐為(sai)を否定されたことに怒りを高ぶらせるヒカルの姿を目にして、高永夏は自己の発言の誤報を敢えて訂正しないどころか、肯定する。中国戦で見せた必死の闘いを評価され、日韓戦でヒカルは高永夏と激闘の末に反目負けを喫する。高に「なぜ碁を打つのか」と問われ、「遠い過去と遠い未来をつなげるために」とヒカルが答える。「俺たちは皆そうだろう」と応じる高。中国選手団長の楊海(ヤンハイ)が「そんなの今生きてるヤツ誰だってそうだろ。なぜ碁を打つのかも、なぜ生きているのかも一緒じゃないか」と語る。最後まで息もつかせず読者をひきつけ続け、未来に続く確かな余韻を残して第23巻で一応の完結をする。

前回も書いたことだが、最後までストーリーにゆるみがなかった。ぐいぐいと読者をひきつけ続け、余裕を残して物語りを終えた。これは著者の力量というよりも、創作以前に存在する囲碁の世界の豊かさ深さが圧倒的に影響しているのだと思う。作者は、囲碁の世界に十二分の敬意を払って、事実に基づいて丁寧にストーリーを展開させれば自ずと魅力的な物語りになる。国際戦に発展する中で、俄然面白さを維持する展開に、以前記した「のだめカンタービレ」を思い出した。あの作品も音楽の世界の豊かさ奥深さを読者に丁寧に紹介説明してくれることに成功していた。「ヒカルの碁」も同じである。

本書は現代日本の囲碁をめぐる群像の生きる様子を知る上で最も優れた情報源になっている。アニメの再放送が待たれる。AIが、トップ棋士に完勝する時期が目前に迫るが、たとえAIが人間を上回っても、人間の棋士の存在意義にあまり影響はないだろうし、子どもたちや大人が囲碁を学び、嗜むことによって良い影響が出ることも変わらないだろう。

別巻「碁ジャス☆キャラクターズガイド」には、本編の手合いの棋譜がすべて載っていた。本編のストーリー、セリフもすべて元になる棋譜に基づいて展開されていたのだ、とわかった。
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