もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

7 074 養老孟司「養老訓」(新潮文庫:2007)感想3+

2018年07月13日 00時58分45秒 | 一日一冊読書開始
7月12日(木):  

196ページ     所要時間2:40      ブックオフ108円

著者70歳(1937生まれ)。鎌倉生れ。解剖学者。東京大学医学部卒。東京大学名誉教授。心の問題や社会現象を、脳科学や解剖学などの知識を交えながら解説し、多くの読者を得た。’89(平成元)年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。新潮新書『バカの壁』は大ヒットし2003年のベストセラー第1位、また新語・流行語大賞、毎日出版文化賞特別賞を受賞した。大の虫好きとして知られ、現在も昆虫採集・標本作成を続けている。

昨日読んだ本の50代から起業して働け!、死ぬまで生き生きと働け!という論調とは、対照的な印象を受けた。しかし、あまり愉快な読書でもなかった。

著者からすれば鼻歌のような気分で書かれたものだと思う。歯に衣着せず耳の痛いことも平気で語り下ろしている。全体としてみれば、気兼ねせずに常識的事実を伝えようとしている。著者が、戦前生まれであることも手伝い、世の中の<枠組み>をあまり信用せず、自分自身の感覚を重視するべきである。憲法論議も、あまり向きになる必要がない、という論調だったが、今のアベ・アソウ・創価学会政権による戦後体制の破壊を前提とすれば、少しは論調が変わっただろう。

「国で言えば国土、個人ならば感覚を基本に考える」(183ページ)というように、著者は基本的に捉われない生き方を主張するが、強いて言えば自然環境に対するこだわりを見せている。

期待したほどではなかったが、やはり著者のレベルの高さを思わせる言葉がところどころで見られた。

夜寝るとき、昼寝するとき、必ず意識が切れます。毎日毎日無意識状態を経験しています。/死ぬということは最後に意識が切れてもう戻ってこない状態です。その戻ってこないことを、皆さん心配しておられるようです。略。/「また帰ってくるかも、しれない」くらいに思っておけば、死ぬことはそんなに恐くないのです。今までと別に変りないでしょう。/心の持ち方として、寝るときと同じくらいに考えておけばいい。どうせ死ぬということは、よくわからないことなのです。178ページ

【目次】訓の1 不機嫌なじいさんにならない/訓の2 感覚的に生きる/訓の3 夫婦は向かい合わないほうがいい/訓の4 面白がって生きる/訓の5 一本足で立たない/訓の6 こんな年寄りにはならないように/訓の7 年金を考えない/訓の8 決まりごとに束縛されない/訓の9 人生は点線である

【内容情報】日本には、不機嫌で笑わない年寄りが多い気がします。しかし人生において、年をとったからこそ良かったと思えることはたくさんあります。私もいい年こいたじいさんですから年寄りの立場から、こんな考え方をすればもう少し機嫌よく人生を過ごせるんじゃないか、ということを言っておきたくなりましたー著者の七〇歳を記念して刊行された、大人のための笑って過ごす生き方の知恵。
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