もみさんの一日一冊遊書録( 2011年9月1日 スタート!: メメント・モリ ) ~たゆたえど沈まず~

年とともに人生はクロノロジー(年代記)からパースペクティブ(遠近法)になり、最後は一枚のピクチュア(絵)になる

150215 衆参両院の「テロ非難決議」を非難する!「テロの本質」を真面目に語る政治家はいないのか!

 真面目に「テロの本質」を考えれば、その原因が、決して宗教の違いにあるのではなく、世界的に広がる富の偏在、極端な格差拡大、差別構造の継承、及びパレスチナ問題、それらによる<若者たちの絶望>にあることは、実は誰もがわかっていることだろう! それを「世界には凶悪なテロリストが大勢いて、こいつらを叩き潰せばテロが無くなる」なんて話に無理やりすり替えている。誰も、「テロの本質が、日本・世界の社会構造が抱える富の偏在・格差の拡大及びパレスチナ問題の<野放し状態>にこそある」という本質を語らないし、見させようとしない。そして、凶悪なテロリストへの恐怖ばかりを煽りたてている。これはまさにオーウェルの「一九八四年」の世界と同じだ。今回の国会の「テロ非難決議」に社民党・共産党まで加わっていたのには、あきれ果てた。「誰も本質を見ようとしない。」「武力で世界中の<絶望した若者たち>を封じ込めるべきではないし、不可能だ!」

秋原葉月さん「Afternoon Cafe」ブログから

※(1)「もちろん、普通の人間は戦争を望まない。しかし、国民を戦争に参加させるのは、つねに簡単なことだ。とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ」byヘルマン・ゲーリング ※(2)いつの時代も大衆をファシズムに煽動する手口は同じ。なのに同じ手口に何度も騙されるのは過去に学んでいないから。格差を広げ、セイフティネットを破壊し、冷徹な自己責任論が横行する社会を継続させるのは簡単だ。今よりもっと格差を広げ、セイフティネットを破壊する政策をとればよい。そうすれば人々に自己責任論がもっと浸透し、草の根から勝手に右傾化してくれる。

辺見庸さんのブログから

・権力をあまりに人格的にとらえるのはどうかとおもう。口にするのもおぞましいドブの目をしたあの男を、ヒステリックに名指しでののしれば、反権力的そぶりになるとかんがえるのは、ドブの目をしたあの男とあまり変わらない、低い知性のあらわれである。権力の空間は、じつのところ、非人格的なのだ。だからてごわい。中心はドブの目をしたあの男=安倍晋三であるかにみえて、そうではない。ドブの目をしたあの男はひとつの(倒錯的な)社会心理学的な表象ではありえても、それを斃せば事態が革命的に変化するようなシロモノではない。権力には固定的な中心はなく、かくじつに「われわれ」をふくむ周縁があるだけだ。ドブの目をしたあの男は、陋劣な知性とふるまいで「われわれ」をいらだたせ、怒らせるとともに、「われわれ」をして社会心理学的に(かれを)蔑視せしめ、またそのことにより、「われわれ」が「われわれ」であることに無意識に満足もさせているのかもしれない。ところで、「われわれ」の内面には、濃淡の差こそあれ、ドブの目をしたあの男の貧寒とした影が棲んでいるのだ。戦争は、むろん、そう遠くない。そう切実にかんじられるかどうか。いざ戦争がはじまったら、反戦運動が愛国運動化する公算が大である。そう切実に予感できるかどうか。研ぎすまされた感性がいる。せむしの侏儒との「ふるいつきあい」がベンヤミンのなにかを決定した。そう直観できたアレントほどするどくはなくても、研ぎすまされた感性がいる。けふコビトがきた。ミスドにいった。(2015/11/11)

220810 自由民主統一教会マップ

2022年08月10日 12時32分06秒 | 時代の記憶
8月10日(水): ネットで見つけました。わかりやすいので掲載しておきます。



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220731 記者座談会 安倍晋三は神様なのか? やるなら統一教会葬でどうぞ 英雄扱いする報道の異様さ(長周新聞)

2022年07月31日 16時00分00秒 | 時代の記憶
7月31日(日):  統一教会の関連団体・UPF(宇宙平和連合)の大会に送られた安倍晋三元首相のメッセージ    統一教会の機関紙の表紙を何度も飾っていた
長周新聞記者座談会 安倍晋三は神様なのか? やるなら統一教会葬でどうぞ 英雄扱いする報道の異様さ
2022年7月21日
 
 カルト宗教である統一教会への恨みから、その親派として元首相が射殺されるという衝撃的事件から1週間以上が経過した。その後、メディアは気味悪いほど元首相である安倍晋三の神格化に勤しみ、お涙頂戴キャンペーン一色に染まっている。問題の宗教団体と自民党の癒着やその構造、戦後からこの方に至る歴史的な経緯、政教分離の実態について迫るものは乏しく、むしろ亡くなった途端に生前の数々の疑惑は帳消しとなり、まるで国家の英雄であったかのような持ち上げっぷりである。そして、岸田政権はあろうことか吉田茂以来、55年ぶりの国葬(開催費用はすべて国家負担)を実施するなどといい始め、その是非を巡って波紋が広がっている。各種媒体や関わってきた弁護士等々の努力によって、徐々に明るみになってきた自民党と統一教会の関係やその実態について見ながら、記者たちで議論を深めてみた。

 A その後のメディアの扱いがあまりにも酷すぎると各所で話題になっている。異様さを感じとっている人は少なくない。こぞって「悲しみに暮れる日本国民」みたいなものばかりを強調し、泣きながら献花を捧げる人にインタビューしたりして、まるで「安倍晋三天皇」の如く偶像崇拝しているのに特徴がある。突然射殺されて、それ自体ショッキングな事件であることは疑いないが、「日本国の父・安倍晋三様の逝去」みたいな世界観が滲み出ていて、極めて宗教的であるし気色悪さすら感じる。

 淡々と事実報道に徹すればいいのに、同調圧力をともなったプロパガンダを仕掛けている。ウクライナを巡ってもそうだが、異論は許さぬといわんばかりに染め上げていく。ファッショ的だ。小学生が「安倍元首相は天に昇られるのだと思います」とインタビューに答えているのを見て、「天に昇る」ってまさに統一教会の教えじゃないのか? ひょっとして信者に動員かかってるんじゃないの? と鳥肌が立ったほどだ。いったい延々と何を見せられているんだろうか…と思う。「鬱陶しいからテレビを消す」という人も多い。

 B 何年か前に選挙の街頭演説で「安倍帰れ!」コールをくらって、「あんな人たちに負けるわけにはいかない!」と叫んだ後の街頭演説を東京で取材していた際、アンチに対抗して脇を固めるように応援部隊として動員されていたのは明らかに宗教団体だった。今思うに統一教会だったのではないかという気がしてならないが、一般人ではない人々、勢揃いするように目つきの厳しい集団が一群を占めていて、異様な光景だったことを思い出す。安保法制を巡って国会前に群衆が押し寄せていた際も、それに対して統一教会の学生組織が安倍晋三支持でデモを仕掛けるなど、きわめて戦闘的な印象がある。統一教会が安倍親衛隊として動いていたのだろう。

 いずれにしても、その後のキャンペーンはあまりにも安倍晋三を持ち上げ過ぎで、生前の実態についてかき消すように神様扱いしていて驚かされる。日本会議とか統一教会、あるいは安倍晋三教団の信者でもない者としては、事件そのものへの衝撃こそあれ涙を流すほどの感情もないし、そこに同調せよと迫られても正直引く。偶像崇拝したい人々がいるなら勝手に崇拝すれば良いしそれは自由だと思うが、周囲に迫ってくる圧がそれこそ統一教会ではあるまいか? と思うほど強引なのだ。「立派な政治指導者だった」「国のために尽くした偉人だった」と思わない人々は、サタンにとり憑かれているとでもいい出しかねない空気が煽られている。個人崇拝も大概にしなければならない。

 C とはいえ、世間はメディアが思うほどプロパガンダに染まっていないし、冷静に眺めている人がほとんどだと思う。国葬についても「やるならホテル・ニューオオタニで会費は5000円。サントリーが酒を無料提供し、統一教会葬として実施したらよいのではないか」と桜を見る会の前夜祭に重ねて提案する声だってある。それに共感する人々も意外に多い。本当にその通りだなと思う。死に様が衝撃的だったとはいえ、それだけをもってどうして国家あげて葬儀する必要があるのかと――。

 国葬に法的根拠もないが、どうして統一教会との密接な関係があったが故に狙われた一人の政治家に対して、統一教会の信者でもない者までが「一億総喪中」をしなければならないのかだ。ボスを失って安倍派とか清和会が悲しいというなら、彼らが政教分離など知ったことかと宣言して、統一教会や日本会議などといっしょに身内でやればよいだけで、国家あげて天まで持ち上げて葬儀をあげるなどどうかしている。吉田茂以来55年ぶりというが、だいたい吉田茂の国葬そのものがおかしいのだ。アメリカの対日支配に協力した為政者ほど崇め奉られるようなのが伝統なのかだ。

 D 国費を投じた国葬といっても、どうせ電通とかパソナが請け負うんだろうと思うとゲンナリする。なんのことだか。それで国をあげてのお涙頂戴キャンペーンが秋になってもまだくり広げられ、「一億総号泣」でもしろというのだろうか。いい加減にしてもらいたい。

