2月15日(日):
「NYタイムズ」 「英インディペンデント」
*SDF=勿論「自衛隊」
*SOFA=《Status of Forces Agreement》駐留米軍の地位に関する協定。地位協定。→日米地位協定
真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」
以下、内田樹師匠から引用:
2015.02.12
またまたロイターの記事から
2月11日のロイター発の記事が日本政府の歴史問題についての広報活動が結果的に日本にとって痛い結果をもたらすだろうという観測を述べている。
アメリカの歴史家たちの声明に続いて、英米から安倍政権の歴史認識についての批判的なコメントが続いているが、日本のメディアは国際社会から安倍政権がどういう評価をされているかについてほとんど報道しない。
こうやってSNSで手仕事をするしかない。こういう手立てがあるだけありがたいといえばありがたいけれど。日本のメディアに対する信頼が急落していることについて、もう少しメディア関係者は危機感を持って欲しい。
記事はここから。
日本の戦時下の行為についての偏見を訂正しようとする日本政府の運動が引き起こした騒動は、海外に友邦を創り出そうとする巨額のPR活動の積極的なメッセージを台無しにするリスクがある。
PRの予算規模は5億ドルを超えるが、これは日本の戦前戦中における行為について、これまでのように謝罪一辺倒ではないスタンスを採り、日本の戦後の防衛政策に課された平和憲法の足かせを外そうとする安倍晋三首相の意を体したものである。
歴史問題だけがPRプログラムの唯一の焦点ではない。多くのファンドが「親日」国の開発のためのソフトパワー事業(大学における日本研究の支援、「日本ブランド」プロモートのための「ジャパン・ハウス」センターの設立など)のために投じられる。
しかし、それと同時に日本政府は同時に海外の教科書出版社の日本の戦時下での行動についての記述などを日本のイメージに悪影響を与える不正確なものと見なしてこれを標的にしている。
このような試みに対してはすでに反撃が始まっている。
アメリカの19人の歴史学者たちが、日本政府がMcGraw-Hill社に対して「慰安婦」(戦時中に日本軍の売春宿で強制労働させられていた人々について日本で使われている呼称)に関する記述を改めるように要請したことに抗議して声明を発表した。
記述変更の要請は却下された。
「われわれは第二次世界大戦中になされた蛮行を明るみに出すために働いてきた日本をはじめとする国々の多数の歴史家たちと立場を共にしている。われわれは過去から学ぶことで歴史を実践し、歴史を創り出す」と声明は語っている。この声明は米国歴史協会のニューズレターの3月号に掲載される。
「われわれはそれゆえに出版社や歴史家に対してその研究成果を政治目的のために変更するように圧力を加えてくる、国家や特定団体の企てに反対する。」
安倍自身はさらに積極的なPR攻勢をする方針を固めている。「穏健でいるだけでは国際社会において信認を受けることができない。われわれは必要とあらば論争を辞すべきではない」と彼は最近国会で述べた。
日本政府の動きは、アジア諸国とりわけ戦争の苦い記憶がまだ生々しい中国と南北朝鮮が第二次世界大戦終戦70周年を迎える敏感な時期に当たってなされている。
十年にわたって広報活動予算を削減してきた日本の外務省は戦略的コミュニケーションのために700億円の予算(2014-15念の補正予算と四月から始まる次年度の当初予算)を組んだが、これは前年度の当初予算よりも200億円増額されている。
日本の多くの政治家と官僚たちは、日本が地域のライバル国である中国と韓国の積極的な広報外交によって圧倒されてきたことに不安を抱いている。
「多くの国々はこの分野に巨額の予算を投じているが、日本の予算は十分ではない」とある外務省の役人は述べている。
保守派は予算増額を歓迎しているが、彼らのプライオリティは歴史についての誤謬訂正にある。
「日本の歴史に対する多くの誤解や偏見を知ると、少なくとも記録を正すことはしたい」と櫻井よしこ(ジャーナリスト、保守派のシンクタンク国家基本問題研究所の理事長)は語る。
「われわれはすでに(情報戦で)敗北している。押し戻す必要がある」と彼女はロイターのインタビューの中で語った。
反撃の危険を察知して、外交官たちは「ジャパンハウス」センター(2016年にまずロンドン、ロサンゼルス、サンパウロに設立される予定)を日本政府の公的歴史観の宣布拠点にするようにという圧力を緩和しているように見られる。その代わりに、これらの機関を、ある官僚の言葉を借りれば、論争的なトピックについて例えばセミナーを開催するなどして「バランスのとれた議論の土台」とすることをめざしている。
しかし、保守派の政治家たちはより大胆なステップを望んでいる。
「まだやりたいことの半分もできていない。あらゆる手立てを通じて、われわれは日本の情報戦略を強化して、本当の意味で日本のどこがすばらしいのかを他国に適切に理解させることが必要である」と与党自民党の衆議院議員原田義昭(党のコミュニケーション戦略改善のための委員会の委員長)は語っている。
専門家たちは歴史記述について変更を求める政府の努力は、日本の戦時中の問題に公的な焦点を当て続けることになり、意図とは逆効果を招くと見ている。
「歴史についての長い議論のうちに引きずり込まれた人々は結果的に日本について残虐な国という印象を抱いてしまうことになるだろう」とダートマス大学のJennifer Lind 教授は語る。「それこそ敗北だ。」
