もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

3 032 上杉隆「世襲議員のからくり」(文芸春秋;2009)感想4  

2013年11月22日 00時49分58秒 | 一日一冊読書開始
11月21日(木):

173ページ  所要時間2:10    ブックオフ105円

著者41歳(1968生まれ)。

丁寧に本書を読めなかったのは、著者に対して随分失礼なことをしてしまったと思う。安倍・麻生・福田政権を徹底的に批判していた頃、著者のメディアでの発言には、随分と楽しませてもらい、政治の裏を見る目を開かされたものである。最近は、あまりマスコミに出て来られないのが、随分と不満であり、また心配をしている。著者が、今後もっと活躍されることを願ってやまない。

本書の内容は、書名によって十分予想できるものだ。日本が、先進国とされる国々の中で異常に世襲議員が多い。例えば、自民党であれば現議員の40%―これでも大半が非世襲の「小泉チルドレン」によって以前より大幅に下がっている―。親が地方政治家や首長まで含めれば、自民党議員の51.6%が世襲だ、との数字もある(2003年)。

その後、世襲議員規制の問題はうやむやになり、自民党が、衆参両院で圧倒的数を占める2013年時点での世襲議員の比率は、さらに伸びていることだろう。アメリカの世襲議員の比率は5%、イギリス下院議会での比率は3%にも満たないそうだ。

常々、政治屋さんたちの感覚が、どうしてこれほど我々庶民とかけ離れているのか、弱者への思いやりと想像力の欠如など、不思議でしかたなかった

消費税、年金、生活保護、医療・介護、原発、集団的自衛権、特定秘密保護法、歴史に対する無知、庶民生活への無知、金太郎飴のようにステレオタイプの感覚。それらすべてを象徴する安倍晋三のとろんとした張りのない表情、こちらをハッとさせる新鮮さの全く無いガキっぽい視野の狭さ、マッチョを求めながら覆い隠せないひ弱さ。これらすべてが、圧倒的な世襲率の高さで納得できた。北朝鮮の金王朝を笑えない。一党独裁の腐敗した中国共産党政権を笑えない。日本の政治も、<55年体制>を上まわる<世襲の弊>を抱え込んでいるのだ。

「すべては有権者の責任」と言って済ませられないのだ。政治システムにぶ厚い世襲権益の壁が構造化しているのだ。現在の日本の政治家は、真の日本国民の代表ではない。ごく一部の世襲既得権益集団の代表なのだ。こんな連中に、国民の思いが理解できるわけがないのだ。

政治屋とそれを批判すべきテレビ局も共存関係にある。政治屋の子女が異常にテレビ局のアナウンサーに採用されている一事を見てもメディアに政治屋を根っこから批判できない裏のつながりがあることは間違いないのだ。

ひ弱な二世・世襲の政治屋集団は、日本をどこに連れて行こうとしているのだろう。現実は、極めて深刻で危うい所に我々は立たされているのだ。

本書の内容は、精読すれば、もっと高い評価もできる、と思う。

目次:
第1章 二世の投げ出しはなぜ続く/第2章 民主党の二世たち/第3章 からくりその1-政治資金管理団体の非課税相続/第4章 からくりその2-後援会組織の世襲/第5章 からくりその3-どんな無理もする「看板の世襲」/第6章 世襲大国日本/第7章 国民の意思が世襲を断ち切る

寝ます。

※11月23日(土):以下、加筆・修正の上、再掲載しました。
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