 A 今回の事件は、自民党のなかでもとりわけ清和会と宗教団体との歴史的なつながりが仇になったもので、日本の政治の裏側を引きずり出すものになった。日本の独占大企業や資本家にとって、またその上段に君臨して戦後の対日支配を実行してきたアメリカにとって、岸信介(CIAのエージェント)から安倍晋三につながる政界の権力というのは、彼らが与えて育んできた権力にほかならない。いわゆる戦後の冷戦期から今日に至る右の軸なわけだ。そこにカネが集まるから最大派閥というものができあがり、日本の政界において隠然たる地位を築くことができたのだ。

 自民党の結党資金をCIAが提供していたことなども既に周知の事実ではあるが、親米右派であったり、親米左派をも培養し、いわば右手と左手を使いこなしながら対日支配を実行してきたのがアメリカだ。そのなかで、統一教会や勝共連合も右派運動の一翼として存在を認められ、右派政治家たちと密接な関係を切り結びながら今日に至るも活動をくり広げているに過ぎない。「神様のご加護」ではなく「為政者及び権力者のご加護」、力添えのおかげで統一教会みたいな宗教団体がのさばり、どれだけ信者が苦しもうが存在を許されてきたのだ。

 C 「統一教会はCIAがカネを突っ込んでつくった右派セクター」という指摘もあるが、教祖の文鮮明とつながってその設立に関わった岸信介自身がCIAのエージェントとして戦後の歩みを進めたわけで、まったく無関係とも思わないし、特にビックリ仰天するような話でもない。60年安保とか70年安保など、冷戦期の激動の時代にあって、対日支配の道具として過激な右側である国際勝共連合は育まれたし、その必要から笹川良一や岸信介が立ち上げたのだ。

 だいたい世界中で宗教組織、テロ組織を培養して政権転覆なり恐怖支配をくり広げてきたのがCIAで、謀略などなんでもあり。その基準は民主主義の実現とか善悪ではない。アメリカにとって都合が良いなら恥も外聞もなくテロ組織だろうが宗教団体だろうが培養するのだ。戦犯の岸信介だろうが手先として使う。その岸信介をルーツとした統一教会についても、政治的な存在として捉えないといけない。信者を塗炭の苦しみに追い込むほどカネを巻き上げるひどいカルト宗教であるが、そのようなものがどうして自民党政治と癒着し、存在を許されてきたのかだ。

 D 統一教会そのものは朝鮮動乱を経た50年代頭に韓国で産声を上げ、アメリカが作り上げた韓国の軍事独裁政権ともつながって、まさに右派セクターの一翼として出発している。日本と韓国の戦後出発は、ともにアメリカの軍事支配から始まった。韓国ではアメリカ仕込みの李承晩が送り込まれて軍事政権で国内を抑え込み、一方の日本では天皇のみならず岸信介をはじめとした日本軍国主義の為政者や統治機構が丸ごとアメリカに屈服して武装解除をやり、戦後の地位を保証されたもとで占領統治が実行された。つまり、日本の独占企業なり為政者はアメリカに屈服したもとで首の皮をつなぎ戦後出発したのだ。

 官僚機構もそのまま。大本営を主導した朝日新聞の緒方竹虎や読売新聞の正力松太郎などもCIAのエージェントとなってメディアの世界に居座り続けた。先程から論議になっているように、岸信介もCIAのエージェントだったことが明らかになっているし、笹川財団の笹川、右翼のドンといわれた児玉など、アメリカの占領支配に協力するものはみな抱えられ、戦後もポストを与えられた。いわば間接統治の駒として機能していく。アメリカが最上段に君臨したもとで、それら対日支配の協力者の国内での権力は与えられたのだ。

 A 一方で、統一教会と日本国内の右派がズブズブだった関係と関わって韓国でどうだったかというと、これもあまり日本国内では報道されないものの、日本の占領統治に協力していた朝鮮総督府の面々や日本陸軍士官学校関係者などが復職を許され、アメリカはおおいに統治に利用した。それこそ徴用工問題と関わって1965年の日韓請求権協定を結んだ朴正煕は日本陸軍士官学校卒の軍人で、昵懇(じっこん)の関係を結んでいた岸信介などは占領時代の上司みたいなものだ。

 それで8億㌦の経済支援で戦後賠償は終わったみたいなことをいうが、要するにODA方式で三菱重工業はじめとした大手企業が地下鉄工事その他の事業を請け負い、日本にバックさせる、自民党政治家にバックさせるという手法だった。総元締めにいたのが岸信介であり、脇を固めたのは満鉄調査部の幹部だった連中など植民地支配を実行していた面面だ。満鉄調査部の人員は戦後、電通がごっそりとひきとり、それがメディアを支配する電通の今につながるルーツでもある。その電通に首根っこを抑えられたメディアが「安倍晋三様のご逝去」報道をくり広げているのだから笑えない。

 D 岸信介といえば韓国利権で有名だが、いわゆる韓国の保守というのが、日本の旧植民地主義者たちにとってはかつての目下の部下であり、彼らは深くつながりを持ちながら共にアメリカの支配下で戦後出発を迎える。日米韓を又にかけて宗教活動をくり広げた統一教会も反共右派の一翼だったというだけだ。アメリカにも拠点がある。そうして、日本国内から巻き上げた信者からの多額の献金によって、韓国では財閥のような存在となり、系列の有名な飲料会社がサッカーチームを持っていたほどだ。

政治と宗教の解明必須 統一教会野放しの背景

 A 『週刊文春』が山上某の伯父へのインタビューを掲載していたが、まことに過酷な人生を歩んでいたことがうかがえて、ちょっと言葉がない。詳しくは『文春』を読めばいいが、宗教団体に家族を狂わされた二世の気持ちを想像すると、どうしてこのような宗教団体が野放しにされてきたのかと心底思う。弁護士たちものべていたが、このような社会悪がとり締まられることなく、むしろ政界にも侵食していたのだから異常事態だ。それこそ民主主義への挑戦だろう。

 なぜ安倍晋三を狙ったのか本人が理由にもあげていた統一教会の関連団体であるUPFの大会メッセージを見てみたのだが、「ご出席の皆様、日本国前内閣総理大臣の安倍晋三です。UPF主催のもと、より良い世界実現のための対話と諸問題の平和的解決のために、およそ150カ国の国家首脳、国会議員、宗教指導者が集う希望前進大会で、世界平和を共に牽引してきた盟友のトランプ大統領と共に演説機会を頂いたことを光栄に思います。特にこの度出帆したシンクタンク2022の果たす役割は、大きなものであると期待しております。今日に至るまでUPFと共に世界各地の紛争の解決、とりわけ朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた韓鶴子総裁(統一教会総裁)をはじめ、皆様に敬意を表します――」の挨拶に始まるメッセージは、広告塔としても十分過ぎるが、単純に広告塔だったというだけでは済まない。

 D この間の報道で明らかになったことを見てみると、統一教会のイベントに祝電を送ったり、講演したり、来賓挨拶したり、機関紙のインタビューに応じたり、公に関係を持っている政治家だけあげつらっても相当数にのぼる。安倍晋三に始まり、菅義偉、麻生太郎、下村博文、高市早苗、稲田朋美、細田博之、加藤勝信、萩生田光一、岸信夫、平井卓也、山谷えり子、猪口邦子、逢沢一郎、衛藤征士郎といった清和会を中心としたメンバーの他に、野党関係者のなかでも前原誠司、細野豪志なんかも関係がとり沙汰されている。竹中平蔵も日韓トンネル財団の関係の催しで挨拶している。まだまだこんなものではないのだろう。統一教会が姿を変えるのを得意技とし、企業に扮したり様々な業態に七変化することから分かりづらいものの、「政治と宗教」の関係がどうなっているのか実態解明は必要だ。

 B 残酷な献金や詐欺まがいのカネ集めはどう見ても反社会的なもので、オウム真理教と同じように犯罪捜査の手が及ばなければならないのに、2006年の第一次安倍政権のもとで公安が統一教会を重点監視対象から外し、第二次安倍政権下の2015年には、1994年から認めてこなかった統一教会の名称変更を文科省が承認した。あの宗教団体の衣替えを公認したのだ。当時の大臣は清和会所属の文教族・下村博文だ。そして安倍晋三の私物化疑惑と同じように同教団のおこないは厳しく報道されることもなく、むしろ闇の勢力として政界でも存在感を強め、暗躍していたのが実態なのだろう。政治家がこぞって統一教会とつながり、隠すことなくメッセージを寄せたりするのが常態化し、むしろ統一教会にすり寄った者ほど安倍政権のもとで大臣に出世したのだ。

 信者からの激しい献金の巻き上げで悲劇がいくつも起きていることは霊感商法対策弁護士連絡会の会見でも浮き彫りになったが、そのカネは政界にも流れていたことは容易に想像がつく。それが自民党だけでなく民主党にも及んでいる。国会議員の秘書として三桁に届くくらい統一教会から送り込まれているというが、これをズブズブといわずしてなんというのだろうか。

 A 国際勝共連合の運動方針を見てみると、第一次、第二次安倍政権で安倍晋三やそのとり巻きたちが力を入れてきた政策とぴったり符号するものばかりだ。非核三原則の改廃、日本版NSCの設置、集団的自衛権の行使容認、武器輸出三原則の改廃、防衛産業を成長戦略に盛り込む、宇宙の軍事利用促進、緊急事態基本法の制定、憲法改正、男女共同参画社会基本法の改廃、青少年健全育成基本法の制定、勝共思想の定着、共産主義の脅威から国を守る、ジェンダーフリーや過激な性教育の廃止、夫婦別姓の阻止などがテーマとして掲げられている。家族の絆云々をことのほか強調するのも特徴だ。まあ、山上一家みたく家族を切り裂いておいて何をかいわんやでもあるが、日本会議とか自民党右派の特徴ともかぶる。

