もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

200502 映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」(2017)感想5

2020年05月02日 23時25分00秒 | 映画・映像
5月2日(土):  

この映画の録画を観終わった感想は、「良かった。ありがとう。」だった。いい加減な作品になっていたらどうしようという心配があったのだ。原作を読んだ人間は、映画での編集内容を楽しめる。400ページを超える作品を2:10ほどの映画にまとめるには相当の編集の力が必要だ。原作の味わいを壊さないでよい作品を作るためには思い切った選択と集中、創作による改変も必要だろう。

この作品では、1章と4章を思い切ってカットし、作品の大枠と2章、3章、5章で作品を組み立て直している。また、交換される手紙の文章も大事な部分に絞られて、作品の流れにうまく織り込まれている。原作の読者として「妥当な選択だ」と納得し、賛成できる。その代わりに、浪矢雄治の最期の帰宅、32年後の未来からの数々の手紙を受け取るシーンに「丸光園」創立者の元恋人皆月暁子を若い姿で立ち会わせるという原作にはない趣向が盛り込まれた。この試みは成功していると思う。

最後まで観終わった時のもう一つの不思議な印象は「配役によってイメージを壊されなかった」「意外と一流の俳優が多く集められている」ということだった。しかし、俺が知らなかっただけで、この作品は国内だけではなく海外でもベストセラーになっている。韓国、中国でも映画化されている。その意味では、この映画は大ヒットを約束された(義務付けられた)作品でもあるのだ。その視点から見ると、キャストの俳優陣の充実ぶり、人選の妙にも十分に納得ができる。

この作品は<作られて良かった作品>に分類されると思う。映画だけの評価を言えば、佳品として4ぐらいが妥当かもしれないが、原作の読者にとって<心地よい映画>になっている。やはり感想5を付けたいと思うのだ。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 9 043 東野圭吾「ナミヤ雑貨... | トップ | 200503 その国の7年半 憲... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画・映像」カテゴリの最新記事