2月13日(水):
292ページ 所要時間6:20 古本市場330円
著者 ?歳:
国際ジャーナリスト。東京生まれ。NY州立大学国際関係論学科卒。NY市立大学大学院国際関係論学科修士号。国連、米国野村證券などを経て、米国の政治、経済、医療、教育、農政、公共政策、エネルギーなどをテーマに、現場取材と公文書による調査報道で活躍中。講演・各種メディアに出演。多数の著書は海外でも翻訳されている。『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』で黒田清・日本ジャーナリスト会議新人賞、『ルポ 貧困大国アメリカ』(三部作、岩波新書)で中央公論新書大賞、日本エッセイストクラブ賞受賞、他著書多数。夫は参議院議員の川田龍平氏
典型的な失敗読書だった。最後まで行くのに1ヵ月以上かかった。
いつもながら著者の広範で深い取材・分析能力の高さには感心させられる。本書は今の日本と世界を知る上で
<重要テキスト>である。
我々が如何に大切なことを全く知らされていないピエロ🤡であるかをわからせてくれる。昨年来、れいわ新選組山本太郎代表の全国遊説をユーチューブで観ていて、参加者からしばしば出てくる質問の数々に関する情報がたくさん書き込まれていた。同時に山本代表からの問題提議にも本書の内容が色濃く(そのまま)反映されているのを感じた。ある意味、れいわ新選組のタネ本だと思う。
国会を観ていても、新聞・テレビを見ていても隠されて知らされない本当に深刻な問題の存在に気づかせてくれる。読めば読むほどどうしていいかわからない断崖絶壁に立たされている気分になった。人間を金儲けの道具としか見ない新自由主義者らの「今だけ金だけ自分だけ」のために「公共を民間に売り払って暴利をむさぼる」様子に鳥肌が立つ。同じ人間として、どうしてこんな奴らの存在が認められるのかが理解できない。
山本太郎代表の「竹中平蔵、ろくでもない!」というシュプレヒコールの意味がよく分かった。また、新聞・ニュース等で「IMFによる勧告(例えば、消費税15%まで引き上げ)」という言葉に接すると、IMFが言ってるのだから考慮すべきところがあるのではないか?と少しひるむところがあったが、実は「IMFもろくでもない!」ということがわかった。
日本の直面する知られざる大問題の数々が、アベ政権の目くらまし、マスメディアの<故意の沈黙>によって深刻な問題として受け止めることができなかった。そういった諸問題を暴露し、日本の本当の姿を思い知らせてくれる内容の本である。読んでいて「この国で生きて行くのが空恐ろしくてつらい」と思わせられた。しかし、座り込むわけにもいかないのだ。冒頭の「水が売られる」問題で、宮城県知事のひどさも改めて知れた。
本書を最後まで読み終わって途方に暮れてしまった。指針とすべきは、著者が最後に触れた故宇沢弘文の「人間を大切にしない経済学に価値などない」という言葉に尽きる、と思う。
【目次】まえがき いつの間にかどんどん売られる日本
第1章 日本人の資産が売られる :1 水が売られる(水道民営化)/2 土が売られる(汚染土の再利用)/3 タネが売られる(種子法廃止)/4 ミツバチの命が売られる(農薬規制緩和)/5 食の選択肢が売られる(遺伝子組み換え食品表示消滅)/6 牛乳が売られる(生乳流通自由化)/7 農地が売られる(農地法改正)/8 森が売られる(森林経営管理法)/9 海が売られる(漁協法改正)/10 築地が売られる(卸売市場解体)
第2章 日本人の未来が売られる :1労働者が売られる(高度プロフェッショナル制度)/2日本人の仕事が売られる(改正国家戦略特区法)/3ブラック企業対策が売られる(労働監督部門民営化)/4ギャンブルが売られる(IR法)/5学校が売られる(公設民営学校解禁)/6医療が売られる(医療タダ乗り)/7老後が売られる(介護の投資商品化)/8個人情報が売られる(マイナンバー包囲網拡大)
第3章 売られたものは取り返せ :1 お笑い芸人の草の根政治革命 〜イタリア/2 92歳の首相が消費税廃止〜マレーシア/3 有機農業大国となり、ハゲタカたちから国を守る 〜ロシア/4 巨大水企業のふるさとで水道公営化を叫ぶ〜フランス/5 考える消費者と協同組合の最強タッグ 〜スイス/6 もう止められない! 子供を農薬から守る母親たち 〜アメリカ
あとがき 売らせない日本
【内容情報】
日本で今、起きている とんでもないこと。日本は出血大セール中! 知らずにいると、取り返しがつかないことになる! 水と安全はタダ同然、医療と介護は世界トップ。そんな日本に今、とんでもない魔の手が伸びているのを知っているだろうか?法律が次々と変えられ、米国や中国、EUなどのハゲタカどもが、我々の資産を買い漁っている。水や米、海や森や農地、国民皆保険に公教育に食の安全に個人情報など、日本が誇る貴重な資産に値札がつけられ、叩き売りされているのだ。マスコミが報道しない衝撃の舞台裏と反撃の戦略を、気鋭の国際ジャーナリストが、緻密な現場取材と膨大な資料をもとに暴き出す!