 C 軍事的な要求としては、アメリカの対日政策ともぴったり符号するもので、まさに安倍政権の8年で実現してきたことばかりなのだ。日本版NSCを発足させ、特定秘密保護法を制定し、消費税は二度の増税を実施し、内閣人事局を発足させて官僚支配を強めたり、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案を成立させ、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法を成立させ、一方ではモリカケ桜、お気に入りのブレーンを検事総長につけようとしたり、河井案里事件があったり大暴走をくり広げてきた八年といえる。それ自体前代未聞の権力の私物化がとり締まられることなく黙認されたり、何もなかったように誤魔化されてきたのも、対中国の軍事的拠点としてアメリカの盾となる道を進み、そのための法整備を大暴走してでもやり遂げる駒だったからであり、独占資本にとっては大企業天国を保証してくれる政策の実行者だったからにほかならない。

 A 安保法制などが最たるものだが、それはすなわち自衛隊の米軍の二軍化であり、一連の法整備や安倍政権のもとで進んだ軍事戦略・配置は、アメリカの盾となって日本をウクライナのように最先端の戦場にしてしまいかねないものだ。それらは強面の右傾化勢力にガッチリと支えられ、自民党内でも他がチンとおとなしくなるような力でもっておし進められた。最終的に改憲で戦争できる国作りの総仕上げにかかっている。口先とは裏腹に「日本を守る」ではなくミサイルの標的に立候補して「アメリカを守る」をやっているわけだ。鉄砲玉になる道に誘っているのだから売国奴といわなければならない。そのような政治を実行してきた者を、なぜ神様の如く国葬で一億総号泣して送らなければならないのかだ。

 B 安倍晋三の射殺事件後、なぜかネトウヨが統一教会には寛容でおとなしいことが不思議がられている。実はこの何年来かの右傾化の主体的勢力だったのではないかという見方もされているが、過激で戦闘的な宗教団体が組織的にこの数年来の右傾化なるものの担い手となり、安倍晋三親衛隊として支えていたとしても何ら不思議ではない。それはもう、お爺さんの代から密接なのだ。統一教会と自民党及び政治の関係について、引き続き報道の手を緩めてはならないし、依存している政治家の存在に光を当て、一人残らず引きずり出すことは重要だ。依存しているとは要するにカネもかかわった話であろうし、それは統一教会信者たちへの残酷な搾取の賜であることからも許しがたいものなのだ。号泣するどころか、むしろ激怒しなければならない性質の問題だ。
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220730 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員との癒着 ※俺にも原理研の怖かった記憶はある。

2022年07月30日 21時41分42秒 | 時代の記憶
7月30日(土): 

7月28日(木)日刊ゲンダイ<反省どころか「知らなかった」と噓の上塗り>こりゃ地獄に落ちるぞ 自民党“の見苦しさ、浅ましさ
※文字起こし
  まさに“総汚染”である。旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)と自民党議員との癒着が次々に明らかになりはじめている。現職大臣だけでも3人が旧統一教会と関わっていたことが発覚している。
  二之湯国家公安委員長は、2018年に旧統一教会の関連団体が開催したイベントの実行委員長を務めたことを会見で明かした。
  末松文科相は、教団関係者にパー券を買ってもらっていた。さらに、岸防衛相も「選挙のお手伝いをいただいている」と会見で認めている。
  旧統一教会との関係が発覚した自民党議員の大半は、「統一教会とは知らなかった」などと釈明しているが、さすがに誰も信じないのではないか。
  過去50年間、自民党と旧統一教会が二人三脚でやってきたことは公然の秘密だ。カルト宗教に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏によると、現職だけでも98人の自民党議員が、旧統一教会系団体のイベントに参加したり、関係団体から献金を受けているという。いまさら、「知らなかった」は通じないだろう。仮に、どんな団体か知らずにイベントに参加したり、献金を受け取っていたとしたら、それはそれで政治家として問題があるのではないか。
  旧統一教会と自民党は、どんな関係なのか。自民党議員の“選挙の裏部隊”となってきたのが旧統一教会だ。
  その一端が明らかになったのが、7.10参院選の比例区で当選した井上義行議員のケースだ。前回2019年にも立候補した井上は約8万8000票で落選したが、今回は16万5000票を獲得して当選している。全国に7万票あるとされる旧統一教会票が丸ごと上乗せされた形だ。選挙期間中、井上は旧統一教会の集会に出席し、教会幹部から「井上先生は信徒となりました」と紹介されている。
  政治部記者として長年、永田町を取材してきた政治評論家の本澤二郎氏がこう言う。
「統一教会の信者はさほど多くないので“票田”としては期待できません。でも、自民党議員にとってありがたいのは、ビラ配りやポスター張りなど人手と手間がかかる作業を一手に引き受けてくれることです。とにかくよく働く。しかも、カネもかからない。選挙を手伝った信者は、そのまま私設秘書となるケースも多い。これまで相当数の信者が自民党議員の秘書になっているはずです」
  自民党の茂木幹事長は、「党として組織的な関係はない」などと、旧統一教会との関係を否定しているが、なにを言っているのか。

50年続く旧統一教会との関係
  自民党の中でも旧統一教会の“巣窟”になっているのが、最大派閥の安倍派だ。旧統一教会に恨みを持ち、安倍元首相を銃撃した山上徹也容疑者は、安倍のことを「統一教会に最も影響力あるシンパ」と評していたが、まさにその通りである
  なにしろ安倍派の幹部の多くに、旧統一教会の毒が回っている。
  前の派閥会長だった細田博之衆院議長は、19年に関連団体が主催する会合に出席し、「韓鶴子総裁の提唱によって実現したこの国際指導者会議の場は大変意義が深い」と教祖夫人を持ち上げている。安倍の秘蔵っ子だった稲田朋美元防衛相も09、10年と関連団体のイベントで講演。もちろん、安倍の首相秘書官だった井上義行も安倍派だ。
  下村元文科相は教会関連の媒体のインタビューに複数回登場し、講演にも登壇。関連団体から献金も受け取っていた。旧統一教会にとって20年来の悲願だった「世界平和統一家庭連合」への名称変更は、下村が文科相時代の15年に認められている。当時、旧統一教会のために文科行政が歪められた疑惑がくすぶっている。
  そもそも、旧統一教会が日本の政界に侵食するキッカケも、安倍の祖父である岸信介元首相がつくっている。1960年代にまで遡る話だ。岸信介は旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の設立を支援。脱税で米国で実刑を食らっていた旧統一教会の教祖・文鮮明の釈放を求め、当時のレーガン大統領に嘆願書を送るほどの関係だった。
  旧統一教会との結び付きは、娘婿の安倍晋太郎元外相、さらに安倍晋三にまで引き継がれたというわけだ。安倍の実弟・岸防衛相が旧統一教会との関係について「選挙の手伝いをいただいている」と認めたのは、3代にわたる深い関係を否定しきれなかったということだろう。
「安倍元首相は官房長官時代の06年、教会の友好団体に祝電を送った際は、〈誤解を招きかねず担当者にはよく注意した〉とコメントし、距離を置いていました。ところが、昨年9月には同じ団体に平気でビデオメッセージを送っている。安倍一強が長く続いたことで、気にも留めなくなったか、もしくは完全に開き直ったのかもしれない。いずれにせよ、統一教会の窓口は安倍さんでした」(政界関係者)

理念や政策も一体化
  信じがたいのは、選挙だけではなく、とうとう自民党は、理念・政策まで旧統一教会と一体化してしまっていることだ。最近の自民党の訴えは、「選択的夫婦別姓」や「同性婚」への反対姿勢、さらに戦前の家父長制に回帰するような理念など、旧統一教会の主張とほぼ一致している。
  来春設置される「こども家庭庁」という名称も、旧統一教会の働きかけで決まったと囁かれている。もともと名称は「こども庁」で決まりかけていたのに、旧統一教会に近い自民党議員の反対により覆されてしまった。
  この名称変更について勝共連合は、ホームページで<心有る議員・有識者の尽力によって、子ども政策を一元化するために新しく作る組織の名称が『こども庁』から『こども家庭庁』になりました>と成果を誇っているのだ。恐らく、旧統一教会が自民党議員を動かしたのだろう。
  選挙を手伝い、信者が秘書として入り込んだことで、旧統一教会は自民党の奥深くまで浸透している可能性がある。
  ジャーナリストの有田芳生氏は、旧統一教会の政界工作についてこう語っている。
「統一教会の女性信者のチームがロビー活動で国会を回るんです。そして、統一教会の教えを自民党の国会議員さんたちに広報して(中略)日常的に回っているんです」
  こうなると、多くの自民党議員が、気づかないうちに旧統一教会にマインドコントロールされている可能性も捨てきれない。
  立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「安倍政権の10年間で自民党が右傾化した原因が、統一教会にあるとしたら納得がいきます。世界中が、夫婦別姓の容認、性的少数派の尊重に動いているのに、自民党だけが逆行しているのも、統一教会との関係が影響しているのかも知れません」
  岸田首相だって、旧統一教会がどんな団体なのか、分かっているはずだ。なのに、その旧統一教会と手を握ってきた安倍の葬儀を「国葬」にしようとしているのだから、どうかしているのではないか。本当に国葬がふさわしいと思っているのか。
「ただでさえ国葬は、国家が国民に弔意を強制する民主主義と相いれない儀式です。もし、国民に喪に服すことを求めないなら、そもそも国葬にする必要がない。いまからでも国葬について考え直すべきです」(本澤二郎氏=前出)
  大手メディアも野党も、旧統一教会と政界との闇について徹底的に解明すべきだ。
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220715 再掲:「 4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5 」

