3月12日(火):
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423ページ 所要時間5:45 ブックオフ41円
著者51歳(1965生まれ)。5児の母。 兵庫県議会議員(2期)。衆議院議員(1期:民主党)。 NPO法人「親子法改正研究会」代表理事、 「民法772条による無戸籍児家族の会」代表として 無戸籍問題、特別養子縁組など、 法の狭間で苦しむ人々の支援を行っている。
テレビのニュースで見た記憶はあるが、正直「無戸籍の日本人」問題がこんなに非道で深刻な問題であるとは全く知らなかった。そもそも「法律に抜け落ちた存在だから」といって、現実に存在する<罪の無い子どもたち>に戸籍を与えないという全く説明のつかない途方もない人権侵害が、現代の日本社会でまかり通っているという事実に衝撃を受けた。また、出生証明書、出生届という紙切れ一枚で「人間がいない」ことにされるばかばかしい現実が存在することも知った。本書の内容はあまり愉快なものではないが、社会に絶対必要な本なので、感想5.
本書の内容は、是枝裕和監督の映画「誰も知らない(Nobody Knows)」にもつながっている。そのため、本文庫の終わりには、著者と是枝裕和監督の対談が載っている。
本人の責任によらないのに「戸籍を持たない」という理由で、小・中学校にすら行けず、身を隠すようにして社会の最底辺で生きる日本人が推定1万人もいる。また、彼らが必至の勇気を出して名乗り出ても、全く受付を拒否する区役所、市役所の窓口、「あなた方の存在は、親の離婚の報いでしょう」と言い放ち、「どうしてもというのであれば、裁判所に行って裁判を起こして下さい」と平然として突っぱねる理不尽さに絶句してしまう。
眼前の<まさに生きて存在する人間>に対して役所がその存在を、その存在の根幹にある戸籍の発行を拒否できる現実がある。我々の日本はまさにそんな国だったのだ。そんな人間存在を否定する制度であれば「戸籍制度」の方をこそ無くしてしまえ!と思う。
制度上「存在しない」無戸籍の人々の人生の実例は、あまりにも凄絶で悲惨に満ちている。人間はこんな風に粗末に扱われては断じていけない! 一体、この日本という国はどうなっているのか。表面の薄皮一枚むけば、理不尽で恐ろしい奈落の落とし穴がすべての人々の足元に広がっているのだ。戦前の「家」制度の残滓がはなつ矛盾(マイナス面)は、今も戸籍制度にしっかり受け継がれたままなのだ。そして、それに苦しむ大勢の罪無き被害者が、ありもしない<親の因果>や<自己責任論>で片づけられようとしているのだ。この事実を知って、正直凹んでまいってしまった・・・。
民法のたった一つの条文で人生のすべてをはく奪されてしまっている犠牲者が1万人もいるのだ。今は、江戸時代か、明治か?。心底下らなく、罪深い条文であり、即刻廃止か、改正すべきである。今この瞬間にも犠牲者は現在進行形で増え続けているのだ。
民法第772条(嫡出の推定)
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
【目次】第1章 戸籍上「存在しない」人たち /第2章 「無戸籍者」が生まれる背景 /第3章 「無戸籍」に翻弄される家族 /第4章 動き出した無戸籍者たち /第5章 政治の場で起きたこと /第6章 「その後」を生きる無戸籍者たち /終章 「さらには……」のその先へ
※他にも即刻、同様に廃止・改正すべき女性差別に根差した罪深い条文が存在する!
