もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

4 053 池上彰・増田ユリヤ「世界史で読み解く現代ニュース」(ポプラ新書:2014) 感想3

2015年03月05日 23時13分28秒 | 一日一冊読書開始
3月5日(木):

236ページ  所要時間 3:45    図書館

池上彰64歳(1950生まれ)。
増田ユリヤ50歳(1964生まれ)。

裏表紙の紹介文:世界史は、思わぬ因果が錯綜する。それが面白い。/中東紛争の焦点となっている組織「イスラム国」とオスマン帝国、中国が主張するシーレーン戦略と永楽帝が推進した大航海。ニュースを理解するには世界史の知識が必須です。長く高校で歴史を教えてきた増田ユリヤが、世界史をわかりやすく解説し、池上彰がその世界史が、現代とどうつながっているかを解き明かします。ニュースへの理解がぐっと深まる一冊。

【目次】 第1章 「大航海時代の栄光を再び」-中国の野望: 中国の海洋戦略は鄭和を知ると見えてくる/池上 中国の海洋進出は鄭和がお手本?/増田 100年も早かった中国の世界進出
第2章 「オスマン帝国」が中東問題のキーワード: 民族紛争の背景にはオスマン帝国があった/増田 オスマン帝国って何だろう/池上 現代の中東に影響を与えたオスマン帝国
第3章 世界の隠れ家フランスーフランス革命の衝撃: 世界を変えたフランス革命/増田 フランス革命のきっかけは何だったのか/池上 フランス革命の世界への影響とは
第4章 地球温暖化は産業革命から始まった: 産業革命は、現代に何をもたらしたのか/増田 世界の工場となったイギリス/池上 待ったなしの温暖化対策

 まあ、悪い本ではないが、歴史好きの人間にはもの足りない内容である。まえがきの「高校時代、私は世界史が苦手でした。略。自分で言うのもなんですが、もし高校時代にこういう本があったなら、私は世界史が好きになっていたかもしれない。そう思います。」という池上彰さんの言葉は、どう見ても真赤な嘘だろう。事実ではない!本書より、高校の世界史の授業の方が絶対に深くて広くて面白いはずだ。本を売るための共著者に対する配慮だろうが、嘘はダメですよ。池上さん。

 特に、増田ユリヤさんの書いた部分は、高校の世界史の授業そのもので新鮮さに欠ける。池上さんが、問題を広げたところはそれなりの新鮮な切り口になっていたと思う。現代の世界のニュースを理解するのに「世界史」の知識が絶対に必要なのは確かだが、それと高校の「世界史」を面白くないと貶めるのは別の話だ。

 高校の世界史教科書は、確かに膨大な量があって消化に窮するかもしれないので、一見本書の方がわかり易くて面白そうに見えるかもしれないけど、高校には教えてくれる世界史の先生がいるのですよ。どう考えても、高校の世界史が、これしきのレベルの本に負けることはありえません! 一方で、池上さんの「そうだったのか○○○」シリーズは、確かに高校のレベルを超えて面白いと思います。
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