2022年07月15日 23時55分50秒 | 一年前
7月15日(金): 再掲する。

特に、以下の部分は、今の時代に読み返されるべきだと考える。

・この田舎にも朝夕配られて来る新聞紙の報道は、私の最も欲しないこと、つまり戦争をさせようとしているらしい。現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが利益なのだから別として、再び彼らに欺されたいらしい人たちを私は理解できない。おそらく彼らは私が比島の山中で遇ったような目に遇う他はあるまい。その時彼らは思い知るであろう。戦争を知らない人間は、半分は子供である。171ページ 」

4 012 大岡昇平「野火」(新潮文庫;1951)感想 特5
2014年10月17日 01時16分29秒 | 一日一冊読書開始

10月17日(木):

189ページ  所要時間 3:30    ブックオフ50円

著者42歳(1909~1988;79歳)

大変な地雷を踏んでしまった。既に日付をまたいでしまって感想を書く時間が限られてるのが悔しい。

戦場はレイテ島である。「レイテ戦記 全三巻」の下巻をまだ読めていないが、作中のレイテ島について土地勘が働き、読み易かった。本書は、ちょうど下巻と重なるあたりの内容だと思う。即ち、オルモックの陥落前後から、日本軍が潰走し、総退却のためにパロンポンに集結しようとするところである。

主人公は、小泉兵団村山隊歩兵を結核のため追放された田村一等兵である。作中では、一人称の“私”で語られる。日本軍崩壊前後から、ひりひりするような死の気配の中、逃げまどう主人公が、敵の陰に怯え、飢えに苦しみ、山中を彷徨するなかで、無辜の比島女性を撃ち殺し、原罪を背負い込む。手に入れた塩と引き換えに、小部隊に拾われてパロンポンを目指すが、米軍の圧倒的武力を前にして“降伏”を念慮するが、敗残の日本兵同士が互いを監視し合い、また何者かの目を感じて実現しない。

出会った多くの日本兵が次々と死ぬ中で、パロンポン行きを諦めて、逆方向の山中に逃れた“私”は、そこらじゅうにある日本兵の死体のなかに、臀部などを齧られたものがあることに気付く。「山中には、死肉をあさる犬もいないのに…」。やがて、“私”は、多くの日本兵たちと同様に、極限の飢餓状態に陥るが、互いが相手の弱り方(「もうちょっとで死ぬかどうか」)を窺い合ってしまう。

人肉食への誘惑を嫌悪し排除しようとしながら、格好の死にかけた将校と出会い、その死に立ち会う。その将校は、亡くなる間際、締まった筋肉の胸をさして「食べてもいいよ」という。しかし、その言葉がかえって“私”にブレーキをかけるが、山ビルたちが、その将校の死体にたかって吸った血を、狂ったように引き剥がした山ビルを絞ってその血をすすってしまう。もはや、間接的には人肉食をしてしまっている。

いっそ、直接食べてしまおうと、右手に軍刀をかざした時、不思議なことが起こる。左手が勝手に右手首を持って、人肉食を止めたのだ。大いなる何者か(神か?)の意志を感じ、敢然と人肉食を放棄するが、その後には、死の覚悟と極限の飢えの苦しみによる彷徨の果てに死を迎える。

しかし、その直前に、永松に助けられ「猿」の肉を与えられる。本当は、何の肉なのか(つまり、さ迷う日本兵を狩りした人肉)を知りながら、“私”はそれを食べて回復する。永松が大勢の日本兵を殺して肉に捌くキル=サイトを発見した“私”は、永松から同行の安田との殺し合い(その後、人肉食)を持ちかけられる。安田を殺した永松を、“私”は殺すが、肉は食べなかった。

その後、記憶が無くなり、10日後気付いたときには、比島ゲリラにつかまり、頭蓋骨折で米軍の医療を受け、捕虜となり日本に送り届けられ、妻と再会するが、5年後、精神病院で治療の一環として、この作品を書いている。

極限の場での「人肉食」をこれほどまでに描き切った作品に出会うのは、戦場ではないが、竹田泰淳の「ひかりごけ」以来であり、本書はそれをはるかに凌駕する作品になっている。戦場でカニバリズムがあったことは、漠然と知識では知っていたが、これほどリアルで、切迫した事実を教えられた作品は初めてだ。

本書は、現代日本人が読むべき必読の書だ。「レイテ戦記 全三巻」が、俯瞰的な戦争(負けいくさ)の記録であるとすれば、レイテ戦記は、時と場所と戦死者の数字で示された記録だとすれば、「野火」は、レイテ島で存在した兵士たちの単に数字で示すだけではいけない、疎かにされてはいけない無数の顔と意志を持った兵士一人一人の記録である。

司馬遼太郎の「坂の上の雲 全八巻」を読んで熱くなった人は、必ず、大岡昇平の「レイテ戦記 全三巻」、「野火」、「俘虜記」を読んで、バランスをとるべきだという言葉が、今はとても良く分かる。

・この田舎にも朝夕配られて来る新聞紙の報道は、私の最も欲しないこと、つまり戦争をさせようとしているらしい。現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが利益なのだから別として、再び彼らに欺されたいらしい人たちを私は理解できない。おそらく彼らは私が比島の山中で遇ったような目に遇う他はあるまい。その時彼らは思い知るであろう。戦争を知らない人間は、半分は子供である。171ページ
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220715 れいわ新選組【声明】安倍元総理の葬儀を国葬で行うという政府の決定について

2022年07月15日 23時42分26秒 | 時代の記憶
7月15日(金): 以下の提言に全面的に同意する(もみ)。

【声明】安倍元総理の葬儀を国葬で行うという政府の決定について(れいわ新選組 2022年7月15日)
投稿日: 2022年7月15日 投稿者: れいわ新選組

凶弾に倒れた安倍晋三元総理大臣に改めて哀悼の意を表します。
言論に対する一切の暴力行為を許容しない、とれいわ新選組は宣言する。

本題に入る。

元総理大臣の葬儀を国葬で行うという政府の決定について、私たちは強く反対する。その理由は大きくは2点に集約できる。

理由の1つ目は、

現在の日本において、国葬を実施する法的根拠が存在していないことである。
1947年に「国葬令」が失効して以降、国葬を行う法的根拠はない。
仮に政府が「国民葬」のようなものを提案するのであれば、国民全体が納得いく根拠を示し、
国会においても議論を行うことを大前提にすべきである。

一方で、 安倍元総理の政策について肯定的に評価する意見があることは理解する。
安倍元総理の功績を評価する方々が、葬儀の場でその功績をたたえることは広く認められるべきであろう。

しかし、それを国葬として行うことは筋違いである。
支持者や、特定の宗教団体や党の関係者主催の葬儀を行えばよく、
国葬という形をとる必要は全くない。

理由の2つ目は、
岸田総理が閣議決定で国葬を決定するとした理由の具体的な内容である。
岸田総理は
「日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開、東日本大震災からの復興」
の3点を上げている。

しかし、安倍元総理が日本経済の再生を実現したとは到底言えない。
長引く不況のさなか、2度に渡る消費税増税を断行したのは安倍政権である。
最も大きな声で主張してきた、「徹底した財政出動」が実際は十分に行われなかったことで、
より格差を拡大することになったのは残念でならない。

また、日米関係を基軸とした外交の展開については、安倍政権が長期間続いたことにより、
日米同盟の強化が実現されたが、一方で、強硬な国会運営で、
憲法上疑義のある集団的自衛権行使を可能にしたほか、
日本の周辺諸国との距離も拡大した。

震災復興についても実際は未だ道半ばだ。
事故原発の廃炉完了に向けた道筋も見えず、避難指示解除された自治体でも、
住民の多くにとって地元での生活再建の展望が描けない状況が続く。
国葬とすることで、これら評価の大きく分かれる政策を「レガシー」(遺産)として正当化することは許されない。
政治家の非業の死と、生前の政治的評価とは分けて論ずるべきである。

だからこそ、国葬という形でこれまでの政策的失敗を口に出すことも憚れる空気を作り出し、神格化されるような国葬を行うこと自体がおかしい、と私たちは考える。
加えて、今回の事件は霊感商法などで社会問題化した新興宗教と
自民党政治との密接な関係から生み出された悲劇とも言える。
政教分離の徹底が必要であることも申し添えておく。

以上

SNSやLINEで、あなたのご家族、お友達などなどに広めてください!
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220710 安倍元首相銃撃事件でジャーナリスト・青木理氏が感じた「不気味な兆候」とは

2022年07月10日 01時05分24秒 | 時代の記憶
7月9日(土):
© AERA dot. 提供安倍元首相銃撃事件でジャーナリスト・青木理氏が感じた「不気味な兆候」とは
2022.7.9. 13:22