「NYタイムズ」 「英インディペンデント」
*SDF=勿論「自衛隊」
*SOFA=《Status of Forces Agreement》駐留米軍の地位に関する協定。地位協定。→日米地位協定
真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」
以下、内田樹師匠から引用:
2015.02.12
またまたロイターの記事から
2月11日のロイター発の記事が日本政府の歴史問題についての広報活動が結果的に日本にとって痛い結果をもたらすだろうという観測を述べている。
アメリカの歴史家たちの声明に続いて、英米から安倍政権の歴史認識についての批判的なコメントが続いているが、日本のメディアは国際社会から安倍政権がどういう評価をされているかについてほとんど報道しない。
こうやってSNSで手仕事をするしかない。こういう手立てがあるだけありがたいといえばありがたいけれど。日本のメディアに対する信頼が急落していることについて、もう少しメディア関係者は危機感を持って欲しい。
記事はここから。
日本の戦時下の行為についての偏見を訂正しようとする日本政府の運動が引き起こした騒動は、海外に友邦を創り出そうとする巨額のPR活動の積極的なメッセージを台無しにするリスクがある。
PRの予算規模は5億ドルを超えるが、これは日本の戦前戦中における行為について、これまでのように謝罪一辺倒ではないスタンスを採り、日本の戦後の防衛政策に課された平和憲法の足かせを外そうとする安倍晋三首相の意を体したものである。
歴史問題だけがPRプログラムの唯一の焦点ではない。多くのファンドが「親日」国の開発のためのソフトパワー事業(大学における日本研究の支援、「日本ブランド」プロモートのための「ジャパン・ハウス」センターの設立など)のために投じられる。
しかし、それと同時に日本政府は同時に海外の教科書出版社の日本の戦時下での行動についての記述などを日本のイメージに悪影響を与える不正確なものと見なしてこれを標的にしている。
このような試みに対してはすでに反撃が始まっている。
アメリカの19人の歴史学者たちが、日本政府がMcGraw-Hill社に対して「慰安婦」(戦時中に日本軍の売春宿で強制労働させられていた人々について日本で使われている呼称)に関する記述を改めるように要請したことに抗議して声明を発表した。
記述変更の要請は却下された。
「われわれは第二次世界大戦中になされた蛮行を明るみに出すために働いてきた日本をはじめとする国々の多数の歴史家たちと立場を共にしている。われわれは過去から学ぶことで歴史を実践し、歴史を創り出す」と声明は語っている。この声明は米国歴史協会のニューズレターの3月号に掲載される。
「われわれはそれゆえに出版社や歴史家に対してその研究成果を政治目的のために変更するように圧力を加えてくる、国家や特定団体の企てに反対する。」
安倍自身はさらに積極的なPR攻勢をする方針を固めている。「穏健でいるだけでは国際社会において信認を受けることができない。われわれは必要とあらば論争を辞すべきではない」と彼は最近国会で述べた。
日本政府の動きは、アジア諸国とりわけ戦争の苦い記憶がまだ生々しい中国と南北朝鮮が第二次世界大戦終戦70周年を迎える敏感な時期に当たってなされている。
十年にわたって広報活動予算を削減してきた日本の外務省は戦略的コミュニケーションのために700億円の予算(2014-15念の補正予算と四月から始まる次年度の当初予算)を組んだが、これは前年度の当初予算よりも200億円増額されている。
日本の多くの政治家と官僚たちは、日本が地域のライバル国である中国と韓国の積極的な広報外交によって圧倒されてきたことに不安を抱いている。
「多くの国々はこの分野に巨額の予算を投じているが、日本の予算は十分ではない」とある外務省の役人は述べている。
保守派は予算増額を歓迎しているが、彼らのプライオリティは歴史についての誤謬訂正にある。
「日本の歴史に対する多くの誤解や偏見を知ると、少なくとも記録を正すことはしたい」と櫻井よしこ(ジャーナリスト、保守派のシンクタンク国家基本問題研究所の理事長)は語る。
「われわれはすでに(情報戦で)敗北している。押し戻す必要がある」と彼女はロイターのインタビューの中で語った。
反撃の危険を察知して、外交官たちは「ジャパンハウス」センター(2016年にまずロンドン、ロサンゼルス、サンパウロに設立される予定)を日本政府の公的歴史観の宣布拠点にするようにという圧力を緩和しているように見られる。その代わりに、これらの機関を、ある官僚の言葉を借りれば、論争的なトピックについて例えばセミナーを開催するなどして「バランスのとれた議論の土台」とすることをめざしている。
しかし、保守派の政治家たちはより大胆なステップを望んでいる。
「まだやりたいことの半分もできていない。あらゆる手立てを通じて、われわれは日本の情報戦略を強化して、本当の意味で日本のどこがすばらしいのかを他国に適切に理解させることが必要である」と与党自民党の衆議院議員原田義昭(党のコミュニケーション戦略改善のための委員会の委員長)は語っている。
専門家たちは歴史記述について変更を求める政府の努力は、日本の戦時中の問題に公的な焦点を当て続けることになり、意図とは逆効果を招くと見ている。
「歴史についての長い議論のうちに引きずり込まれた人々は結果的に日本について残虐な国という印象を抱いてしまうことになるだろう」とダートマス大学のJennifer Lind 教授は語る。「それこそ敗北だ。」