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殺すつもりは無かったと継母は言いました。
確かにキツク叱りはしたけど、ちゃんとお風呂に入れてあげて、繕った緑のワンピースも着せてあげた。そのまま寝かした・・・と。
二度と目を覚まさないなんて思いもしなかったと。
死んだセギョンの体にたくさんの痣があるのを知ったウギョン父。
その時初めて事態の深刻さを認識したのでしょう。
途方に暮れていた時、ウギョンがすべての記憶を無くしていることに気が付いたのです。
ショックのあまり・・・でしょう。
で、両親は隠し通す決心をしたのです。
必死に殺意は無かった、自分だって苦しんできたと主張する継母。
そんな言葉、ウギョンに通じる筈はありません。
半狂乱になって継母を責め続けました。
でも、継母も自分に責任は無いと言い張りました。
継母が折れてさえいれば、最悪の事態は免れたかもしれません。
ウギョンはとうとう金づちを持ち出しました。
夫の浮気を目の当たりにしたあの日と同じ抑えようのないすさまじい怒りがこみあげて来たのです。
「それでも、母親なの」
そう叫んで金づちを振り上げた時、あの緑のワンピースの女の子、本当のセギョンが現れ、そっとウギョンの手を取ったのです。
金づちが手から落ちました。
また、女の子が最悪の状況になるのを防いでくれたのです。
カン刑事にウギョンから電話が入りました。
「妹を見つけました。」
「私が暴走すると思いましたか?」
ウギョンがカン刑事に聞きました。
「ウンホのような人をもう見たくないから。」
と、カン刑事。
セギョンが止めてくれました・・・と、ウギョンは泣きました。
公訴時効の成立で、継母は不起訴となりました。
『それで満足か?許せるのか?』
と、“赤い涙”が連絡して来ました。
今はまだ何も考えられません・・・とウギョンは返信しました。
一見すると穏やかな日常が戻って来ました。
継母は体調を回復させることができ、退院して来ました。
実の娘と孫のウンソと、和やかに楽しそうに過ごすようになりました。
それを、ウギョンは少し離れて見つめていました。彼女だけは笑顔を見せることが出来ません。
『結局、あなたのお陰で継母は苦痛から解放されたようだ』
『すばらしい。あなたは親孝行な娘だ』
『死とは停止であり終末だ。妹は5歳ですべてが停止し、週末を迎えた』
『生きるとは可能性だ。生きている者の罪は暮らしの中で消えていく。それでも許せるのか?』
矢継ぎ早にメールが届きました。
やはり、“赤い涙”はユン医師でした。
継母が生きていることを許せるか・・・ウギョンは考え続けました。
ある夜、ウギョンが家政婦を早めに帰しました。
怪しい・・・と思ったら。
「幸せ?」
と、ウギョンは継母に聞きました。私の目には母さんが幸せそうに見える・・・と。
「それじゃ困るのに。」
そういって、ウギョンは実家を出ました。
『準備はよいか?後悔しないか?』
と、“赤い涙”が連絡して来ました。
『しません』
と、ウギョンは返信しました。そして、どうしてこんなことをするのかと問いました。
『あなたと同じだ。罪悪感と怒り』
ユン医師が家に侵入しました。
「先輩だったのね。」
声がかかりました。いない筈のウギョンでした。
「心変わりしたのか?」
と、問われ
「私の気持ちは変わってない。生きていれば可能性がある。私はそれを選ぶ。」
私の心は怒りでいっぱいよ。殺したいほど憎い。だけど、誰かを終末に追い込むには自分の犯した罪が多すぎる・・・と。
「誰かに裁きを下す資格が無いの。」
その瞬間、部屋の電気が点き、カン刑事たちが銃を構えて入って来ました。
「君は正しい。」
ユン医師は言いました。
そして、今度こそ、全ての罪を認めたのです。
“赤い涙”として。
ユン医師が手を下したのは、シワンの事件と今回のウギョンの一件でした。
二人は自分の手ですくってあげたかったとユン医師は言いました。
シワンとウギョンの治療の中で、二人が同じような事を思ったことに対して罪悪感を感じていることを知りました。
それは、ユン医師自身の体験と同じだったのです。
ユン医師はウンホも治療していて、その過程で辛い体験を知りました。
その時彼も胸を痛めながらも、自分でなくてよかったと思ったのです。シワンとウギョンと同じ罪悪感を感じていたのです。
だからこそ、自分の手で解決してあげたかったのです。
あなたは許せますか?と、ユン医師はカン刑事に問いました。
許せない・・・とカン刑事は言いました。
でも、自分に裁く資格は無いと、ウギョンと同じ言葉を告げたのです。
事件はマスコミに発表されましたが、その本当の動機は公表されませんでした。
刑事として正しいことをしたけど、誇りには思えない・・・とカン刑事は呟きました。
葛藤してしまう事件だと最初からわかっていたじゃないかと、チーム長は言いました。
「単純明快が一番だ。」
と、チーム長が言いました。
カン刑事も気づいた事がありました。
子供好きじゃなかったカン刑事。だから、恋人が妊娠を告げた時喜べなかったのです。そして別れに繋がってしまったわけですが。
煩わしいばかりで責任が付きまとう存在だと思ってました。そんなの耐えられないと。
でも、その責任の重さを受け止める喜び、その充実感があるからこそ、子供を持つのかと思えたのです。
ハナが彼を信じ、慕い、抱き着いてきた時、しみじみと感じたようです。
“赤い月と青い太陽”という童話、本当にあるのでしょうか?
人間の深層心理を見せてくれる・・・いえ、見せられる作品でした。
自分じゃなくて良かった・・・という感覚。誰もが思った事があるんじゃないでしょうか。
隠していた罪悪感を感じる思いを、言い当てられた、そんな気がしました。
重く暗い印象の作品ですが、見る価値はあると思います。