安倍晋三元首相が選挙演説中に銃撃され、死亡するという前代未聞の事件から一夜が明けた。犯行の動機や背景はいまだ謎に包まれているが、「安倍三代」(朝日新聞出版)の著書があるジャーナリストの青木理氏は今回の事件をどう捉えたのか。緊急インタビューした。

 ジャーナリストの青木理氏
*  *  *
 まず大前提として、どのような政治信条があろうと、その政治家にいくら批判があろうと、今回のようなテロを断じて容認することはできません。改めて言うまでもないことであり、問題はその先にあります。

 そのうえで元首相が凶弾に倒れた衝撃的な事件を考えると、これはやはり不気味な兆候と捉えるべきなのか。だとすれば、なんとしてもそれを押しとどめる必要があります。

 昨年亡くなったノンフィクション作家の半藤一利さんと生前対談した際、半藤さんが「社会が戦争に向かう危険な兆候」をいくつか挙げていたのを思い出します。(1)被害者意識と反発が国民に煽られる、(2)言論が不自由になる、(3)教育が国粋主義に変わる、(4)監視体制が強化される、(5)ナショナリズムが強調される、そして(6)テロの実行が始まるーー。

 当時は重大テロなど起きていませんでしたが、その他の要素はかなり揃ってしまっているのではありませんか、と尋ねる私に、半藤さんはこう即答しました。「ええ、しかもそのスピードは戦前より速い」と。

 私もそうですが、昭和史の探索に生涯を捧げた半藤さんは、皮相なナショナリズムや排外的風潮が強まる昨今のこの国の政治を危ういものと捉え、強く憂いていました。今回はそうした風潮を煽る側だった元首相がテロの凶弾に襲われたわけですが、それはいったいなぜだったのか。現時点では判然とせず、犯行の動機や背景の解明を待つしかありませんが、少なくとも半藤さんのいう「危険な兆候」の最後のピースを埋めてしまうような結果につなげるわけにはいきません。

 ですから、今回のテロに政治やメディアは決して萎縮せず、と同時に犯行の動機や背景の解明を急いでそれと向き合い、テロの土壌となった課題や問題点が浮かびあがったなら、その改善に全力で取り組むべきでしょう。

 拙著「安倍三代」でも記しましたが、安倍氏は少なくとも政界入りする前の青年時代には、強い政治信条や信念を持っていた形跡はまったくありません。母方の祖父である岸信介氏に強い敬慕の念を抱いているようでしたが、しかし戦前に特高警察に抗った父方の祖父・安倍寛氏のような胆力や反骨心、あるいは戦中に特攻隊を志願しながら生きながらえた父・安倍晋太郎氏のような歴史観もバランス感覚もなく、名門政治一家の跡取りとして生を受けた“おぼっちゃま”にすぎないという印象を持ちました。

 これは妻の昭恵さんも言っていましたが、その期待に応えるため、自らが描く偉大な政治家像を「演じていた」側面もあったでしょう。そんな安倍氏は、首相として7年8カ月という歴代最長政権を成し遂げましたが、客観的に見てそれに見合う“レガシー”を遺したとはいえません。だから首相退任後も影響力を保持しようと躍起になり、自らの政権を否定するような動きには公然と横槍を入れたのかもしれません。

 その振る舞いは見苦しいものだったと私は思いますが、そうした途次、しかも重要な国政選挙の最中、まさかこのような形で命を奪われるとは、誰一人として想像していなかった。凶行の動機や背景に重大な意味が潜んでいるのか、それとも突発的で政治的背景の薄い単独犯なのかはともかく、首相の座を目前にしながら病に倒れた父・晋太郎氏と同じ67歳で世を去ったことに、奇妙な符合のようなものも感じます。

 繰り返しますが、今回のようなテロは決して容認できません。ただ、人の衝撃的な死は、時にすべてを一色に塗りつぶしてしまいかねない力を持ちます。過去は美化され、冷静な批評や批判を許さない風潮にも覆い尽くされてしまう。それもまた極めて危険なことであり、今回の事件をそういう意味での社会の“曲がり角”にしてもならず、安倍氏の政治姿勢や政治手法がもたらした「功罪」の「罪」がなんであったかも、あらためてきちんと見つめ直されなければならないと思います。

 また、今後は「テロ対策」などが声高に叫ばれることも予想されますが、それを契機として例えば警察による監視体制ばかり強まれば、それもまた自由な社会を窒息に追い込んでしまいかねません。投票日が目前に迫った参院選を「弔い合戦」のように矮小化することも避けるべきです。元首相の死を悼むことと、政治への評価は分けて考えなければならない。そのためには、まさに言論の砦たるメディアとメディア人の役割が問われています。(構成=AERA dot.編集部・作田裕史)
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220708 参院選挙:東京選挙区は<山本太郎>、全国比例区は<れいわ>でお願い申し上げますm(_ _)m。

2022年07月09日 02時09分21秒 | 今、思うこと&意見
7月8日(金):

夜8:00頃帰宅して、テレビのニュースをサーフィンしました。
改めて、この国のマスコミ、マスメディアの犯罪的放送・報道姿勢に恐怖を覚えました。恐ろしい国になってしまった。
「いくら殺人の被害者だからと言って、どうしたら、これまでの安倍政権の所業をこれほど一方的に肯定、礼賛できるのか、
安倍政権の不正義の数々、膨大な数に上る政治の被害者、端的に改ざんを強制された近畿財務局の良心的ノンキャリア官僚の
自死問題等、無数にあるじゃないか?!」「政治家以前に人間として最低だったではないか!」
都合の良い映像しか流されない。死者を少しでも批判する者は<非国民>とでも言うかのごとき脅しがマスメディアを通して
<真の売国奴>どもの意向として、見る者に一切の異論を許さぬ大変な圧力を伴ってこちらに押し付けられてくるのを感じた。

今回の参院選挙、何とかして<れいわ新選組>を勝たせてください。少なくとも負けさせないでください。
東京選挙区は<山本太郎>、全国比例区は<れいわ>でなにとぞよろしくお願い申し上げますm(_ _)m。


参院選後に立憲民主党が分裂するように、泉健太のような賢くない小者のリーダーを引きずり下ろすために
今回の選挙では、<立憲>に投票しないで、負けさせましょう。<れいわ>か<共産党>に投票しましょう。
<維新>は全く論外です。日本が貧しい途上国になってしまいます。

以上、宜しくお願い致します。
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220528 一年前:210523 「学校は混乱極めた」 現職校長、実名で大阪市長を批判 「提言」全文 ※同感、100%正しい!

2022年05月29日 01時29分35秒 | 今、思うこと&意見
5月28日(土):
210523 「学校は混乱極めた」 現職校長、実名で大阪市長を批判 「提言」全文 ※同感、100%正しい!

5月23日(日):  ※チンピラ維新。現場を知らずに思い付きの浅知恵で目立とうとはしゃいでは迷惑な失敗を繰り返す。吉村も松井も、こんなのばっかり。朝日デジタル:「学校は混乱極め......

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220425 一年前:210423【政界地獄耳】共産次第で立憲民主すぐにひ弱な政党に逆戻り

2022年04月25日 22時44分07秒 | 一年前
4月25日(月):
210423 【政界地獄耳】共産次第で立憲民主すぐにひ弱な政党に逆戻り

4月23日(金):  日刊スポーツ:【政界地獄耳】共産次第で立憲民主すぐにひ弱な政党に逆戻り2021年4月22日8時51分★今年の初めまでは立憲民主党に旧民進党が再結成して......

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220408 勉強!新しい知見。是非に及ばず?

2022年04月09日 01時44分44秒 | 日記
4月8日(金):


日刊ゲンダイ北方領土を「日本固有の領土」とする外務省の虚偽説明 日本外交と政治の正体
2022/04/08 

北方領土4島は、本当に「日本の領土」といえるのか(C)共同通信社

  外務省は日本が外国と結んだ条約、及びその環境を国民に正確に説明する責任がある。だが、外務省はまた、実を歪める行動をとり始めた。全く罪深い行為である。
  3月31日付の朝日新聞は、<今年の外交青書、北方領土「不法占拠」の記述が20年ぶり復活>と題した記事を掲載。<4月に閣議決定する2022年版外交青書の原案が判明した。北方領土についてロシアの「不法占拠」との認識を示し、北方四島を「固有の領土」と記す。「不法占拠」の表記は03年版、「固有の領土」は11年版以来の復活となる>と報じた。
  ここで、客観的な事実関係を伝えたい。
  まず、日本はポツダム宣言を受諾して戦争を終えた。ここでは<日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ>としている。
  本州、北海道、九州及び四国以外の島々については「固有の領土」論は放棄している。かつ、日本は1945年9月2日にミズーリ号の上で降伏文書に署名したが、ここには<下名(重光葵、梅津美治郎)はポツダム宣言の条項を誠実に履行することを約す>としている。
  さらに1951年のサンフランシスコ平和条約では、<日本国は千島列島を放棄する>と規定し、その時、吉田茂首相は受諾演説で「千島列島の二島、国後・択捉は」と述べ、両島が千島との位置づけをしている。
  これらのことから、日本が降伏文書、及びサンフランシスコ平和条約を破棄しない限り、国後、択捉は「日本固有の領土」や「日本の領土」ではない。
  では、日本が放棄した南千島の帰属はどうなるのか。
  米英ソ首脳が合意したヤルタ協定(1945年2月)では、<千島列島ハソヴィエト連邦ニ引渡サルヘシ>となっている。1945年8月18日、トルーマン大統領はスターリンに対して「千島列島の全てをソ連極東総司令官に明け渡す領域に含めることに同意します」としている。
  ソ連の千島列島占拠に何らの不法性はない。さらに国連憲章第107条は「憲章のいかなる規定も、第二次大戦中に敵であった国への行動で責任ある政府が戦争の結果としてとったものを無効にするものではない」としている。
  国後、択捉を「日本固有の領土」としたり、ロシアがこれを「不法占拠」している、との説明は虚偽なのである。