民法第733条(再婚禁止期間)
1.女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
2.女が前婚の解消又は取消しの前から懐胎していた場合には、その出産の日から、前項の規定を適用しない。
一方で、子どもを産んだ女性が”逃げている”ことになっている男性の側にも言い分はある。「子どもを産んだ女性が被害者で、子どもの実の父ではない夫が加害者の人でなしだ」ということには必ずしもならない。誰かが一方的に悪者ということにもならない場合があるのは、
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「略。実は……僕、……嫡出避妊した経験があるんだ。/前の結婚で、妻が浮気をして、子どもができたから別れてくれって。とんでもないことだけど、このまま別れないと、浮気相手の子どもが、僕の戸籍に入ると脅されて」/衝撃的だった。/「『嫡出避妊』っていうのをしないといけないと言われて、裁判所に行ったよ。自分の子ではありません、って、わざわざ言いに行くんだぜ。どれだけの屈辱か。今思い出してもひどい話だよ。裁判官には根掘り葉掘り聞かれた。浮気した妻とのセックスや……」/友人はつづけた。/「避妊の話も。実は子どもが欲しかったけど、彼女はまだ早い、とずっと避妊をしていたんだよ。それが別の男の子どもを妊娠したって、どういうことなんだ? と。真顔で聞かれるんだよ。男は傷つかないと思っているんだよね。/それから、僕は自分が男としてダメなんじゃないかって、ずっと悩んじゃって……。ようやくこうして話せるようになったけど、本当に傷ついた。慰謝料なんかもらったら、それこそ慰め料みたいでプライドが傷つく。だからもうさっさと別れたけど、そこからが本当にきつい日々。落ち込んで何もかもうまく回らない。今日、こうして話せるようになって、ようやく乗り越えられたんだな、と思った。4年かかったよ」(221ページ)
完全な被害者は生まれてくる子だけである。子を産んだ女性は必ずしも被害者とは限らないし、浮気をされた男性が不貞行為の被害者の場合もありうるのだ。この部分を読んで、俺は本書が必ずしも女性の側に一方的に立っている訳ではないことを確認できるし、何よりも「生まれてきた子どもの人権を守ることが大事なんだ」と思った。上記の男性の哀しみは重松清の作品をはじめ、一つの作品のテーマとなりうる。例えば、
その浮気をして子供を産んだ女性が、すでに夫との間に子供を産んでいたとしたら、夫だけでなく、兄や姉になる子どもたちはどんな思いを持つだろうか。今は、「家」を残すための一夫多妻制の認められた封建制の時代ではないのだ。別の男性の子どもを産んだ女性をまったくの被害者、全くの無罪という訳にはいかないだろう。そう、俺(もみ)は考えるのだ。
【内容紹介】
【現代の日本に、戸籍を持たない人が1万人以上いることを知っていますか?】
何らかの理由で出生届が出されず、存在が行政に登録されないまま、もしくは 把握されないまま「無戸籍」で生きている人たち。それが「無戸籍者」です。
なぜ、無戸籍になってしまうのか? なぜ、無戸籍者は生まれ続けるのか? なぜ、この状況が解消されないのか?
自らの子供も法の規定により無戸籍となった経験を持ち、 それ以来13年にわたって無戸籍者とその家族たちを 支援しつづけてきた著者だからこそ書くことができた無戸籍者たちが生きてきた厳しい状況と無戸籍者が生まれ続けてしまう原因と問題の背景を 深く掘り下げたノンフィクション作品、それが本書です。
著者もスタッフとして加わり、無戸籍者たちのリアルな姿が 広く世に知られるきっかけとして大きな反響を呼んだNHK『クローズアップ現代』《戸籍のない子どもたち》は、 2015年「貧困ジャーナリズム大賞」を受賞しました。本書では、番組では紹介できなかった無戸籍者たちの思いや 番組放送後に無戸籍者それぞれにおきた状況変化についても くわしく書いています。
無戸籍問題が起きる要因とも関連があり 100年以上改正されないままになっている 民法の離婚後再婚期間については、
先日、最高裁判所が違憲判決を出しましたが、 無戸籍問題の根本的な解決には、 まだまだ超えなくてはいけない多くのハードルがあります。
「貧困」「虐待」「いじめ」「所在不明児」「少年犯罪」…子どもをめぐるさまざまな問題にもかかわる無戸籍問題。解決への道は、何よりもまず、現実を知ることからはじまるのです。