もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

3 109 宮崎市定「水滸伝 虚構の中の歴史」(中公新書;1972) 感想3

2014年06月08日 21時51分20秒 | 一日一冊読書開始
6月8日(日):

222ページ  所要時間 2:20      蔵書

著者71歳(1901~1995;93歳)。京大の先生。東洋史学の大家。

本棚の肥やしを発見し、ふと2時間という制限を立てて<縁結び読書>をすることにした。元が雑誌の連載だったためか、文章自体は読み易かったが、やはり1ページ30秒のペースで歯の立つ内容ではなかった。十分な時間をかければ、感想4か5なのは間違いないが、俺の能力不足で3とする。

著者自身、子どもの時に読んだ国民文庫の高井蘭山訳「水滸伝」3冊にハマって以来、結局「宋代」の研究から抜けられなくなったとか。内容は、物語の内容と、現実の歴史を対比し、事実に沿った部分との虚実について論じている。

正直断片的にわずかしか頭に残っていない。
・中国を理解するためには、四書五経を読むよりも水滸伝を読め、といわれる。
・元曲から水滸伝は生まれ、さらに水滸伝から明曲に影響があったという複雑さ。70回本までが傑作で、あとの100回本、120回本の追加部分は明らかに駄作。
・108人の豪傑は、36人が元で、72人が加わった。
・徽宗は、兄の死で即位する際に反対が出た札付きの遊び人。
・梁山泊軍には、羅真人の弟子で公孫勝という魔法使いがいた。彼が参加した戦いでは不思議と戦死者が出ないが、参加しなかった方臘との戦いではばたばたと戦死者が続き半分以上が死ぬ。
・中国ではやたらめったら人肉を食べる。酔っ払いの人肉は豚肉の粕漬けの味。
・頭目の宋江は文武に無能で空虚な存在、言わば漢の劉邦(高祖)に似ている。宋江の矛盾は、草寇宋江と将軍宋江の別人二人いたと考えるべき。
・黄河に比べ長江に洪水の問題が少ないのは、洞庭湖と鄱陽湖という調整プールの存在が大きい。

目次:まえがき/第一章 徽宗と李師師/第二章 二人の宋江/第三章 妖賊方臘/第四章 宦官童貫/第五章 姦臣蔡京/第六章 魯知深と林冲/第七章 戴宗と李逵/第八章 張天子と羅真人/第九章 宋江に続く人々/あとがき
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