孫崎享 外交評論家
1943年、旧満州生まれ。東大法学部在学中に外務公務員上級職甲種試験(外交官採用試験)に合格。66年外務省入省。英国や米国、ソ連、イラク勤務などを経て、国際情報局長、駐イラン大使、防衛大教授を歴任。93年、「日本外交 現場からの証言――握手と微笑とイエスでいいか」で山本七平賞を受賞。「日米同盟の正体」「戦後史の正体」「小説外務省―尖閣問題の正体」など著書多数。
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220403 作家の宮崎学さん死去、76歳

2022年04月04日 01時39分02秒 | 日記
4月3日(日):
朝日新聞作家の宮崎学さん死去、76歳 「キツネ目の男」と疑われたことも
4/3(日) 21:35配信



 暴力団など社会問題を扱った著書で知られる作家の宮崎学(みやざき・まなぶ)さんが3月30日、死去した。76歳だった。家族や親しい知人によると、死因は老衰という。故人の遺志で葬儀は行わない。
 1945年京都市生まれ。週刊誌記者を経て、戦後日本の裏社会や経済の実態を描いた96年の自伝的著作「突破者」でデビュー。暴力団や被差別部落などをテーマに執筆を重ねた。
 84~85年に起きたグリコ・森永事件では、事件に関与したとされる「キツネ目の男」と疑われたこともある。国家権力を巡る社会問題に対し、「アウトロー」の立場から積極的な評論活動を続けたが、親しい知人によると、ここ数年は体調がすぐれなかったという。
 しのぶ会などの開催は未定という。
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220331 脳天気な天声人語、人の痛みが分からないのか?信用できない。

2022年03月31日 12時50分58秒 | 日記
3月31日(木):



特に「理不尽な扱いを受けていたのなら、内匠頭には暴力を用いない方法で世に訴えてほしかった。腕力に訴えたスミスさんも同じである。」という一節には強い違和感を覚えた。腕力という強い表現をしているが、平手打ちだろう?!。正論を吐いているつもりかもしれないが、時代背景や社会背景、当事者たちの思いなど様々な事情を<民主的?>価値観のみですべて断罪し、切って捨てることのできる感覚に薄っぺらさと卑怯さしか覚えない。朝日新聞の看板を背負った天声人語が堕ちたものだ。

そういえば、以前安倍昭恵の犯罪行為に対して糾弾せず阿諛追従をしている天声人語を読んで気分が悪くなったことを思い出した。
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11 004 おおたとしまさ「小学生の親が高校受験のために今からすべきこと」感想2-

2022年03月27日 13時38分26秒 | 一日一冊読書開始
3月27日(日):  

181ページ    1:20     220円(ブックオフ)

「京進」という学習塾の考え方を紹介した内容。理屈だけで中身のないゴミのような本。著者の名前だけで買ったのだが、著者にとってはお金のための下請け仕事か?それにしても無意味な本だと思う。

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220219 これってどこの国の話なのか?<日本>がもう一つ別にあるのか。詐欺師たちによる恣意的すぎる統計?

2022年02月19日 17時27分48秒 | 時代の記憶
2月19日(土):

ネットでは詐欺師が言いたい放題、自由自在。馬鹿じゃないのか?! ああまた維新か…。夕刊フジもかえって信用を無くすという<恥の意識>も無いのか...。一体誰の意識を操作しようとしているのか?幼稚園児か?

元首相5人に「非難決議すべきだ」93.8% 福島原発EU書簡問題 維新・馬場共同代表「一刻も早く非難決議が」 夕刊フジzakzak緊急アンケート
2022/02/19 15:00

 小泉純一郎、菅直人両氏ら5人の首相経験者が、東京電力福島第1原発事故の影響で福島県で多くの子供たちが甲状腺がんに苦しんでいるとの書簡をEU(欧州連合)欧州委員会に送った問題で、日本維新の会が、風評の払拭に向けた情報発信を政府に求める国会決議を行うよう、自民、立憲民主両党に申し入れた。夕刊フジはこの件で緊急アンケートを実施した。
 アンケートは18日午前10時から午後10時まで、夕刊フジの公式サイトzakzakで行った。回答者は564人で、結果は別表の通り。
 調査結果について、日本維新の会の馬場伸幸共同代表は「元首相5人と比べ、国民の方が東北の皆さんの心に寄り添っていることが証明された。一刻も早く、全会一致で非難決議ができるようにしたい」と語った。
◆夕刊フジ緊急アンケート
《質問》 元首相5人が「原発事故の影響で福島の子供たちに健康被害が生じた」とする書簡をEUの欧州委員会に送った問題で、日本維新の会が5人への国会非難決議を他党に呼びかけています。皆さんはどう考えますか
  非難決議すべき 93.8%
  決議は必要ない 4.4%
  分からない・その他 1.8%
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220212 長周新聞:大石あきこ橋下徹に訴えられたってよ 名誉毀損で300万円請求 「維新の名誉って何?」

2022年02月13日 02時16分41秒 | 時代の記憶
2月12日(土): 朝日新聞では見られない骨のある記事。どちらがジャーナリズムとして筋がとっているかは明白!。
長周新聞大石あきこ橋下徹に訴えられたってよ 名誉毀損で300万円請求 「維新の名誉って何?」
2022年2月10日
 
  れいわ新選組の大石晃子衆議院議員(近畿比例)が3日、大阪維新の会元代表の橋下徹(元大阪府知事)から名誉毀損で提訴されたことを明かした。訴状の内容は公表されていないが、大石氏が衆議院議員当選後にメディアのインタビューで橋下府政時代の問題点について言及した内容を「名誉毀損」とし、損害賠償金300万円を要求しているという。また、立憲民主党の菅直人元首相が、ツイッターで橋下氏の名前を挙げ「主張は別として弁舌の巧みさでは政権を取った当時のヒトラーを思い起こす」(1月21日)と投稿したことについて、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長が「ヘイトスピーチだ」と批判し、日本維新の会の馬場共同代表が抗議するなど丁々発止をくり広げている。「名誉」を声高に主張する維新にはどんな名誉が存在するのか――この間の事実経過をふり返って見てみたい。

れいわ新選組よ、もっとやれ!
  れいわ新選組の大石晃子
  大石氏によれば、2月2日に大阪地裁から事務所宛に届いた橋下徹からの訴状は「(大石氏が)たびたび攻撃的な表現行為をくり返している」として「名誉棄損行為、社会的評価を低下させる行為であり300万円を支払え」という内容のものであったという。
  昨年、衆院選後のインタビュー記事で、橋下徹府知事時代におこなっていたことについて暴露したことが「名誉毀損」にあたるという主張であり、3月11日に大阪地裁で第1回口頭弁論が予定されている。
  大石氏は5日、自身のユーチューブチャンネルで「形としては、国会議員を一般人の橋下氏が訴えるという構図で、私の方が強者ともとれなくもないが、誰もそのようには見ない。誰がどう見ても橋下氏は維新の会関係者であり、その親玉だ。無茶苦茶テレビに出まくって社会的影響力を持っている人が、私のような人間を訴えるというのは、スラップ訴訟、嫌がらせ訴訟の部類に入ると思う。私としてはパニック訴訟とみなしている」と心境を明かした。
  また「維新の会、そして橋下徹府知事にはこういう問題があったんですよ、というのが、私の政治活動や言論の基本だ。そこに対して名誉毀損といってくるということは、私の言論を潰すというのが目的だ。そのようなものに屈するわけにはいかない。ますますもって真実を明らかにするという活動にもっと力を入れていきたい」と真っ向対決の姿勢を示している。
  近く記者会見を開き、広く世間にも内容を伝えながら法廷闘争に挑むという。
  大石晃子vs橋下徹のバトルは、財界の代理人としてポスト自民党を狙う維新vsれいわ新選組のバトルの一端でもある。
  大石氏は、れいわ新選組衆議院議員であるとともに、地元の大阪で「大阪都構想」や「カジノ誘致」に反対する活動を精力的におこない、新型コロナ対応をめぐる大阪府市の保健所や医療体制の脆弱化、弱者を切り捨てる新自由主義的な行政破壊を徹底的に追及してきた人物として知られ、「反自民」を装いながら関西で勢力を伸ばしてきた維新との対決姿勢を鮮明にしてきた。
  維新や橋下徹としては、みずからの欺瞞性を突く「目の上のたんこぶ」に最大限ダメージを与えたいという動機があるのは明らかで、今回の提訴もそのあらわれと見られる。

