もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

0009 日本経済新聞社編「ルポ 日本の縮図に住んでみる」(日本経済新聞出版社;2009)評価3+

2012年10月19日 00時13分00秒 | 一日一冊読書開始
10月18日(木):

245ページ  所要時間2:00

 正直に言えば、読んだと言えるのかは、怪しい。限られた時間の中で、細かな内容の理解を割り切って捨て去りながら、ひたすらページに目を這わせ続けた。それでも集中していたせいか、内容の雰囲気や問題意識の所在はそれなりに感じることができた。図書館で借りていた本でもあり、このままだと読まずに返却することになったかもしれないのを、不十分でも関係を結べたことは良いことだった、と思う。

 読書にしても、運動にしても、良い習慣を創造・維持するためには、できるだけ基準は甘い方がよい。厳格な基準で玉砕・挫折するぐらいなら、緩い基準で継続・維持をはかる方が絶対に良い。回数をこなせば、必ず充実した読書も交じってくる。習慣を失えば、良き読書のチャンスも逃してしまうのだ。

 副題「大丈夫!どこからでもがんばれる」 日本経済新聞夕刊「こころのページ」で連載された08年4月から09年9月までの企画記事を一冊にまとめた本。空間的または意味的に日本の辺境と呼ぶべき場所で50~60歳のシニア記者が一カ月間住みついて腰を下ろして地に足のついた見聞記をルポするというもの。評価3+は俺の中途半端な読書によるもので、本来はもっと高い評価になるだろう。

目次:
まえがき
第1章 最西端の孤島 与那国に住んでみる
「国」との摩擦――行政処分でタクシー消える/ドクター孤島――ひとりで預かる1600人の命/援農隊の果実――出直しに燃える3人娘/密貿易時代の証人――戦後、台湾と一瞬の繁栄/島のリズム――マイペースな仕立屋さん/最果ての希少生物――島の外から来た支援者/謎の海底遺跡――巨石の文明都市があった?/おばあの人生哲学――夫の死後、島の語り部に/4人の卒業生――先生になって戻りたい/東から来た海人――カジキを求めて家族で船出/風の防人――台風との闘いは24時間
 【住んでみた後記】島の暮らし――1カ月考えた人生。この先は「今を楽しむ」へ/炊事や洗濯に充実感/島民 生活厳しく──物価高、生協に頼る/助け合いと対立と──町長選のしこり随所に
第2章 変わりゆく労働者の街 横浜・寿町に住んでみる
空き室目立つ簡易宿泊所――外国人や若者客の笑顔/求人なく干上がる日雇い――宿泊券や食券が頼り/炊き出しのある温かい街――雑炊を待つ行列は交流の場/自殺・孤独死多く――支援活動に生きた人も/ホームレスの手でNPO――街を変えた謎の男、どこへ/牧師夫婦のゴスペル――生死・善悪の間で揺れる心導く/アルコール依存症克服――雇用の場作る原動力に/空き部屋でホステル経営――観光・出張客も抵抗感なく/病を抱える暮らし――医師ら、見守る体制作り/街中での授業に学生は真剣――老いと貧しさに向かい合う/若者との「夢の一本道」――外の社会に連れ出したい/振り返れば花開く街――「癒やし」のうねりが生まれる
 【住んでみた後記】新しい風景──外との交流活発に、高齢化の日本にヒント/謎の男現る「寿を去り一時カナダへ」「土台は作った、後は頼む」/Yさんに会って
第3章 奈良・吉野町 若者自立寮に住んでみる
共同生活の家を訪ねて――農作業から社会復帰の道/新たな学校生活に自信得る――「友と行く」大切さを学ぶ/当番は、じゃんけんぽん――「農家の大家族」に抱かれ/いじめで傷ついた心――「やればできる」感触が力に/寮生活をさらけ出す――園児と触れ合うコメ作り/進学校で心と体の悪循環に陥る――生きる実感を取り戻す日々/太鼓の練習で達成感――地元の祭り盛り上げる/「脱走」を経て成長する――シイタケ園の仕事に充実感/山里でビーチボールバレー――週2回、動き回って元気に/運営の裏に家族の苦労――仕事に没頭する親に子は葛藤/一歩引いた妻の視点――逃げ場を作り均衡保つ/自信を持たせるスタッフ――「小さな成功」に気を配る
 【住んでみた後記】共同生活で生きる楽しさを知る――打たれ強さを身に付け立ち直る/短所認め互いに成長/吉野の山里――傷負った寮生をゆったり包む/ある寮生OBと母の軌跡――距離を置く「大人の関係」に
第4章 田舎暮らしを体験 北海道浦河町に住んでみる
丘と海のまきば――馬を眺めて癒やされる/馬に魅せられて――一緒に暮らす幸せを満喫/夏イチゴに賭ける――移住就農、自ら道を開く/アイヌの語り部――仲良く暮らせる日を夢見て/映画の灯を消さず――名画座を守る館主と支援者/馬を生活の糧に――カメラ・若駒鍛錬で力わく/障害者が集う家――悩む仲間と自立目指す/豊かな漁場――高齢化・後継者難に悩む/ホースセラピー――心身癒やす馬上の笑み/温故知新――庶民史編み、未来の糧に
 【住んでみた後記】平和疎開――異文化と触れ合って/アイヌ民族から学ぶ/純朴さ失わないで――夏場を別荘で過ごす佐藤愛子さんに聞く/観光客誘致に苦戦――全国への情報発信が課題
第5章 日本ブラジル共存の街 豊田・保見団地に住んでみる
「一日派遣村」に姿見せぬ住民――この不況に深まるナゾ/失業給付で持久戦――親せき・友人が安全網に/不況で帰国する子どもたち――学費負担重く、家族が離散/難しい再就職――日本語力が決め手に/共生へボランティア団体――日本人との融和を目指す/不就学児を支援――就労を目指して進路指導/外国人比率6割の小学校――多文化共生へ先生奮闘/子どもの健康が心配――食事・医療に親の手回らず/団地の希望の星――言葉の壁越え、大学合格/独立心旺盛な実業家――「派遣」脱して生活ビジネスの担い手に/NPOは女性が主役――我が子同然に親身の指導/遠い共生への道――「違い」認めて解決を模索
 【住んでみた後記】「未来の日本」を見た旅――移民受け入れの実験場/生活習慣で摩擦──子どもの教育が課題/3カ月ぶりの再会――失業給付切れ帰国する人も/日系ブラジル人は働き者だが――刹那的で孤独を抱え生きる
第6章 岡山・邑久(おく)光明園 ハンセン病療養所に住んでみる
ゲバラは素手で握手――治癒しても残る後遺症/100周年の静かな生活――小学生が来園、談笑の輪/バングラの赤ひげ――アジアの啓発に奮闘する園長/宝物を見つけた人生――助け合い、乗り越える美しさ/看護師の鑑――災害救助で殉職、滅私の心/外国人宗教家の献身――教会設立、人間の尊厳守る/実の母との再会――突然の電話で真実を知る/労働奉仕で共に汗――「希望のネット」生まれる/2人の文学者の対照的な航跡――無念の夭折と病を超えた安寧/住職の英断は布袋さまの御利益?――地元の人が園でそば打ち/県立高校、希望の学び舎――全国から受験、大学進学も/多難な社会復帰――頑張る人も園に戻る人も
 【住んでみた後記】ぎゅっと握手、心から/老いてゆく入所者――家族の絆もう一度/地域に溶け込む施設作り/世界をつなぐ――国際支援、若者たちの汗
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