もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

204冊目 田中貴子「古典がもっと好きになる」(岩波ジュニア新書;2004) 評価3

2012年04月23日 01時54分28秒 | 一日一冊読書開始
4月22日(日): 本日1日の閲覧586PV、 訪問者146IPで最高記録更新です。もう、訳が分かりません分かりません。m(_ _)m。

188ページ  所要時間1:30

著者44歳(1960生まれ)。時間の無い時に、救世主のように読み易くて、読みとばせる有難い本だった。文法偏重で事なかれ主義の高校の「古文」の授業はつまらないが、「古典」の世界は、もっと広やかで自由で面白いよ!という内容。

著者は、自らを「古文おちこぼれ」と自称し、天然なのか作意なのか不明だが、非常にライトな乗りで高校生に語り掛けている。説明や引用例も簡易で解かり易い。眺め読みでも、それなりに面白く読めたが、これと言って書き出せることもあまりない。しかし、もったいぶらないで非常に読み易く書く姿勢にはとても好感を持てたので、評価は3である。大学では、人気のある先生なのだろう。

実学重視で、国文学科が消え去る現状に「やれやれ…」とため息を吐いている姿には、大いに共感してしまった。そもそも、自称「実学」という就職に役に立つ分野に流されていく大学の姿に、浅ましさを覚えるのは俺も同感である。ただ、著者に一つだけ注文を付けるとすれば、「国文学」「国史」という言葉を多用する姿勢に、日本の多民族・多文化共生への配慮が、少し欠けて、<国民国家>的発想に陥っている気がする、のは少し配慮してもらいたいと思うのだ。「日本文学」「日本史」というべきだろう。

◎目次:
序章 古文が嫌いになる前に
第1章 「古典」が生まれた背景
第2章 古文に慣れよう
第3章 『徒然草』を遊ぼう
第4章 百人一首うらばなし
第5章 『堤中納言物語』より「花桜折る中将」を読む
第6章 女もすなる『土佐日記』
第7章 「しんとく丸」の死と再生 :説教節の話は面白かった。
第8章 能・狂言に描かれた女性たち

あとがきにかえて――私が古文を好きになるまで

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