れいわ・大石議員 維新の「都構想」やコロナ対策を批判
  大石晃子氏は、大阪府職員だった2008年3月、橋下徹が大阪府知事就任直後、30歳以下の若手職員を集めた朝礼で、「始業前に朝礼をしたかったが、超過勤務になるといわれてできなかった」「民間では始業前に準備や朝礼をするのが普通。そんなこといってくるなら、勤務時間中のたばこや私語も一切認めない。給料カット!」と声を荒げたのに対し、立ち上がって「どんだけサービス残業やってると思ってるんですか」「今の府庁に問題はある。それは職場で職員が信頼関係をつくって、上も下もなく、府民のための仕事を本気で議論することでしか問題は解決しない。あなたは若い職員に、“上司に不満があれば自分にメールを送って”などときれいなことをいったが、逆に職場をバラバラにしている。職員と府民を分断している」と抗議した経験がある。
  そのことを契機に市民運動に参加するようになり、10年後に府庁を退職。大阪市を廃止するために大阪府市が推進した「大阪都構想」に反対する活動などを経て、2020年2月に山本太郎率いるれいわ新選組の衆院大阪5区公認候補予定者となり、同年10月の衆院選で比例近畿ブロックで初当選を果たした。現在は、れいわ新選組政策審議会長として、コロナ脱却給付金(1人当り月20万円の現金給付)、子ども手当月3万円、安定雇用1000万人実現、介護・保育の月収10万円アップ、消費税廃止などの政策とともに、大阪では維新が推進するカジノ(IR)誘致の中止を求めて活動している。
  また、最近のNHK日曜討論(昨年12月)では、大阪府の人口当りの新型コロナ死者数が全国ワースト1位となったことに触れ、縮小された保健所の職員体制を増員させる必要性とともに、「大阪では保健所の職員が過労死レベルの残業が1年単位で続いてきた。職員組合が“私たち使い捨てにしないでください”と労基署に訴える事態になっているのに、吉村府知事が持ち上げられているのは異常。検証すべきだ」と指摘。
  「大阪府は検査拡大が必要な時期に、(昨年)11月末で何を血迷ったか、高齢者施設での定期PCR検査を中止している。しかも病床が不足しているのに、229病床も削減した。やるやるといいながら、平時に人が余るから、という理由で職員を付けていない」と、メディアに称賛される「吉村・大阪モデル」の欺瞞性を暴露した。
  橋下徹氏についても、メディアのインタビューで、「(府知事時代に)マスコミをしばいて、気に入らない記者は袋叩き」にしていたことを暴露。新聞社に対して記者の交代を要求し、従わなければ取材陣から排除し、従えば「特別な取材をさせてやる」などの対応で「アメとムチでDVして服従させていた」ことなど、地元メディアを手懐けて維新びいきの報道をするよう誘導していた実態を赤裸々に明かしていた。
  橋下徹
  これに激昂したのが大阪維新の会初代代表の橋下徹で、昨年10月31日の衆院選で当選した国会議員に1人当り月100万円の文書通信交通滞在費(文通費)が10月分満額支出されたことが問題視されたさい、「山本太郎さんも4時間で100万円相当の収入を丸取りでっか? 丸取りならあんたらのいうこと信用ならんで!」と、れいわ新選組に批判の矛先を向けた。大石氏に対しては「れいわの大石議員は小選挙区ではボロ負け。比例でかろうじて当選。しかも投開票日10月31日の翌日11月1日にやっと当選。これで10月分の経費100万円を受け取る異常さ」などと煽り立てた。衆院選の投開票はすべて10月31日であり、大石氏が11月1日に当選というのは明らかな事実誤認だった。
  これに大石氏が「維新が“100万円もったいない”と空騒ぎ。よう言うわ」「維新を倒すための戦費として私は100万円でも何でも使います」とSNS上で応え、れいわ新選組も、政治活動への公費支出削減によって「資金力がある大規模政党しか政治活動ができなくなる」ことを問題視し、むしろ国民に対する使途報告を明確にすることを主張した。橋下徹は「これがれいわ新選組の国会議員の実態」「政治活動は政党交付金でするもの、もっと勉強しろ」とメディアやSNSで騒ぎ立てた。
  ところが、「文書通信交通滞在費とかまどろっこしい名前をつけてるけど、領収書は要らない。領収書不要の経費ってある?」「『経済的弱者の救済を!』と声高に叫ぶ政党も、結局、自分達の厚遇に関しては、みんなで仲良く下向いて知らんぷり。真っ先に税金から非常識な分配を受けている。どこの政党も知らんぷり」と叫んでいた大阪維新の会代表の吉村府知事自身が、2015年に衆院議員を辞職して大阪市長選に出馬したさい、10月1日付で辞職して「1日で100万円」を受けとっていたことを、大石氏が衆議院事務局に確認したうえで暴露。吉村知事は「記憶が曖昧」などとシラを切ったが、事実を認めた。

  また、文通費100万円を批判する日本維新の会所属議員らは、これまでも文通費や政務活動費を自身が代表をつとめる政治団体や自分自身に寄附して「セルフ領収書」を発行していたこと、「公の書類」に限られているはずの文通費を選挙資金に流用していたこと、日本維新の会に国から交付される年間18億円余りの政党交付金からも年間6000万円程度が「組織活動費」の名目で党幹部の個人口座に振り込まれ、領収書も存在せず、多くが使途不明である実態などが次々に明るみに出た。
  文通費100万円を問題視する一方、この億単位の政党交付金の使途に追及が及ぶと、日本維新の会代表の松井一郎大阪市長は「組織を動かすには領収書の必要のない経費も必要」などといってお茶を濁し、維新関係者も一斉に口をつぐんでしまった。
  橋下徹自身も政界引退後、2016~18年までの3年間だけでも日本維新の会や同党議員の後援会などから「講演料」「講師料」として総額3456万円(講演1回当り216万円)を受けとっていたことが政治資金収支報告書等から明らかになり、しっかり「既得権」の恩恵にあずかっていたことが暴露された。文通費騒動は、逆に維新のマネーロンダリングが暴露されるブーメランとなり、改革を見せかけるだけのフェイクとして世間に知れ渡ることとなった。
  大阪では「反自民」や「反既得権益」を唱える改革派として振る舞い、メディアに持ち上げられる維新だが、実際には自民党の小泉改革を引き継いで新自由主義的な公の破壊と民間への売り飛ばしを実行し、コロナ禍で全国最悪の死者を出す惨憺たる状態を生み出すにまで至ったことが、れいわ新選組の登場によって一層暴露される形となっている。それは、維新の広報機関となっている商業メディア(財界)との癒着関係も浮き彫りにしており、メディアに頼らず、無党派層と広く結びつきながら街頭から勢力を広げるれいわ新選組の存在が、維新にとっていかに目障りとなっているかを示している。
  今回の提訴の内容や橋下徹の主張は今後明らかにされると見られるが、過去に大阪府の政権担当者であり、現在も言論人やコメンテーターとしてメディアに毎日のように露出する人物が、みずからが現職時代におこなった言動への批判に対し、言論で世間に問うのではなく、訴訟という手段で口を封じようということ自体、権力をバックにした恫喝にほかならず、卑怯で陰湿な性根を物語っている。
  れいわ新選組の「あかん!大阪都構想」街宣(2020年10月・大阪市)

維新の会の名誉とは? 不祥事は枚挙に暇なく
  「名誉毀損」を声高に訴える維新にとっての名誉とはなんなのか? 大石氏が指摘するまでもなく、この間明るみに出た事件を顧みるだけでも、維新の異常な実態が浮き彫りになる。
  維新所属の国会議員から府議、県議、市・区議会議員にいたるまで、政務活動費の不正支出や二重計上、異性関係での不適切行為、DV、暴力行為、わいせつや傷害事件などは枚挙に暇がない。
  2021年4月には、梅村みずほ参院議員(大阪選挙区、日本維新の会)の秘書が知人男性を乗用車ではねたうえに、その男性を殴るなどの殺人未遂容疑で逮捕された。
  また同月、元大阪維新の会顧問の冨田裕樹前池田市長が、市庁舎内に自分用の家庭用サウナを設置していた問題で「庁舎を私物化し、市長としての資質に著しく欠ける」として辞職を要求された。百条委員会が設置された挙げ句に辞職に追い込まれた。
  署名偽造の疑いで逮捕された田中孝博(右)と肩を並べる吉村洋文(田中氏のHPより)
  また、2021年4月、愛知県の大村秀章知事リコール(解職請求)運動をめぐり、愛知県内の「維新の会」所属議員や元県議など37人が請求代表者となって始めたリコール請求署名の約43万人分のうち、36万人分が偽造されたものであることが判明。リコール運動は、大阪維新の会の吉村大阪府知事が「応援」を公言していた運動で、署名団体の事務局長だった田中孝博(地方自治法違反で逮捕)は、日本維新の会衆院愛知5区支部長(候補予定者)だった。
  2021年3月には、森夏枝衆議院議員(日本維新の会・比例近畿)が、党員のべ99人から集めた党費(1人年2000円)を2年間肩代わりして党本部に払っていたことで、公選法違反(選挙区内での寄附)で市民団体に告発された。
  2020年1月には、当時日本維新の会所属衆議院議員だった下地幹郎(比例九州)が、カジノを含む統合型リゾート(IR)事業をめぐって中国企業から現金100万円を受けとっていたことが判明して離党。
  2019年5月、同じく日本維新の会の衆議院議員だった丸山穂高(大阪19区)が、北方四島ビザなし交流の訪問団として訪れた国後島で元島民に対し、泥酔した状態で「ロシアと戦争で(北方領土を)とり返すのは賛成か反対か」と問いかけ、「戦争なんて言葉を使いたくない」という元島民に対して「戦争をしないとどうしようもない」と反駁。同地でキャバクラに遊びに行くことを呼びかけ「俺は国会議員だ。ここは日本の領土だろ。議員なんだから不逮捕特権があるんだ」などといいながら徘徊して、議員辞職を求められる騒動となった。
  地方議員になると「不祥事のデパート」と称されるほど破廉恥事件は日常茶飯事となっている。
  2021年2月、大阪維新の会の岡沢龍一大阪府議(枚方市)が弟に暴行してケガをさせた傷害容疑で書類送検。2020年9月には、東京都港区の赤坂大輔区議(日本維新の会)が少女に下半身を露出する公然わいせつ罪で罰金15万円の略式命令。2020年12月には、江戸川区の中津川将照区議(日本維新の会)が飲酒後のひき逃げで逮捕。2019年には大阪府松原市の田中厚志市議(大阪維新の会)が、市議会本会議を体調不良を理由に欠席しながら、妻と沖縄を旅行していたことが明らかになり離党。同年、大阪維新の会所属の不破忠幸市議が、自身の陣営にウグイス嬢を手配した見返りに72万円を支援者に渡したとして公選法違反で逮捕されるなど、数えればキリがない。
  また、問題発言では、参院選比例候補として維新の会に公認されていた元フジテレビアナウンサーの長谷川豊が、被差別部落問題について「士農工商の下に、人間以下の存在がいる」などの言葉を使ったうえで、「当然、乱暴なども働く」「プロなんだから、犯罪の」と講演会で発言し、後に撤回する騒動となった。
  また日本維新の会の足立康史衆議院議員においては、国会でも数々のデマや暴言を吐き、懲罰動議は6回に及ぶ。内容としては、衆院の総務委員会で民進党(当時)の安全保障関連法の対応をめぐって「民進党はアホじゃないか。アホです、アホ」「こんな政党は国会の恥だ。アホ、バカ、どうしようもない」(2016年4月)など稚拙なものばかり。また、加計学園問題が浮上した2017年5月には、自身のツイッターに「朝日新聞、死ね」と投稿。2018年2月には「立民(立憲民主党)は北朝鮮の工作員」と投稿するなど、炎上商法スタイルが定着している。

橋下徹 過去の問題発言の数々
  橋下徹にしても、昨年11月の衆院選後のテレビ特番で「山本太郎さんのような詐欺師に多くの有権者が騙されなくて本当によかった。やっぱり日本国民は賢明だ」などとのべ、「(山本太郎は)高所得者の税率を上げろ、といっておきながら、低所得者、中所得者の方々の税率が上がるとはいわずに、消費税ゼロだというのは詐欺師的な主張」と発言した。だが、橋下氏がいう「消費税を廃止にしたら年収300万~400万の人の所得税が大増税になる」という根拠は存在しなかった。
  過去に遡れば、大阪市長時代の2013年、戦時中の旧日本軍による朝鮮人強制連行について、「慰安婦が軍に暴行、脅迫を受けて連れてこられた証拠はない」「歴史を紐解いたら、いろんな戦争で、勝った側が負けた側をレイプするだのなんだのっていうのは、山ほどある。そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ」などと主張。批判を受けると「日本人は読解力不足」と開き直った。
  また同年、沖縄で在日米兵の性犯罪が多発している問題について、「慰安婦制度じゃなくても風俗業は必要だ。米軍の司令官には法律の範囲内で認められているなかで、性的なエネルギーを合法的に解消できる場所は日本にあるわけだから、もっと真正面からそういう所(風俗業)を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的エネルギーをきちんとコントロールできない。建前論じゃなくて、もっと風俗業を活用してほしい」と米軍海兵隊司令官に進言。米国側からも批判が高まると撤回し、「米軍、米国民におわびをしないといけない」と謝罪したが、2016年に再び沖縄うるま市で米海兵隊による女性暴行殺人事件が起きると、「(以前に)風俗の活用でも検討したらどうだ、と言ってやった。まあこれは言い過ぎたとして発言撤回したけど、やっぱり撤回しない方がよかったかも。きれいごとばかり言わず本気で解決策を考えろ!」「今回の事件で米軍基地の存在が事件の原因だとして、米軍基地を否定する主張を自称人権派は展開している。これこそまじめに活動している米兵等への人権侵害だ」などとSNSで放言している。
  これら一連の言動だけ見ても、彼らは誰のために、どんな「改革」をしようとしているのか、毀損されたという名誉とはどのような名誉なのか、である。「現代のヒトラー」であるかは別としても、自分の名誉毀損を云々する前に、「お前がいうな!」の特大ブーメランが突き刺さってしかるべきレベルといえる。裁判の行方とともに、今後のれいわ新選組とのバトルにも注目が集まっている。
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150329 タガ外せば歯止め失う 長谷部恭男・早稲田大学教授/「未来志向」は現実逃避 杉田敦・法政大学教授

 杉田 先日ドイツのメルケル首相が来日しました。戦後ドイツも様々な問題を抱えていますが、過去への反省と謝罪という「建前」を大切にし続けることで、国際的に発言力を強めてきた経緯がある。「建前」がソフトパワーにつながることを安倍さんたちは理解しているのでしょうか。  / /長谷部 そもそも談話が扱っているのは、学問的な歴史の問題ではなく、人々の情念が絡まる記憶の問題です。記念碑や記念館、映画に結実するもので、証拠の有無や正確性をいくら詰めても、決着はつかない。厳密な歴史のレベルで、仮に日本側が中国や韓国の主張に反証できたとしても、問題はむしろこじれる。相手を論破して済む話ではないから、お互いがなんとか折り合いのつく範囲内に収めようと政治的な判断をした。それが河野談話です。  / /杉田 談話の方向性や近隣との外交について「未来志向」という言い方がよくされますが、意図はどうあれ、それが過去の軽視という「見かけ」をもってしまえば、負の効果は計り知れない。安倍さんたちは、未来を向いて過去を振り払えば、政治的な自由度が高まると思っているのかもしれません。しかし政治の存在意義は様々な制約を踏まえつつ、何とか解を見いだしていくところにあります。政治的な閉塞(へいそく)感が強まる中で、自らに課せられているタガを外そうという動きが出てくる。しかし、それで万事うまくいくというのは、一種の現実逃避では。  / /長谷部 合理的な自己拘束という概念が吹っ飛んでしまっている印象です。縛られることによってより力を発揮できることがある。俳句は5・7・5と型が決まっているからこそ発想力が鍛えられる。しかし安倍さんたちは選挙に勝った自分たちは何にも縛られない、「建前」も法律も憲法解釈もすべて操作できると考えているようです。  / /杉田 俳句は好きな字数でよめばいいのだと。  / /長谷部 あらゆるタガをはずせば、短期的には楽になるかもしれません。しかし、次に政権が交代したとき、自分たちが時の政府を踏みとどまらせる歯止めもなくなる。外国の要求を、憲法の拘束があるからと断ることもできない。最後の最後、ここぞという時のよりどころが失われてしまう。その怖さを、安倍さんたちは自覚すべきです。 =敬称略(構成・高橋純子)朝日新聞『考論』

0015 オルテガ「大衆の反逆 (桑名一博訳;久野収解説)」(白水社イデー選書;1930)評価5

以下は、オルテガ所論の久野収による抜粋の抜粋である:///  オルテガによれば、政治のなかで「共存」への意志を最強力に表明し、実行していく政治スタイルこそ、自由主義的デモクラシーである。共存は、強い多数者が弱い少数者に喜んで提供する自己主張、他者説得の権利である。敵、それも最も弱い敵とさえ、積極的に共存するという、ゆるがない決意である。/その意味で、人類の自然的傾向に逆行する深いパラドックス(逆説)であるから、共存を決意した人類が、困難に面してこの決意を投げ出すほうへ後退したとしても、それは大きな悲劇ではあっても、大きな不思議とするには当たらない。/「敵と共存し、反対者と共に政治をおこなう」という意志と制度に背を向ける国家と国民が、ますます多くなっていく1930年代、オルテガは、「均質」化された「大衆」人間の直接行動こそが、あらゆる支配権力をして、反対派を圧迫させ、消滅させていく動力になるのだという。なぜなら、「大衆」人間は、自分たちと異類の非大衆人間との共存を全然望んでいないからである。略。///  「大衆」人間は、自分たちの生存の容易さ、豊かさ,無限界さを疑わない実感をもち、自己肯定と自己満足の結果として、他人に耳を貸さず、自分の意見を疑わず、自閉的となって、他人の存在そのものを考慮しなくなってしまう。そして彼と彼の同類しかいないかのように振舞ってしまう。/彼らは、配慮も、内省も、手続きも、遠慮もなしに、「直接行動」の方式に従って、自分たちの低俗な画一的意見をだれかれの区別なく、押しつけて、しかも押しつけの自覚さえもっていない。/彼らは、未開人―未開人は宗教、タブー、伝統、習慣といった社会的法廷の従順な信者である―ではなく、まさに文明の洗礼を受けた野蛮人である。文明の生み出した余裕、すなわち、贅沢、快適、安全、便益の側面だけの継承者であり、正常な生存の様式から見れば、奇形としかいいようのないライフスタイルを営んでいる新人類である。略。///  「自分がしたいことをするためにこの世に生まれあわせて来た」とする傾向、だから「したいことは何でもできる」とする信仰は、自由主義の自由の裏面、義務と責任を免除してもらう自由にほかならない。/われわれは自由主義の生みだした、この「大衆」人間的自由、自己中心的自由に対し、他者と共存する義務と責任をもった自由を保全しなければならないが、一筋縄でいかないのは、この仕事である。(160626:イギリスEU離脱について思うところ=もみ=)